東京・上野の博物館巡り=ランチは「蓮玉庵」で

 先週の土曜日は、駆け足で上野の二つの博物館を「はしご」しました。

 最初に訪れたのは東京国立博物館です。 

上野・東京国立博物館「中尊寺金色堂」特別展

 特別展「中尊寺金色堂」を是非とも観たかったからです。藤原清衡(1056~1128年)によって建立された中尊寺は、東北地方現存最古の建造物で、今年で建立から900年の節目を迎えました。

 土曜日でしたので、少し列が出来ていて、入場するまで15分ほど待たされました。

上野・東京国立博物館「中尊寺金色堂」特別展

 現地の平泉(岩手県)にある中尊寺金色堂には、私もこれまで3度ほど訪れたことがありますが、特別展では、ご本尊の阿弥陀如来座像と脇侍としての勢至菩薩立像と観音菩薩立像、それに地蔵菩薩立像、増長天立像、持国天立像といずれも「国宝」を間近に、しかも360度の角度から御尊顔を拝することが出来ました。

上野・東京国立博物館「中尊寺金色堂」特別展

 平泉では、仏像は、確か、ガラスケースの奥に納められ、遠くからしか拝することが出来ませんから、足を運んだ甲斐がありました。

 ただ、本館の狭い特別5室での数少ない展示でしたので、観覧料一般1600円は少し高い気がしましたけど。

上野・東京国立科学博物館

 次は上野駅に少し戻って、国立科学博物館に行って参りました。

 実は、昨年、同博物館が収蔵品の収集・保存などで資金が足りなくなって、クラウドファンディングを募集していました。私も「博物館がなくなっては困る」という危機感からわずかながら寄付をしましたら、「入場招待券」が1枚送られてきたのです。有効期限が3月31日までとなっていたので、慌てて出かけたのです。(しかし、よく見たら、来年2025年3月31日が有効期限でした=笑)

上野・東京国立科学博物館

 入場入り口で、その招待券をお見せすると、係の人(恐らく70代ぐらいの男性)が、「じゃあ、(半券を)切りますね」と言って、切ろうとしながらも、「でも、オタクさんは65歳過ぎていますね。65歳以上は無料ですから、この券は他の人にお譲りになったらどうですか?」と仰るのです。

 えっ? なに~~~~

 この私が、見かけだけで、65歳以上に見えるのかえ!!!

上野・東京国立科学博物館「偉大な科学者たち」

うーーん、バレたらしょうがねえ~(「与話情浮名横櫛」)

 しかし、落ち込むほど、相当なショックです。自分自身はまだ若いつもりなのですが、世間様はそれを許してくれない。嗚呼~

上野・東京国立科学博物館

 しかし、国立科学博物館が資金難に陥った理由がこれで分かりましたよ。常設展は、65歳以上と18歳未満は、入館料が無料(一般・大学生は630円)なのです。無料だと赤字になるに決まっています。せめて、子どもも65歳以上も300円ぐらい取ってもいいじゃないですかねえ。日本人だけではなく、全人類の「宝」が展示されているわけですから。

 ということで、ここは丸々、一日、いても飽きない博物館です。大人も子どもも楽しめます。地下3階まで展示室があり、細かく全てを観ていったら、一日では無理でしょう。

 また、何度でも足を運びたいと思いました。

 もう午後1時を過ぎていましたので、ランチをどうしようかと探しました。最初は、以前Gさんと一緒に行った「藪そば」にしようかと思いましたが、場所がウロ覚えです。確か、アメ横辺りにあったと思いますが、アメ横はいつでも週末は地獄のような人だかりですから、出来たら避けたいのです。

 そうだ、久しぶりに「蓮玉庵」にするか。ということで行ってみました。

 そしたら、随分古びた建物になってしまい、営業しているかどうかも分からないほどです。勇気を出して暖簾をくぐりました。

上野「蓮玉庵」特別ランチ(午後2時まで)のかき揚げ蕎麦1000円とお酒800円

 入ると、ほぼ満員で、手前の席だけ空いていて、お店の人は、そこに案内してくれました。

 何しろ、安政6年(1859年)創業の老舗の中の老舗です。森鴎外先生も足繁く通っていたといいます。

 ちょっと高いというイメージでしたが、何と、土曜日なのに特別ランチメニューをやってくれていたので、その1000円のかき揚げ蕎麦と熱燗1本(800円)を頼みました。特別ランチは、午後2時まででしたので、ギリギリセーフでした(笑)。

老舗の味

ヴェニス

世間の皆々様方は年末年始のお休みに入ったことでしょうが、私は仕事です。不遇を囲っているので、いつも何か楽しみを見つけるようにしています。

目下の一番の楽しみは、食べることですかね。本や雑誌で見かけたり、口コミで聞いたり、通りがかりにすれ違った雰囲気のある店に飛び込んだりしています。

今月の月刊誌『東京人』は、「老舗の味を食べ歩く」を特集していたので、ついつい買ってしまいました。この中で、「久兵衛」「すきやばし次郎」といった敷居の高い寿司屋は、まだ入ったことがありません。でも、何処にあるかは場所だけは知っています。「久兵衛」(銀座8-7-6)は、たまたま銀ブラしていたら金春通りにありました。「ここが噂のあの久兵衛かあ」と感動したことがあります。ランチが2000円引き!とありました。それでも、一番安くても3500円くらいするので、金縛りにあったかのようになって、入れませんでした。

「すきやばし次郎」(銀座4-2-15)は住所を頼りに探しましたが、なかなか見つかりませんでした。地上の外に看板が出ていなかったからです。地下鉄銀座駅の数寄屋橋口の地下には看板がありました。外に「値段」など野暮な案内はありません。やはり懐に余裕がなかったので入れませんでした。情けない。

中華そばの老舗「萬福」(銀座2-13-13)は、そんなに有名な老舗店だとは知らずに偶然通りがかって入ったことがあります。が、特段印象に残っていません。やはり、料理は知識と頭で食べるものなのですね。

うなぎの「竹葉亭」は夏目漱石がよく通ったというので、銀座店(5-8-3)は意を決して行ったことがあるのですが、本店が木挽町(銀座8-14-7)にあることは知りませんでした。ここも偶然、通りかかって発見しました。料亭の雰囲気で敷居が高く、とても入れるような代物ではありませんでしたが。

池波正太郎の愛した洋食の「たいめいけん」(日本橋1-12-10)、漱石も通った洋食の「松栄亭」(神田淡路町2-8)、森鴎外のお気に入りのそば「蓮玉庵」(上野2-8-7)、谷崎潤一郎が贔屓にした親子丼の「玉ひで」(日本橋人形町1-17-10)などは何度か行ったことがあります。

先日「吉野鮨」に行きましたが、江戸前寿司で現存する最古の店が、創業150年余の「すし栄」(銀座7-13-2)であることをこの雑誌で初めて知りました。

敷居が高いところは、いつか挑戦したいなあと思っています。それまで生きてみようと思います。