今、世間ではあの話題で騒然、まさに沸騰しています。
戦前なら「不敬罪」で、獄中入り間違いなしでしょうが、自由と民主主義の成熟した国家になった今は大丈夫だからなのでしょう。多少、度が過ぎた報道もありますが…。
例えば、週刊文春は、「総力取材」と称して「虚栄の履歴 小室さん母子の正体」「抗議殺到、職員連続退職…追い詰められる秋篠宮家」と見出しだけで内容が分かるような書き方です。中には「高3 社長令嬢との交際に母歓喜『いいじゃない!』」は、笑わせてもらいました。
いつも斜から世間を見据える週刊新潮は、「『眞子さま』ご結婚でどうなる 『髪結いの亭主』との生活設計」と大見出し。眞子さまを何でかぎかっこにするのか不思議です。あの世間を騒がせている眞子さま、と強調したいんでしょうか(笑)。中見出しの中には「『あの方々が親戚になるの…』女性皇族から戸惑いの声」とインサイダー情報まで載せています。
もう一つ、同誌では「『皇室を揺るがす婚姻』に思う」と題して識者にインタビューしています。この中で、脚本家の橋田壽賀子さんが登場し、「渡る世間に佳代さんがいても」などととコメントしています。
で、お前さんはその週刊誌を買ったのかい?と聞かれそうですが、これだけ充実した(?)見出しを読まされると、何か、全文読んだ気になってしまい、もうお腹いっぱいです(笑)。特に、私なんか、見出しを読むどころか、こうして、わざわざ、一字一句書き写していますからね。勿論引用として。
ところで、最後に引用した橋田壽賀子さんには、個人的な思い出があります。
今ではシリーズ化して日本人なら知らない人はいないドラマ「渡る世間は鬼ばかり」をTBSが開局40周年企画として初めて製作発表した1990年のことですから、もう30年も昔の話です。
マスコミ用語に「かこみ」取材というものがありますが、椅子に座って対峙した正式な記者会見のほかに、懇親会か何かで、対象者を囲んで話を聞いたりする取材があり、「かこみ」はその後者を指します。その「渡る世間…」の製作発表の直後だったか、後日改めて大々的に開かれた懇親会だったか忘れてしまいましたが、長山藍子さんや中田喜子さんといった女優さんと一緒に脚本家の橋田さんも参加していました。
その時、橋田さんを囲んだのは私を含めて3人か4人ぐらいだったと思います。私はもともと、こういった家庭ドラマは興味も関心もないし、嫁と姑めの古典的な争いも何かマンネリみたいな感じだったので、仕事として適当に話を聞いていました。
橋田先生は饒舌な方で、喋るは、喋るは…。「早く終わらないかな」といった表情を私がしたのかもしれません。突然、喋り続けていた橋田先生が、ピタッと話をやめ、よりによって、私の傍に近寄ってきて、「ああた、さっきから私の話、聞いてないでしょ!!」と怒り出したのです。
「その通りです」と正直に告白するわけにもいかず、「いいえ、そんなことありませんよ。一生懸命聞いてますよ」と、冷や汗をかきながら自己弁護するのに必死になったことを今でも覚えています。(橋田先生は、TBSの社長が車寄せまでお出迎えするほど超VIPだということは後で知りました)
ということで、正直、私自身、日本人なら知らない人はいない著名ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」を全編通して真面目に見たことはありません。そして、今でも橋田壽賀子先生の「ああた、さっきから私の話、聞いてないでしょ!!」というお言葉が、耳の奥にこびりつくように残っています。
でも、どうして分かっちゃったのかなあ? 正直者なので、顔に出ちゃうのかなあ…?橋田壽賀子先生、覚えていますか?