映画「真実」は★★★

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台風19号の影響で東日本で甚大な被害を受けているので、この3連休は、城歩きなどは自粛しましたが、映画を観に行ってしまいました。

  カンヌ映画祭で「万引き家族」がパルムドールを受賞した是枝裕和監督の最新作「真実」です。フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーブ主演という話題作なので、観に行ったわけです。

 大変期待して行ったので、ちょっと厳しい採点になっています。ドヌーブ演じる大女優ファビエンヌが自伝を出版し、ニューヨークに住む脚本家の娘リュミエール( ジュリエット・ビノシュ )が、テレビ俳優の夫ハンク(イーサン・ホークス)と娘と一緒にお祝いに駆けつけますが、自伝に書かれていることは嘘だらけで、娘が憤慨する…といった内容は、結構明かされているので、私も書いちゃいました(笑)。

 この映画自体の主人公が映画俳優で、映画を撮影する場面が何回も出てきて、その出演映画作品がきっかけで、母と娘が和解するような方向になっていく、といったちょっとした仕掛けがマトリョーシカの「入れ子」のようになっていて、大女優ファビエンヌがドヌーブに重なって、何が何だかよく分からなくなってしまいます。名匠フランソワ・トリュフォー監督の「アメリカの夜」(1974年日本公開)という作品も、舞台が映画スタジオで、俳優が俳優役を演じるわけの分からない作品でしたから、この映画を思い出しました。

 「真実」は、日本人が撮った作品で、言葉はフランス語と英語(ビノシュは見事な英語使いでした)という今の時代ならではの作品ですが、全く違和感がなかった、と同時に、日本人ならでは、といった特徴もあまり見受けられませんでしたね。つまり、「万引き家族」のようなエグさやアクの強さ、良い意味でのいやらしさがないんですね、「真実」には。

 グローバリズムの悪影響でしょうか(笑)。ベネチア映画祭でグランプリを逃したのも、しょうがないなあ、と思いました。

 つまり、是枝監督は「万引き家族」では、年金詐欺、擬似家族といった極めて日本的(ドメスティック)な問題を普遍的な問題に昇華して、世界から共感を得たのに対して、「真実」は最初から普遍的な問題が露わになってしまった感があり、それが逆に共感にまで昇華しなかったのではないか。そう思ったわけです。

台風19号の猛威と横浜カジノ誘致の裏側

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「今まで経験したことがない」「数十年ぶりの大雨」「命を守る行動を取るようにしてください」ー。これを書いているのは10月12日(日)午後2時頃ですが、昨日の11日(土)に伊豆半島に上陸して、東北地方まで縦断した台風19号は、東日本に甚大な被害を及ぼしました。

 今回は堤防の決壊などで多くの川が氾濫しましたので、これから、さらなる被害状況が徐々に明らかになっていくことでしょう。 氾濫した川は、島崎藤村が叙情的に詩(うた)いあげた長野県の千曲川、それに私も「山城歩き」で側を歩いた埼玉県の都幾川や富裕層が住まう東京と川崎の多摩川などでした。

 昔は「地震、雷、火事、親父」と言われてましたが、親父の権威は急降下して地底深くに潜り、今は「地震、台風、雷、火事、洪水、土砂崩れ、雪崩」ということになるんじゃないでしょうか。

 被害に遭われた皆様には御見舞い申し上げます。

 私は、激しい雨で夜は眠りにくかったですが、幸いなことに、自宅周辺での被害がなく、断水も停電もありませんでした。

 テレビを見てたら、宇都宮市内の道路が冠水していたので少し心配になりました。今週末に(そう言えば)生まれて初めて宇都宮に出掛けて、地元の栗原先生に宇都宮城などを案内して頂く予定でしたから。また、来月行く予定の唐沢山城のある栃木県佐野市も今回、川が氾濫して、低地は水浸しになっていました。改めて、御見舞い申し上げます。

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 さて、「毎日一日も欠かさない執筆」が建て前のこのブログ「渓流斎日乗」ですが、もうそんなことを言ってられなくなりました。日々、仕事でのパソコン作業とスマホ中毒で眼精疲労で眼痛が酷くなってきたからです。

