「仙台藩士幕末世界一周」とhontoのこと

亀戸天神 藤棚 Copyright par Priest Syakushodou

本日は、人様のふんどしをお借りして相撲を取る所存。つまり、写真も文章も勝手ながら、大変優秀な皆様方から引用させていただくことに致します(笑)。

 写真は、最近、悪の道から離れて改心された釈正道老師。大変お忙しい中、上野山の東照宮の牡丹祭と亀戸天神の藤棚の写真を撮影して「寄進」してくださいました。

 文章は、最近、「ドライビング・ヒストリック・アメリカ」(同時代社)を上梓された松岡將氏。以下は、同氏から小生宛の私信メールで、個人情報もありますが、なるべく「素材」を生かして進めていきたいと存じます。(新聞協会の用語集に準拠して漢字に改めた箇所などあります)

上野・東照宮 牡丹祭 Copyright par Priest Syakushodou

 渓流斎様

(前・中略)

 ところで、「ドライビング・ヒストリック・アメリカ」(同時代社)の謹呈先の一人に、生粋の仙台っ子で、小生の東北学院中・高在学時の6年間一緒で、いつも仲良くトップを争そっていた三浦信なる人物(東北大工学部電気通信科から郵政省入りし、ジュネーブ在の国際電波割当委員会=当時=の事務局長などを歴任)がいるのですが、その彼から連絡があって、彼の五代前の祖先、仙台藩士玉蟲左大夫誼茂が、(「ドライビング・ヒストリック・アメリカ」第Ⅵ話にでてくる)ポーハタン号に乗艦してアメリカに行ったということを思い出して電話で教えてくれたのでした(不覚にも小生は寡聞にしてそれまで不存知)。

  早速、調べて見ると、玉蟲左大夫というのは仙台伊達藩の家臣で、その筆力を買われて仙台伊達藩の随員としてポーハタン号に乗って世界一周し、鋭い観察眼による「航米日録」なる長大な日誌を残していました。その後、戊辰戦役の際、奥羽越列藩同盟にあって、主要な役割を果たしたため、明治2年、戊辰戦役敗戦後捕縛され、仙台藩牢中で切腹した人物でした。明治維新後も勝海舟や榎本武揚の如くに存命であったなら、さぞかし“男を上げていたろうに”と思うと、まことに残念であるとともに、仙台藩の戊辰戦役敗戦処理が、明治大正昭和期に至るまで東北地方にもたらしたマイナスに、改めて想いを馳せつつ、ネット上で「うつつなく太守のブログ」玉虫左大夫のこと〜「仙台藩の坂本龍馬」と呼ばれた男の惜しむべき最期」という記事を発見して、彼の墓の所在を突き止め、そのネット上でのお墓参りもやったのでした。

 その後の旧友三浦君との電話連絡や小生の更なる調査で、岩波書店に「航米日録」が所収出版されていることのほか、玉蟲左大夫の残された三人の孫娘が、それぞれ山本、三浦、玉蟲姓を名乗り(明治22年の憲法発布時に玉蟲家のお家再興が許され、その際未婚だった三番目が婿取りをした――その孫が、有名な玉蟲文一)、その山本家の(小生と同じ年代の)玄孫、山本三郎氏が、2010年に、在仙台の「荒蝦夷」社から、「仙台藩士幕末世界一周」なる、玉蟲左大夫の「航米日録」のいわば現代語訳を出版していることを知りました。

 そんなこんなで、三浦君が早速、手持ちの「仙台藩士幕末世界一周」を送ってくれ、現在、手許でパラ見していますが、500ページにも及ぶ立派な本であり、玉蟲左大夫の玄孫である著者の山本三郎氏の心意気を、改めて感じています。なお、数年前に亡くなられた彼は、小生の二期下の東北大法学部卒で東北放送の出身。どうやら、最晩年をもっぱら仙台で、「仙台藩士幕末世界一周」の執筆、出版、普及に充てたようです。

