グローバリズムの破綻

皆さん、こんばんは(ミラノのホテルで)

「暑さ寒さも彼岸迄」のはずが、お彼岸を過ぎても都心では30度近くあり、なかなか過ごしやすくなりませんね。

特に、べとつく不愉快な高い湿度は、やはり、日本はアジアだなあ、という感じがします。そう言えば、イタリアは随分乾燥してました。

ところで、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が、来月来日するということで、事前にインタビュー記事が、本日の朝日新聞に掲載されており、興味深く拝読しました。

来日講演は是非とも聴きたかったのですが、生憎、仕事で行けず残念です。

トッド氏は、かつて渓流斎ブログ(消滅)で何度も登場しましたが、サルトルの親友でもある作家ポール・二ザンの孫で、ソ連邦崩壊などを「予言」した人としても知られています。

以下は、インタビュー記事をざっと速読しただけの感想ですが、今回、トッド氏は、米国のユナラテラリズム(単独覇権主義)は凋落し、かなり、国力を牽引してきたはずの働き盛りの白人が、相当疲弊し、自殺者が増加していることを指摘しておりました。

自殺までいかなくても、ストレス肥満や薬物依存や退職後の生活不安などに苛まれているようです。その現れが、トランプやサンダース両大統領候補に対する熱烈な支持で、特に、トランプ氏に関しては、彼の暴言は行き過ぎであっても、彼を支持する白人貧困層には一理ある、と認めていますね。

これら白人貧困層を追い詰めた要因の一つが、グローバリズムであることを喝破したことは、いかにもトッド氏らしい。

昨日、栗林提督からコメントが御座いまして、「欧州では、ナショナリズム=ナチズムと思われても仕方ない」といったご趣旨の批判を受けましたが、そのナショナリズムが、欧米では現在、妖怪のように跋扈していると言ってもいいでしょう。

トッド氏は、その具体的な現れの一つが、「英国のEU離脱だ」と明解に答えています。

同時に、民主主義は(狭い)国内=ナショナルでしか通用せず、EUになると、その責任の所在が曖昧になって機能しない、といったような趣旨の発言もしていました。

確かに、ブリュッセルのEU官僚が年収2000万円かそれ以上も貰って踏ん反り返っていては、貴族社会の「王制復古」みたいですからね。

私自身は、これらのトッド氏の発言は、「近いうちに、EUやグローバリズムは崩壊する」と予言しているのではないかと解釈しました。

地頭の悪い渓流斎

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