 特に先週末に、パソコンのWindows10のアップグレードがあるとかで、自宅に光ケーブルも無制限Wi-Fiもないため、ある喫茶店(のWi-Fi)でチャレンジしたところ、3時間以上も掛かってしまいました。お蔭で、眼痛が酷くなり、視力も一気に落ちた感じになりました。

 この喫茶店は名古屋発祥の超人気店で、週末は超満員で、店内にパソコンを持ち込む若者も多く、そのせいか、「お一人様、2時間制」という時間制限までやりやがって、時間が過ぎると、肩を叩かれます。私は仕方ないので、飲みたくもない珈琲を2杯も注文しましたよ。1杯450円、フィッシュフライバーガー480円で、計1380円也。

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 嗚呼、せっかくブログを再開したというのに、あまり個人的なことばかり書いていてはいけませんね(笑)。

 京洛先生のお薦めで、10日発売の月刊「文藝春秋」11月号で、「ハマのドン」と言われる著名な藤木幸夫氏の「菅官房長官、カジノは筋悪だよ」を読みました。

 あれほど、カジノに大賛成だった藤木氏が、何で急に、大反対に回ったのか、これを読んで、よく分かりました。ギャンブル依存症の怖さを痛感したことと、同氏は、米国筋からの圧力があったのではないか、と推測しています。

 米国筋とは、トランプ米大統領の選挙資金として2000万米ドル(約22億円)を用立てした「カジノの帝王」こと「ラスベガス・サンズ」社のシェルドン・アデルソン会長のことです。当選したばかりのトランプ氏にいち早く面会したい安倍首相が、ソフトバンクの孫正義会長を通して、アデルソン会長に仲介してもらったそうです。その恩返しとして、アデルソン会長⇒トランプ大統領⇒安倍首相⇒菅官房長⇒林・横浜市長の流れで、横浜市が「カジノ都市」として立候補するように、陰に陽に圧力があったのではないか、というのが藤木氏の見立てでした。

 このほか、同誌では、「新天皇・雅子皇后『65人の証言』」が特集され、この中で、皆様ご存知の八牧浩行氏の「証言」も掲載されておりました。御同慶の至りで御座います。

「他人を見たら泥棒と思え」の世界

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 (昨日の続き)

 昨日は、あのようなブログ(「他人は変えられない」)を書いた後になって、やっと、弱者を蔑(ないがし)ろにする出世欲の強い自己保身の塊の男から返信メールが来ました。

「至らぬことがあれば、遺憾に存じます」

 何じゃ、こりゃあ? まるで政治家の国会答弁じゃないですか!

 この「至らぬことがあれば」の「あれば」が曲者です。本心は、至らぬことがあったとは、少しも思っていない。「あれば」は、よしんば仮に、という話です。あるとしても百億万分の一ぐらい。あったとしても知ったことはない。あくまでも、俺は何も悪いことはしていない、という主張です。

 この「遺憾」も謝罪になっていない。あくまでも他人事。百歩譲っても、「わーるいねえ、わーるいねえ」といった感じで、言い方も小松政夫風。反省も何にもしていないのです。

赤坂不動さんの好きな「義を見て為ざるは勇無きなり」の精神で思い切って、上申書を提出しても、本人は、今後の自分の出世に害が及ばぬよう、穏便に済ませたいだけですから、もう何をしても始まりませんね。暖簾に腕押しでした。

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 さて、先日は、偽メールに見事騙されてしまいました。アフリカの某国の御夫人で、これから日本に夫婦2人で行くので1週間、通訳ガイドしてほしい、といった英文での依頼です。ガイド料は、1週間で9000ユーロを予定している、といったものでした。

 私はその料金の多寡をよく確かめず、単に1週間という長期の期間は無理なので、真面目にお断りの返信を送ったのでした。そしたら、このメールは私以外に2人の日本人の通訳ガイドにも、同じ文面が送られていて、そのうちの1人から先ほど、「アフリカ人と称する人からメールが届いたと思いますが、それは詐欺メールです。私は8月20日にも同じようなメールが届き、今回が2度目です。御存知だったかもしれませんが、一応連絡を差し上げました。気をつけてくださいませ」と私に連絡をくださったのです。

