いざ「竹葉亭」へ=ポイント乞食、老舗鰻屋に走る

 本日は、通勤途中、朝っぱらから原付バイクに乗った若いおまりさんから追い駆けられて叱られました。詳細は省きますが、嫌なことがあったので、通勤定期を買ったりして溜まっていたJRのスイカのビューカードに付いたポイントを今朝、駅にある「ビューアルッテ」で交換してきました。数千ポイント溜まっていたので、そのまま数千円分使えることができます。

 さて、どうしようか。差し当たって、今欲しいものは特にありません。いや、あるんですけど、それは、ジョン・レノンがはめていたパテック・フィリップの高級腕時計で、それは数千円ではなく、数千万円もするので、買えるわけありません(笑)。

 そこで、本日は高級ランチに行くことにしました。今、喉から手が出そうで出ない高級ランチと言えば、ここしばらく御無沙汰の鰻です。そして、鰻といえば、銀座界隈で食すとなると築地の「竹葉亭」に決まってます。竹葉亭は銀座5丁目にもありますが、やはり、本店の築地の方が落ち着いて食すことができます。

築地「竹葉亭」鰻お丼B 3520円

 このコロナ禍による不景気のご時世だというのに、店内はほぼ満杯で、少し待たされました。

 こっちはポイントで稼いだ余剰金があるので、大船に乗ったつもりで、「 鰻お丼」のAではなく、少し高いBを注文しました。

 さすが、幕末創業の竹葉亭。文句なしのお味でした。

 さて、お隣の席は、初老の紳士と三十路そこそこの若い女性で、何となく怪しい関係に見えるカップルでした。耳を塞ぐわけにはいかず、二人の会話は丸聞こえでした。

 どうやら初老の紳士は、スパイ映画007の大ファンらしく、全部観ているとか。何故なら、第1作「007 /ドクター・ノオ」が公開された年(1962年)に生まれているからだ、と紳士は若い女性に呟いていました。隣に諜報員がいるというのに、そんなことまで喋っていいんですかねえ。59歳か…これで、彼の年齢が分かってしまった(笑)。

 そして、007の大ファンのため、彼の愛用腕時計は、スイスの「オメガ」だと言いつつ、若い女性に自分の腕時計を見せびらかしていました。「まあ、凄い!」と女性が黄色い金切り声をあげたことは言うまでもありません。

 紳士のお仕事はどうもファッション関係のようで、青山にある高級ブランドB店の店長に今度紹介するよ、電話しとくよ、と何度も言ってました。恐らく、店長の口利きで割安で商品が買えるんでしょう。再び、若い女性は黄色い金切り声でした。

築地「吉兆」工事中?

 また、さて、ですが、以前にもこのブログで書いたことがあるのですが、新橋、築地界隈は、明治時代から高級料亭が林立しています。「吉兆」、「松山」、「米村」、「金田中」(新橋演舞場)、「新喜楽」(芥川・直木賞の選考委員会が開かれますが、実はここは「築地梁山泊」の異名を取った大隈重信邸でした)、「ふぐ料亭わのふ」(かつての料亭「石蕗(つわ)」)、「花蝶」(1968年の日通事件の舞台になった)等々です。

 この中でも代表的な高級料亭は「東京 吉兆」ですが、久しぶりに近くを通ったら、何と今、工事中でした。しかし、「建築計画」の看板をチラッと見たのですが、吉兆の「き」の字も書かれていませんでした。

 「おかしいなあ」と思いつつ、会社に戻ってパソコンで調べたところ、どうも、あの「吉兆」がコロナ禍のあおりを受けて、今年1月で「休業」してしまったらしいのです。どうも事実上の「閉店」らしいのです。よく分かりませんが。

 世知辛い世の中になって、政治家さんたちが料亭で密室政治をやってくれなくなったからでしょうか…。残念といいますか、良きにつけ悪しきにつけ、日本の伝統文化がなくなったようで、何か哀しいものがあります。

 

土用の丑の日は「竹葉亭」木挽町本店のうな丼

7月21日、今日は土用の丑の日。

 長期入院を余儀なくされている方もいらっしゃるというのに、大変申し訳ございません。本日は、一世一代の懸け、といいますか、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、お昼に豪華「うな丼」を食して参りました。

