今年2019年に国内で誕生した日本人の子どもの数は、1899年の統計開始以来初めて90万人を割り込むそうですね。厚生労働省の推計では86万4000人だとか。アジャパーです(死語)。
とにかく、かなりの人口減で、厚労省の国立社会保障・人口問題研究所の試算では、2019年の1億2615万人が2050年には1億人を切り、2100年には今の半分以下の5000万人を割り込むと予想しています。
日本の財界を牽引するメディアである日本経済新聞は「少子化は社会保障の支え手の減少に直結するほか、潜在成長率の低迷を招く恐れがある。人口減が予想より早く進む事態への備えが求められる」などと書いておりますが、何処か他人事のように聞こえます。
ソ連崩壊を予言した歴史人口学者のエマニュエル・トッド博士に、これからの日本はどうなってしまうのか、聞いてみたいものです。 でも、明るい未来像を描いていないでしょうね。そもそも、少子化の要因の一つが、規制改革とやらで団塊ジュニア世代を中心に非正規雇用者を大量に生み、結婚したくても、できない若者が増えたことにあります。政治権力者による政策の失敗という人災みたいなところがありますから。
出生率の低下は日本だけではなく、お隣の韓国でも深刻です。2018年の日本の出生率は1.42でしたが、韓国では1を切って0.98だったといいます。人口減に苦しむ極東の先進国は、開発途上国からの移民を受け入れざるを得なくなり、国家や国の在り方が激変するかもしれません。そうでなくても、日本は学校や職場でも陰湿ないじめや村八分が多いですから、異国人とはマナーや宗教や文化などの相違で摩擦と軋轢が生まれることでしょう。
◇日本人は本を読まなくなった
さて、国立青少年教育振興機構がこのほど、全国の20~60歳代の男女5000人を対象に、読書習慣に関して調査した結果、1カ月に本を全く読まないと答えた人は、全世代で49・8%に上ったといいます。2013年の調査では28・1%でしたから、大幅に増えたことになります。特に20歳代に絞ると52・3%ですから、この世代の半分以上は本を読んでいないことになります。
確かに電車内で本を読んでいる人は、年配者しかおらず、若い人のほとんど全てがスマホと格闘しています。ニュースやSNSをやっている人もいますが、まあ、大体、文字通り、スマホ・ゲームで格闘していますね。
外国から来る人たちは、生活と生命が掛かっていますから、一部ですが、電車内でも一生懸命に勉強しています。
◇Tomorrow never knows
今、ユヴァル・ノア・ハラリ著「21世紀の人類のための21の思考」(河出書房新社 )を読んでいますが、「雇用」「宗教」「移民」「戦争」「神」など21の項目を哲学的に論考しています。「人工知能(AI)の発達のおかげで、無用者階級が生まれるだろう」などと予測していますが、「未来のことは、どうなるのか誰にも分からない」と正直に語っています。そこがこの本の良いところです。
あと80年もすれば、日本の人口が半分になってしまうなんて、想像もつきませんが、悲観的、絶望的にならざるを得ないなあ、と思いつつ、途中で筆を置いて(正確にはパソコンを切って)、ランチに行きました。そしたら、某レストランで40歳代後半と思しき男性サラリーマン4人が、何と、人口減の話題で盛り上がっていました。そのうちの一人が「人口は51万人ぐらい自然減となり、鳥取県と同じ人口が消えたんだって。でも、鳥取は県だけど、八王子市と同じくらいの人口だけどな」と、さも自分が調べたかのように、新聞で読んだことを話してました。
そしたら、もう一人が「俺たちの年金、どうなっちまうのかなあ。支えてくれる世代がいなくなれば、出なくなっちまうんじゃないか」と反応し、その一言で、一座はシーンとなってしまいました。