 驚きました。同時に、わざわざ連絡してくださった面識の全くないMさんには感謝のメールを返信しておきました。

 詐欺グループの目的は分かりませんが、このままいけば、振り込みをするからという理由で、銀行口座を聞かれたり、何やかやと交渉してくることでしょう。

 詐欺も国際的になりました。しかも、メールという実に簡単な手段で。他にも毎日のように、「高額賞金が当選した」だの、「子どもが大病にかかり手術代が必要だ」だの、「亡命資金のための寄付をしてほしい」だのといったメールが飛び込んできます。そういう疑惑メールは、すぐ見破れますが、今回の「通訳依頼」メールには見事、騙されてしまいました。そうそう、いつぞやは、「Apple ID 変更」のお知らせには、まんまと引っ掛かるところでした。Apple のロゴや電話番号は本物と同じでしたが、メールアドレスが、変でした。Appleの Aの文字も入っていない、何か怪しげな、架空のメールアドレスでした。

 こういうメールは私だけに来るのかと思ったら、周囲にも結構、いることはいるんですね。とはいえ、このままでは「他人(ひと)を見たら泥棒と思え」の世界を地で行くしかない世の中になってきました。

 受信メールには、今後、細心の注意を払うことにしますが、随分せちがない世の中になったものです。

 

 

 

他人は変えられない

 浄土宗廓信寺

 私自身は、天才でも秀才でもなく、お金持ちでも富裕層でもない、単なる迷える凡夫ではありますが、世の中には自己保身が強く、自己の出世のために汲々としている人間を見ると怒りさえ覚えます。

 それが「社会の木鐸」と呼ばれ、裁判官のように関西電力の幹部を批判しているようなマスコミの人間となると尚更です。自分の出世のためなら、平気で嘘をつき、人を裏切り、逃げ隠れする卑怯な行為をしても何とも思っていません。

 先日、ラジオを聴いていたら、日本のジャズ界の至宝北村英治さんが見事なクラリネットのライブ演奏を聴かせてくれました。今年満90歳だというのに、失礼ながら全く音色は衰えていません。

 司会者が長生きの秘訣を聞いたところ、彼は「嫌な奴と付き合わないことかなあ」と即、答えていたので納得してしまいました(笑)。でも、仕事上、嫌な人間と付き合わざるを得ない人も多いはず。接客業となると相当大変です。アーティストだから、長生きできるのかもしれません。

 北村さんによると、ジャズ界にも嫌な奴がいるらしいですね。驚いたことに、大変著名なベニー・グッドマンやスタン・ゲッツなんかも非常に「嫌な人」らしく、北村氏も「いくら演奏が素晴らしくても、個人的には付き合いたくないなあ」と本音を漏らしていました。そう言えば、ジャズ・マンは個性的な人が多く、カルテットやクインテットを組んでも長続きするケースは少ないですよね。

浄土宗廓信寺  法然上人

 ということで、ここ2~3日は、人間関係で不愉快な日々が続きましたが、相手は梃子でも動くわけがなく、考え方も行いも変えるわけがなく、結局、こっちが変わるしかないんですよね。

 自然災害と同じです。いくら科学や技術が進歩しても、人間が台風の進路を変えたり、噴火を止めたりすることは不可能でしょう。

 そう言えば、人間も自然の一部でした。自然を変えられないと同じように、他人も変えられないのです。そう考えたら、スッキリしました。

新宿駅は尾張犬山藩成瀬家の下屋敷だった=「古地図で歩く江戸・東京」

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 「特別展 サムライ」を観に行った江戸東京博物館のミュージアムショップで、面白そうな本を見つけたので買ってきました。

 「江戸楽」編集部著「古地図で歩く江戸・東京」(メイツ出版)です。まさに、江戸時代の古地図と現代の地図が比較して見開きで掲載され、お勧め散歩コースまでついているのです。