 そんじょそこらの「うな丼」ではありませんよ。な、な、何と、竹葉亭です。

 スーパーやファミレスやファストフード店の「うな丼」ではありません、念のため。

 しかも、竹葉亭の中でも、銀座支店ではありません。木挽町本店です。分かったかああ?頭が高いぜよ…

 ははあああ、御意。

 竹葉亭は慶応2年、江戸は大富町(東京・新富町)で創業の老舗です。日本を、いや世界を代表するうなぎ店でしょう。

 私もうなぎは大好きですから、調布先生のお導きもあり、色々なうなぎ店を行脚したものです。

 思い出深いのは、十三世片岡仁左衛門が贔屓にしていた「小満津」(京橋から現在東高円寺に移転)、十一代将軍家斉の寛政年間創業の「野田岩」(麻布飯倉本店と日本橋高島屋店)、浅草の「色川」(文久元年創業)、築地「宮川本廛」、神保町の「なかや蒲焼店」、関内「わかな」、小江戸川越の「いちのや」(天保3年創業)、浦和で最も古い「山崎屋」(創業文政年間頃)…。

 まだ、行ったことはありませんが、一度行ってみたい老舗は、重光葵が贔屓にした日本橋の「伊勢定」、評判高い駒形の老舗「前川」、そして何よりも神楽坂の「たつみや」。ここはジョン・レノンがヨーコに連れられて入った店ですからね。

完食 写真を撮るのが難しかった 赤羽村長の苦労が分かりました

 肝心なお味ですか?

 いやあ、グルメ雑誌でもテレビでもないので、野暮なリポートはやめときましょう(笑)。

 竹葉亭は、他店と比べると上品な味付けだと思います。個人的には、表が少しカリッとして中がふんわりと焼いた「野田岩」が一番の好みですが。

 以前は、と言っても6、7年ぐらい前までは、うな丼ならランチで1200円ぐらいで食べられましたが、今は、高騰してしまい、夢のまた夢です。

 今、竹葉亭木挽町本店の昼メニュー「うな丼」(B)は、3520円です。…明日から当分、立ち食いソバになりそうです。

老舗の味

ヴェニス

世間の皆々様方は年末年始のお休みに入ったことでしょうが、私は仕事です。不遇を囲っているので、いつも何か楽しみを見つけるようにしています。

目下の一番の楽しみは、食べることですかね。本や雑誌で見かけたり、口コミで聞いたり、通りがかりにすれ違った雰囲気のある店に飛び込んだりしています。

今月の月刊誌『東京人』は、「老舗の味を食べ歩く」を特集していたので、ついつい買ってしまいました。この中で、「久兵衛」「すきやばし次郎」といった敷居の高い寿司屋は、まだ入ったことがありません。でも、何処にあるかは場所だけは知っています。「久兵衛」(銀座8-7-6)は、たまたま銀ブラしていたら金春通りにありました。「ここが噂のあの久兵衛かあ」と感動したことがあります。ランチが2000円引き!とありました。それでも、一番安くても3500円くらいするので、金縛りにあったかのようになって、入れませんでした。

「すきやばし次郎」(銀座4-2-15)は住所を頼りに探しましたが、なかなか見つかりませんでした。地上の外に看板が出ていなかったからです。地下鉄銀座駅の数寄屋橋口の地下には看板がありました。外に「値段」など野暮な案内はありません。やはり懐に余裕がなかったので入れませんでした。情けない。

中華そばの老舗「萬福」(銀座2-13-13)は、そんなに有名な老舗店だとは知らずに偶然通りがかって入ったことがあります。が、特段印象に残っていません。やはり、料理は知識と頭で食べるものなのですね。

うなぎの「竹葉亭」は夏目漱石がよく通ったというので、銀座店(5-8-3)は意を決して行ったことがあるのですが、本店が木挽町(銀座8-14-7)にあることは知りませんでした。ここも偶然、通りかかって発見しました。料亭の雰囲気で敷居が高く、とても入れるような代物ではありませんでしたが。

池波正太郎の愛した洋食の「たいめいけん」(日本橋1-12-10)、漱石も通った洋食の「松栄亭」(神田淡路町2-8)、森鴎外のお気に入りのそば「蓮玉庵」(上野2-8-7)、谷崎潤一郎が贔屓にした親子丼の「玉ひで」(日本橋人形町1-17-10)などは何度か行ったことがあります。

先日「吉野鮨」に行きましたが、江戸前寿司で現存する最古の店が、創業150年余の「すし栄」(銀座7-13-2)であることをこの雑誌で初めて知りました。

敷居が高いところは、いつか挑戦したいなあと思っています。それまで生きてみようと思います。