たかちやん
ここ最近、仕事が終われば、真っ直ぐに家に帰り、まさに会社と自宅の往復の連続でした。
途中で道草を食わず、呑みにも行かず、賭博場にも行かず、夜の蝶にも会いに行かず、質実剛健、品行方正。
髭も剃らず、息も潜め、目立たぬように、生かさぬよう殺さぬように生きてきました。
そしたら、やはり、時々、フト、偶には、羽目を外したくなります。でも、ま、あたしのばやい、かわいいもんですよ。(笑)
昨晩は、仕事が終わって、ついに、イエジー・スコリモフスキ監督作品「11minutes」を都内のアジトで見てきました。
終わって、
「うーん、なるほどね」
「そっか、この手があったか」
と、やはり、脱帽しました。
ジグゾーパズルみたいな映画です。
色んな曰く有り気な老若男女が何の脈絡もなく登場して、何事もないような、あるような日常風景が都会のワルシャワで展開されます。
その時、教会の鐘が午後5時を知らせます。
中心になる所は、国際ホテルです。よく目立つところに、各国の旗がひらめき、日の丸が一番目立っていました。
あらすじは、昨日少し書いたので、深く立ち入るのはやめましょう。
一応、スリラー、サスペンス映画ということらしいですから、ネタをバラしたら、炎上はともかく、まあ、ルール違反ですからね。
見てのお楽しみ、てところでしょうか。
あっと驚く為五郎です(古い!)
ネットサーフィンをしていたら、この映画の感想が載っていました。匿名で性別年齢国籍不詳。流暢な英語で書かれているので、ネイティヴの英語圏の中年男性と想像されました。
そこには、はっきりと「駄作。時間とお金の無駄。何事も起きない。ポーランド人は面白いかもしれないが、他の国では全く受けないだろう」とコテンパンに貶していました。
そっかなあ?
私は、大変面白く拝見しましたけどね。何か、ハリウッド映画の批判というか、茶化しが入っていました。
何事か起きます。空に浮かぶ黒いシミ。都心のど真ん中を低空飛行で離着陸する大型ジェット、ハアハア言いながら歩く犬の目線…最後は、私の予想に反してどんでん返しが起こります。
この映画の予告編やオフィシャルサイトの写真も事前に見ていて、嗚呼、なるほど、こうやって断片が繋がるのか、と謎が解けた感じでした。
久しぶりの不良行為で、流石に大変疲れはしましたが、決して、時間とお金の無駄にはならなかったと思いますよ、匿名さん。
本日26日の読売新聞夕刊に、スコリモフスキ監督のインタビュー記事が掲載されていました。
この映画「11minutes」をつくった動機は、数年前に次男が病気で亡くなり、その次男の母親である前妻が後追い自殺をしてから、かなり落ち込み、何も手につかず、悪夢を見るようになった体験を表現したかったからだそうです。
そっかあ。スコリモフスキ監督は78歳。この歳て全く枯れていない。それに、こんな話を聞けば、見直してしまいました。訂正して満点にすることにしました。