 でも、私自身、江戸城も、八丁堀も、浅草も、ほとんど一度は散策したところが多く、既に教養と雑学知識も増えてしまっていますから、それほど新発見はありませんでした。

 というのは、ちょっと傲慢なので、この本を通して私自身が初めて知ったことを書き連ねていくことにしましょう。

 ●巣鴨にある「とげぬき地蔵」として知られる高岩寺。もともとは、慶長元年(1596年)に湯島に創建され、約60年後に下谷屏風坂(上野の現在、岩倉高校があるところ)に移転して、それから明治24年(1891年)、巣鴨に移っていったというのです。(この本にはそこまで詳しく書かれていませんでしたので、補足しておきました)

 江戸時代は、火事が多かったでしたから、寺院の移転も結構多くあったということでしょう。高岩寺は正式名称は曹洞宗萬頂山高岩寺です。曹洞宗だったんですね。

●現在、新宿御苑がある広大な敷地は、信州高遠藩の内藤家の下屋敷があったことはよく知られておりますが、さて、現在、新宿駅があるところは、江戸時代は何だったでしょうか?-何と、国宝になっている犬山城の城主尾張犬山藩成瀬家の下屋敷があったというのです。成瀬家は、組下の鉄砲隊・根来組を内藤新宿に配備していたそうです。

●「青山」の地名は、徳川家康から宅地を与えられた老中青山忠成が、美濃郡上藩の下屋敷を構えたことからそう呼ばれるようになったことは御存知だと思いますが、神保町は、御存知でしたか?-神保長治という旗本が住んでいたことから付けられたんですね。明治以降は多くの学校だけでなく、感染症患者を受け入れる神保院が建てられたそうです。

●市ヶ谷の防衛省の敷地は、御三家、尾張徳川藩の上屋敷だったんですね。邸内には「楽々園」と呼ばれる広大な庭園があったそうです。

以上

「久留米藩士江戸勤番長屋」は忍藩の尾崎石城さんの世界とそっくり=特別展「サムライ 天下太平を支えた人びと」

 10月だというのに気温30度の中、半袖姿で、東京・両国の江戸東京博物館で開催中(11月4日まで)の「特別展 士 サムライ 天下太平を支えた人びと」を観に行って来ました。 

 当初は全く観に行く予定はなかったのですが、「久留米藩士江戸勤番長屋絵巻」の展示が10月6日で終わってしまう、という告知を新聞で見つけたからでした。(それ以降は会期まで複製を展示)

 久留米藩というのは、個人的ながら私の髙田家の先祖の出身藩です。御舟手方御水主組頭だった髙田家は「五石六斗白太二人」という「三石一斗」の足軽よりほんの少しだけ身分が上の下級武士でしたが、武士の端くれです。江戸時代の武士階級の人口は、全体のわずか7%だったと言われていますから、下級武士とはいえ、立派なお侍です(笑)。(ちなみに、下級武士とは五〇石未満の武士ですから、五石六斗程度ではかなりの下級武士です。もともと髙田家は、どうも「卒族」だったのが、幕末辺りに「新士族」になったらしいのです。御舟手方の「旧士族」は、船頭で、これも大中小と御船頭並の四階級に分かれており、一人しかいない大船頭でもわずか十石一斗三升、白太四人扶持。下級武士でも御舟手方はそれほど高くない石高だったようです)

 狭い世界ですから、もしかして、この 「久留米藩士江戸勤番長屋絵巻」 に描かれた武士と、私の先祖は面識があったかもしれません。そう思うと見逃すわけには行きませんでした。

ふだんは買わない図録まで思い切って買ってしまいました。2343円

 会場に着いたら、いきなり通せんぼされました。荷物検査です。「ワールドカップ・ラグビーをやっているもので」と、汚い警備員服を着た係のおばさんは、済まなそうに理由を説明してましたが、豊田市なら分かりますが、両国なんかで、ラグビーやっていないでしょ!

 頭にきたのは、帰りの出口でも再度、荷物検査をさせられたことです。「さっき、入り口でやったじゃないか」と抗議すると、「まあ、入り口は入り口でして…、むにゃむにゃ…」といった感じでした。人を犯人扱いしやがって!

