マイナス金利と日銀総裁

プーシキン像 Copyright par Duc Matsuocha-gouverneur

申し遅れましたが、最近、松岡総裁秘蔵お隠れ百年に一度の御開帳写真集をお借りして、このブログに掲載させて頂いております。
松岡総裁におかれましては、全く本文と関係ないのにも関わらず、渓流斎の勝手で使わせて頂いていることを改めて感謝申し上げます。

アムール河 Copyright par Duc Matsuocha-gouverneur

さて、今朝の新聞の週刊誌の広告を見て吃驚。日銀の黒田総裁が、あのお年で(大変失礼!)、東京は豪邸街のシンボルである世田谷区の億ションを購入された、と報道されておりました。大体中身は想像つきますので、その週刊誌は買いませんでしたけど(また、失礼!)、今はマイナス金利ですから、住宅ローンの金利も想像を超えるほど異次元のレベルで下がったそうじゃありませんか。

黒田総裁も、この時期を見逃さず、早速、「買い」に入ったということなんでしょうね。

ん?何かおかしいですね。

そもそも、マイナス金利政策を決めたのは、黒田総裁じゃありませんか。マイナス金利になるからそれを見越して買ったわけではなく、マイナス金利にして買ったと疑われても仕方ありませんよね?

アジャパーですよ(古いギャグなので、知らないかもしれませんが)!何か、たとえが悪いですけど、胴元が都合の良いようにルールを変えて賭場を開いたような気がしてしょうがないのです。

 レーニン像 Copyright par Duc Matsuocha-gouverneur

いつぞや、このブログにコメントして下さった金融リテラシーの非常に高い名文家でもある「金満家」さんのお気に入りの経済評論家山崎元さんによりますと、日本の宝くじというものは、世界トップレベルのボッタクリギャンブルなんだそうですね。その理由は、還元率が約45%だから。つまり、宝くじを1万円分ずっと買い続けたら、平均で4500円ぐらいしか戻らない。また、つまりですが、最初から55%の5500円が「胴元」の懐に入る仕組みなんだそうです。

ちなみに、競馬の場合は、還元率は75%で、残りの25%が胴元である運営者側の懐に入る。つまり、馬券をずっと1万円買い続けたとしても、大体払戻金は7500円になる。損する分は、2500円ということになります。

宝くじの損失(5500円)と比べれば安いもんだと、山崎氏は言います。ちなみに、宝くじで損する部分は「無知の税金」と呼ばれるそうです。正しい知識があれば、失うことがないお金だからです。そもそも、まともな人なら宝くじは、買わないということです。

 アムール河 Copyright par Duc Matsuocha-gouverneur

そう言いながらも、山崎氏は競馬だけはやるそうです。その理由は、競馬は2500円で熱狂できる「教養娯楽費」だからだそうです。くだらない映画を観るより全然いい、と山崎氏は断言されていました。

でも、映画好きの私は、2500円があれば、映画を2本見ますね。

そりゃあ、くだらない映画も沢山ありますが、正直、私自身にギャンブル運があまりない、という理由(せい)かもしれません(苦笑)

【追記】今月の「新潮45」で、作家の加藤廣氏が連載中の「昭和からの伝言(9) 『角さん』との出会い」の中で、皆様御存知のTタイムズのGさんが「名編集者」として一番に清々しく登場しておりまする。ご興味のある方は是非。

長期金利が史上初のマイナス!?

 糠平温泉ホテル

長期金利全体の指標(ベンチマーク)となる「新発10年物国債」の利回りが昨日、終値でマイナス0.025%まで大幅に下落して、深刻な状況です。

このトバッチリを受けて、急激な円高株安となり、一時、1ドル=114円台となり、1年3カ月ぶりの円高ドル安水準。日経平均も、前日よりも918円86銭(5.40%)も安い1万6085円まで下落してしまいました。

ここで、聞き捨てならないことは、銀行が今、せっせと価格が安い(金利が高い)国債を買い漁っていることです。日銀が有利な条件で国債を買い取ってくれることを見越しているからだそうです。

しかし、将来的には、これが日銀の損失となり、回りまわって、庶民の負担になるリスクもあるというのです。えーー!?ですよね。元々、日銀は、企業の設備投資拡大、消費向上、「預金から個人投資へ」を狙ってマイナス金利政策を導入するという「弁明」でした。これでは、真逆のマイナス効果です。

原油安、米国景気の先行き懸念、中国の低迷などグローバリズムの跋扈で、世界経済の影響の波を日本がモロに被ってしまっているのが今の状況です。

特に、原油安は深刻で、その背景には米国の「シェール革命」があることは皆さんご存知の通りです。このおかげで。米国が輸出できるほど石油が量産されたため、原油価格が下がったというのが通説ですが、何で、日本が開発したシェールガスばかり、失敗するのか不思議でした。

例えば、住友商事は2015年3月期に、シェールオイル開発に失敗して総額2400億円という巨額の損失を計上しています。日系企業に関しては、その他、三井物産や大阪ガスなどの損失例もあり、「何で日本ばかりが…」と納得がいかなかったものです。

しかし、これだけ長く原油安が続くと、足元にも火がつくのですね。米シェールガス大手のチュサピーク・エナジーが破産法の適用申請の準備を始めたと報道されて、NYのダウ工業株平均が一時、400ドル超も値を下げたそうです。

何か、ブーメラン現象のようです。シェールガス革命のお蔭で、景気が向上するかと思ったら、原油安と景気懸念のダブルパンチです。

日銀も、「よかれ」と思って放った「黒田バズーカ砲(マイナス金利政策)」は、地球を1周して、日銀の円形の建物に当たるような気がします。

もちろん、そのツケは、銀行や財務省が払うのではなく、庶民が払うことになるだろう、ということは前に書いた通りです。

154兆円

気になる数字があります。

154兆円。

もし、ゼロ金利が続かなかったら、1993年から10年間で家計の受け取り利子が累計154兆円に達していたという数字だそうです。

不良債権処理で、これだけ、国民に負担を強いられたということです。

逆に言うと、銀行などの金融会社は、「ドブ」と彼らが呼んでいる客からタダ(金利ゼロ)で金を仕入れて、利子を付けて、金を貸して、154兆円の利益を生み出したということでしょう。本来なら、この154兆円は、金利として、預けてくださった顧客に返却すべき数字だったのです!

しかし、どこの世界に、タダで仕入れてきて利益を生む社会システムが存在するのでしょうか?

今、映画化もされた、つげ義春の漫画「無能の人」を思い出してしまいました。
この作品は、河原からタダで石を「仕入れて」きて、売っている「無能の人」の物語でした。

現実は漫画化されている、というのが今回の結論です。