 小生にあっては、たまたま、ポカホンタスとの関連から、ポーハタン号に言及していたのだが、それが、今回のような“出逢い”となって、三浦信君ともども「お互い長生きした結果だ」と喜び合っています。

 そんな次第であるので、もし貴兄が、山本三郎著「仙台藩士幕末世界一周」(2010年、荒蝦夷)を未読であれば、(2300円+税という安価でもあり)騙されたと思って是非ご購入の上、あちこちチラ見して、「たった一世紀半前の日本とアメリカ」とに、想いを馳せて下さい。

敬具

亀戸天神 藤棚 Copyright par Priest Syakushodou

 如何ですか?このようなメールを頂けば、「仙台藩士幕末世界一周」を購入したくなりますよね。もう10年以上昔の本ですから、本屋さんにあるかどうか…。手始めに、いつも私が利用している楽天の通販で検索してみました。

 残念ながらヒットしませんでした。

 仕方がないので、アマゾンで検索してみました。(仕方ない、というのは、別にベゾスさんとお友達でもないし、会ったこともないからです)すると、3389円+送料257円でした。あれっ?松岡氏の話では、2300円+税という話じゃなかったでしたっけ?

 よく見たら、中古本でした。それが一番安く、一番高いものは1万円以上もしました。新品も一番安くて6640円です。あれ?話が違う。。。稀覯本になってしまったのか?ちょっと、手が出ませんね。

 諦めかけていたところ、hontoという本専門の通販サイトが見つかりました(後で分かったのは、これは大日本印刷が運営するオンライン書店でした!)ここでは「仙台藩士幕末世界一周」は税込み2310円(他に送料等440円)で売っておりました。

 これなら話が合うので、早速、会員登録して購入することにしました。このhontoというサイトはなかなか優れもので、色々検索すると、欲しい本の在庫がある全国の書店まで紹介してくれます。hontoから宣伝費を貰っているわけではありませんが(笑)、もし、御存知でなかった方にはお勧めです。

“「仙台藩士幕末世界一周」とhontoのこと” への2件の返信

  1. 先週金曜日、山手線某駅ビルの書店に取置きしてもらっていた、エマニュエル・トッド の「思考地図」を受け取った時、その日の朝刊で目の端に留まっていた「生贄探し」があると云うので、迷わず購入。
    どっちがメインだ!と言われそうですが、サブの方から読みはじめたら、これが止められず、実に秀抜!
    中野信子とヤマザキマリの遣り取りですが、副題が、〈暴走する脳〉で、簡にして要を得、一気読み、脱帽しました。
    あまりに面白く、素晴らしかったので、図書券の贈呈者にも悪友にもとお節介を思い立ち、2冊追加買いすべく、翌朝大型書店に電話するも、宣言下どこも閉店の憂き目。為政者の頭の中が推し量られる・・・。文化度ゼロどころか、マイナスと断罪したい。自宅に籠れと喧伝かまびすしくも、本も手に入らないとは、ブチ切れ寸前でした。根拠を明示しない、なし崩し策ばかりで、一年余。信用を得るにはどうすれば良いか、まさにその答えの一つがこの本の中にあって、拍手喝采。
    書店閉店の絶望のさなか、honto をご教示いただくというタイミングの良さ、注文して翌26日には届きました。大感謝この上もありません。さすが、本の虫、ならぬ、鹿?(御無礼御容赦)、連日閲覧の甲斐ここにあり、と感涙にむせびました。 

    1. えーー!?
      あれっ? もしかしましたら、「空飛ぶ転校生」様は、古いgooブログの頃から、もう10年以上昔に何度もコメントを頂いたあの「空飛ぶ転校生」さんですか? ということは、あれからもずっと読み続けてくださっていたのですか? 驚きですが、大変嬉しい限りです。こちらは、どなたがアクセスして頂いているのか分からないもので。
       拙ブログが何か少しでもお役に立てれば、こんな嬉しいことはありません。有難う御座いました。
      恐惶謹言 渓流斎

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