 入場料も1100円とチト高い。65歳以上になると半額ぐらいになるようでしたが、あたしはまだそこまで年は取っていませんでした。

 特別展は、同館の学芸員の皆さん方が知恵を集めて収集してきた「江戸の風俗画や古写真、古記録、手紙、道具類などサムライの日常を伝える資料およそ200点」が展示されていました。

 恐らく、 ほとんどの人のお目当ては、「幕末の三舟」と言われた勝海舟、高橋泥舟、山岡鉄舟の3人の記録や衣装、免許皆伝書などだったことでしょうが、私のお目当ては、最初に書いた通り、「久留米藩士江戸勤番長屋絵巻」でした。本物を観ることができて、打ち震えるほど感動しました。…あ、大袈裟でした。

「久留米藩江戸勤番長屋絵巻」。右上はTシャツや布バッグにプリントされて販売されてました。

  「江戸勤番」というのは、諸大名が参勤交代で江戸での定期的な居住を幕府から義務付けられていましたが、江戸にある大名屋敷に暮らす江戸詰めの家臣たちのことを指します。これには大名が地元からの参府から帰国までの行動を伴にする武士(単身赴任者が多かった)もいれば、一定期間、江戸に滞在して、屋敷の管理や幕府、諸大名との折衝などに当たる武士(定府=じょうふ=といって、妻帯が許された)もいて、いずれも、大名屋敷内の御長屋(勤番長屋)で起居していたといいます。

 この「久留米藩士江戸勤番長屋絵巻」は、かつて江戸勤番を体験した久留米有馬藩の家臣たちが、明治になって昔日を懐かしみ、同僚だった元御用絵師の三谷勝波に描かせたものです。序文は、元目付の戸田熊次郎。天保10年(1839年)前後の、三田赤羽根橋(現東京都港区三田)にあった久留米藩上屋敷に居住した藩士の日常の暮らしぶりが描かれています。

 この中で、「高原乙次郎の部屋にて暴飲の図」では、酒に酔った藩士たちが戸板をひっくり返したり、妙な踊りを踊っていたりしています。説明文にはこんなことが書かれていました。

 藩主有馬頼徳(ありま・よりのり)は帰国の間近に突如幕府から増上寺火の番を命じられる。このため、勤番士の帰国も延期、鬱屈冷めやらず暴飲乱交行の次第となった。天保10年4月5日の出来事。

 武士とはいえ、いかにも人間的な、です。

どうですか。それにしても、真面目に職務を遂行している姿よりも、酒盛りをしている場面が多く描かれていますね(笑)。私が今年7月19日の渓流斎ブログで取り上げた「謹慎中の武士が町人と僧侶と一緒にどんちゃん騒ぎ」の中で、大好きな忍藩の下級武士尾崎石城さんの描く酒盛りの世界とそっくりじゃあ、ありませんか!

悪名高き経産省と業界との癒着

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 岐阜の高山先生です。

 日本は「情報格差」が大きいと言われていますが、おそらく貴人の視野にも入っていないでしょう。

 一昨日から「競輪」のシステムに大障害が起こり、10月3日(金)、4日(土)の2日間、競輪が開催中止され、今日以降も開催が出来るかどうか、復旧のメドもたっていない状況です。

 スポーツ新聞各紙は、出走表が掲載できないので「お断り」を載せていますが、一般紙は勿論、テレビの低俗なワイドショウも全く取り上げていません。

 主催者の「JKA(公益財団法人)」の責任は大きいですが、この「JKA」は、競輪、オートレスを運営している経済産業省所管の団体で、霞が関の天下り組織なのです。

 JKAは「オッズデータの提供が出来なくなり、番組編成などの入力処理もできない。原因不明で、開発メーカーが今、調査している」としていますが、競輪の売り上げが、ここへきて急激に落ち込んでいます。近年は、開催地の自治体が続出しているだけに、これはその組織存在に大きな痛手になりそうです。

 恐らく、開発システムを委託した業者の手抜きがシステムダウンの原因だと思いますが、「JKA」とシステム委託業者との受発注にも、不明朗な関係や癒着があると疑われても仕方ないことでしょう。

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 福井県高浜町の森山栄治元助役が、関西電力会長以下20人へ贈与した巨額な賄賂もそうですが、経産省関連に、こういう不祥事は頻繁に起こっています。経産省と業者との腐れ縁は、こうした「原発ビジネス」に象徴されるように構造的にあるからです。

