銀座にて
タレントで司会者で放送作家で元国会議員の大橋巨泉さんが82歳で亡くなられたそうで、もう、何年も前から御病気で何度も手術をされていましたから、いつかはという気がしてましたが、やはり、現実を目の前にすると不思議にも意外な気がしました。
電気紙芝居の中でしか知りませんが、あんな太々しい繊細さに欠ける傲慢な人で、自分の趣味や遊びを仕事にしてしまう羨ましい才能の持ち主は、そういないことでせう。あの人は、生まれてこの方、人には一度も頭を下げずに生きてこられた方だったのでは?
サラリーマン諸君は、そんな生き方ができなかったので、彼に対してはやっかみ半分、憧れ半分てとこだったんじゃないでせうか。
ただ、彼の凄かったことは、56歳にしてセミリタイア宣言して、電気紙芝居のレギュラー番組から降りたことでしょう。まだまだ人気は衰えず、視聴率は、稼げたでしょうが、彼なりの美学と潔さがありました。
そして、「11PM」などで彼が好んで取り上げたギャンブルやストリップに俗臭が漂っていたにせよ、リミットぎりぎりの品性がありましたね。
当時は、低俗番組と批判されたとはいえ、今の脳味噌が腐るような紙芝居番組と比べれば、かなり上品にさえ見えてきてしまいます。
大橋巨泉がセミリタイアしたのは、1990年のことですから、26年も昔。もはや彼の全盛期を同時代に体験した人も少なくなってきたことでしょう。
「巨泉・前武のゲバゲバ 90分」や「クイズダービー」なんか面白かったなあ…。
昭和も遠くなりにけり、です。