 業界は天下りを受けることで、利権を得る構造は、そう簡単に断ち切れるものではありませんね。そこに政治家も関わるわけです。今回の関電シンジケート事件では、安倍晋三首相の大のお気に入り、地元福井県選出の稲田朋美元防衛相、現自民党幹事長代行が、高浜町の森山元助役が取締役を務めていた警備会社から2013年までに計36万円の寄付金を受け取っていた事実も判明しました。

 しかも、今や「これが見えぬか!」と安倍首相の印籠を振りかざして、首相官邸で大権勢をふるっているのが、この悪名高き経産省出身の今井尚哉首相補佐官(安倍家と今井家は親戚)なのです。「選良」の国会議員よりも政治力があり、霞が関の官僚も人事での制裁を恐れて、今井補佐官のご機嫌を伺わないとどうにもこうにもならないわけです。

 これは、永田町で取材している政治部記者の間では常識ですが、大手マスコミはどこも書きませんね。渓流斎ブログも、知っていて書かないでしょう?(笑)

 「競輪の開催中止など、たいした問題じゃない」と考える人は、エスタブリッシュメントか似非エスタブリッシュメントなのです。

 こんないい加減なシステムを「公共財団法人」が採用していて、何が「カジノ誘致」ですか!競輪ファンしかこの事実を知らないというのは、いつもながら、いかに、問題ある事実や情報が、ごく一部にしか伝わっていないということの証左なのです。

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 そもそも、日本人の金持ちは、日本国内でカジノなんかやりませんよ。マネーロンダリングを兼ねてラスベガスやマカオに行くわけですから。「個人番号カード」で税務署に筒抜けの国内で誰がやりますか。

 だから、日本の賭博は、貧困層によって支えられているのです。麻雀もパチンコも、競輪も競馬も競艇も、現場に行けば、そりゃあ、1%ぐらいは貴賓席でふんぞり返っている大金持ちがいても、99%は貧民ですよ。

 つまり、日本の賭博業界は、貧困層によって支えられているわけです。一攫千金を夢見る庶民のささやかな楽しみであるわけです。だから、毎回「オケラ」になっても、彼らは死ぬまで賭博(ギャンブル)をやり続けるのです。

ポイント還元で8円儲かった、と思ったら、越後屋…!

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森林ジャーナリスト田中敦夫氏の公式ブログの「自己紹介」で、こんなことが書かれています。

ブログとは、書く瞬間の瞬発力で記すものだと考えています。意見も、その場の思いです。意見は時間とともに変わることもあります。だから、日時がたってからブログ記事を読んで、どうこう言わないでください。

書かれた情報や意見も、確実な裏を取ったり、熟考していません。そのつもりでお読みください。だから責任も負いません。その点は、仕事で執筆する雑誌や書籍の記事とは明確に一線を引いています。

「うまいこと言うなあ」と思い、勝手ながら引用させて頂きました。

 私も毎日、ころころと意見が変わるからです。節操がない、と言われればそれまでですが、仕方がないのです。「だって、人間だもん」です(笑)。くどくなるのでこれ以上書きませんが、昨日はそんなことを考えていたら、一行も書けなくなってしまいました。

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 さて、10月1日から消費税が10%に上がりました。しかし、軽減税率やら、ポイント還元やら、店内飲食なら10%なのに、お持ち帰りなら8%…等々、複雑でよく分かりません。

 一番笑ったのは、「オロナミンC」は8%なのに、「リポビタンD」は10%だとかで、「何じゃ、これ」ってな感じです。

 ポイント還元は、キャッシュレス化をもくろむ政府の企てですが、来年6月までということで、効果覿面とまでいくんでしょうか?ラヂオで聴いたのですが、今回の消費増税で、ざっくり言って、5兆円の税金が入りますが、軽減税率やらポイント還元やらで3兆円払い戻すので、結局、2兆円しか国庫に納まらないんだとか。「社会保障費が足りないから」と始めた消費税です。そんな中途半端でいいんですか?昔、奥村チヨさんも唄っていたじゃありませんか。「中途半端はやめて~」と。(この曲を知っているのは、55歳以上か?)

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 そんなことを言いながら、浅ましい庶民の私は「ポイント還元を受けたいものだ」と望んでいました。まず、スマホ決済なるものは、信用できないのでやらないことにしています。ネット上に銀行口座がダダモレで、信用できないからです。いつ、何処で、○○を買った、と個人情報まで抜き取られるそうじゃありませんか。嗚呼、怖ろしい。

 持っているカードは、通勤にJR東日本を利用しているので「スイカ」です。バスでも使いますが、スイカを使うと195円だったのが、10月1日から199円に跳ね上がっていました。「なあんだ、恩恵ないじゃん」と思っていたところ、今朝、携帯電話会社のプリペイドカードで、コンビニで週刊誌(420円)を買ったら、何と、「キャッシュレス還元」として8円も戻ってきました。

 「8円儲かった」と喜んでいたら、世間では、菓子折りの下に15万円の小判が10枚も忍ばせていたものを受け取った電力会社の社長はんがいてはったんですね。(関西電力の岩根茂樹社長、と書いても、辞任も時間の問題だと言われていますから、来年の今ごろは誰も覚えていないでしょう)

 でも「いいなあ…」。私も一生に一度でいいからそんな役柄を演じてみたい。勿論、台詞は、

 「ムフフフ、越後屋、お前も悪やのお~」

山名文夫を御存知でしたか?

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 10月1日だというのに、東京都心は気温29度と蒸し暑く、半袖で出勤しました。こんなこと、長い長い俸給通勤地獄生活で初めてです。

 昔は「暑さ、寒さも彼岸まで」とよく言ったものです。彼岸を過ぎれは猛暑もやんで、一気に秋らしくなっていました。10月1日は衣替えじゃなかったでしたっけ? 異常気象ですね。

 さて、話は変わって、今日も私が知らなかったことを書きます。

東京・銀座の資生堂本社

 大正から昭和にかけて活躍したグラフィックデザイナーの山名文夫(やまな・あやお、1897~1980)のことです。この方、御存知でしょうか? 私は不勉強にも知りませんでした。

 山名を最も有名にしたのが、化粧品の資生堂の蔓バラの「花椿マーク」です(原案は福原信三)。著作権やらうるさいので、このブログにその写真を掲載できませんが、誰でも御存知でしょう。資生堂の意匠部の社員だったこともあり、化粧品「de Luxe」の唐草模様などもを手掛けたのは山名だといいます。

とは言いながら、銀座の資生堂本社にある山名がデザインしたロゴマークを撮影してきました。これですの。

  昭和史に関心がある人はよく知っていますが、山名は昭和9年、名取洋之助が主宰する日本工房に参加して対外宣伝誌「NIPPON」の表紙絵まで描いておりました。へー、そうだったのか、ですよ。

 山名は戦後、多摩美大の教授なども務めますが、新潮社の新潮文庫の葡萄のロゴマークも彼のデザインでした。読書家の皆さんですから、あの葡萄のマークはよく御存知ですよね?

 山名文夫は戦前から有名で、太宰治の小説「皮膚と心」(昭和14年11月「文学界」初出)のモデル(主人公の若妻の旦那さん)だったのです。これまた、へー、そうだったのかあ、です。この作品、今では青空文庫で読めます。

 

森口豁著「紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人 池宮城秀意の反骨」を読む

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 最近の週末は台風(予報)のせいで、城めぐりができず、家で本ばっかり読んでいました。ガリ勉ですね。というのは、このブログの愛読者の皆様方には御承知の通り(笑)。

 でも、読書量は1カ月に8冊程度ではないでしょうか。

 かつて、もう30年ぐらい昔ですが、1カ月に40冊ぐらい読んでいました。1日1冊以上です。有り得ないでしょう。でも本当です。仕事(文藝担当記者)だったからです(笑)。通勤電車の中は当然、会社の勤務中も、信号待ちの立ったままでも、食事と睡眠時間を削り、暇さえあれば何処でもかしこでも読んでいました。まあ、それぐらいやらないと1日1冊以上は読めません。しかし、1年も続かなかったと思います。7カ月ぐらいで眼精と頭脳疲労でダウンして、1カ月25冊ぐらいにペースダウンしました。

 今はもうそんな体力も気力もありません。でも、この年齢で1カ月10冊弱は、相当な量だと思っています。

 というわけで、相変わらずの修行僧のような苦しい読書三昧です。今、もうすぐ読み終わりそうな本が、例の沖縄の上里さんから送って頂いた森口豁著「紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人 池宮城秀意の反骨」(彩流社、2019年6月23日初版)です。

 「琉球新報」社長などを歴任した反骨のジャーナリスト池宮城秀意(いけみやぐしく・しゅうい)の生涯を追ったノンフィクションの評伝です。

 よく「学者は易しいことを難しく書き、新聞記者は難しいことを易しく書く」と言われますが、その通りですね。著者の森口氏は、フリージャーナリストですが、かつて琉球新報の社会部記者を務めていたようで、この本は大変読みやすいです。筆が立つ、と言いますか、実に文章がうまい人です。お蔭で、沖縄独特の難読語の人名や地名が多く出てきても、すんなりと脳髄に入って来ました。

 池宮城秀意(1907~89)は、戦中戦後派のジャーナリストです。早大を卒業し、社会主義運動家として活動していたところ、治安維持法で逮捕され、3年もの牢獄生活を経て、「沖縄日報」の記者になります。しかし、新聞社の在り方に嫌気がさして退職し、沖縄県立図書館の司書になります。沖縄戦となり、38歳で徴兵(正確には防衛召集)され、死屍累々の戦場で「銃を持たない二等兵」として生き抜きます。戦後は請われて再びジャーナリズムの世界に戻り、「ウルマ新報(後に琉球新報)」編集長、一旦、退職してから再び返り咲いて、同社社長を務めますが、経営悪化の責任を取って辞任します。その後も沖縄の米軍基地問題や、自然破壊などについて発言を続けます。

 と、書きながら、私自身はこの本を読むまでは、池宮城秀意のことは全く知りませんでした。時代のせいなのか、波乱万丈の生涯です。子ども7人の一家の大黒柱なのに、自分の信念のために、あっさりと新聞社を退職してしまうところは、とても常人とは思えません。まさに反骨のジャーナリストです。

 上里さんが何故、私にこの本を送ってくださったのか、深い理由は分かりませんが、「もっと勉強してください」ということだったのかもしれません。

◇沖縄の悲劇

 沖縄の学童を本土に疎開させるため運航された「対馬丸」 (6754トン) は昭和19年8月22日、米潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没します。犠牲者は引率教師を含めて1484人。この「対馬丸」の話は有名で私も知っておりましたが、これ以前にも「湖南丸」(2627トン)「嘉義丸」(2509トン)など4隻もの疎開船が撃沈されて、合わせて1490人の学童らが亡くなっていたことは知りませんでした。戦争とはいえ、無辜の疎開学童を殺害するとは酷いことをするものです。

 この本の88ページに出てきますが、あの沖縄戦での戦死没者の総数は、国がまとめたものによるとー。

 日本軍側(沖縄県以外の出身者)6万5908人

     (沖縄県出身者)2万8228人

 沖縄県民 9万4000人

 米軍側(含む行方不明者=米陸軍省まとめ)1万2520人

 昭和15年の沖縄県の人口は57万4579人だったことから(昭和20年は国勢調査が実施できず)、およそ沖縄県民の5人1人が先の戦争で亡くなったことになります。

 つまり、戦後の日本の平和は沖縄県民の犠牲の上で成り立ったと言っても過言ではありません。

 しかも、今でも 国土面積の0.6%しかない沖縄県に、 全国の米軍専用施設面積の70%が集中しているという事実があるというのに、本土の多くの人は無関心か他人事のように思っています。

 私のような凡俗が何を言っても始まりませんが、もう少し沖縄問題に関心を持つべきではないでしょうか。「沖縄の県紙2紙はつぶさなあかん」と暴言を吐く人間が、この世に存在しますが、江戸幕府初期に島津薩摩藩による「琉球征伐」を受けて以来、ヤマトンチューに苦しめられ続けてきた沖縄の人たちが可哀想じゃないか。