伊太利亜ヴェニス
まだ少し風邪が治り切らず、ウダウダとした週末を過ごしてしまいました。
で、昭和24年に公開されて大ヒットした映画「青い山脈」を見てしまいました。
今更ながらです(笑)。映画史に残る名作と言われ、よく知ってはおりましたが、実際に観るのは今回が初めてでした。
当時のベストセラー作家石坂洋次郎原作。監督は、巨匠今井正。
昭和24年と言えば、いまだに日本は米軍の占領下にありました。映画ですから、いまだにGHQのG2による検閲が続いていたと思われます。
そういう訳ではないでしょうが、台詞の中にやたらと、古い価値観を「封建的」だのと一刀両断し、戦争が終わったのだから、これからは「民主的」に話し合いで決めましょう、といった言葉が頻繁します。
今の映画ではもうまずあり得ないでしょう。
主役を一人挙げるとすれば、英語の島崎雪子先生役の原節子となるでしょうが、校医沼田玉雄先生役の龍崎一郎、高校生金谷六助役の池部良、女子高生寺沢新子役の杉葉子、それに芸者梅太郎役の木暮実千子らがしっかりと脇を固めています。
殆どの俳優が故人となった中、当時抜群のプロポーションで水着姿を披露した新子役の杉葉子さんは昭和3年生まれで、現在、米国でご健在のようです。
私は、戦後50年に当たる1995年に、俳優の池部良さんにお会いしたことがあります。場所は、当時池部さんがお住まいの自宅近くの目黒のホテルでした。
もう今では大変有名な話ですが、池部さんは、戦争中、南方に派遣される途中、乗っていた輸送船が米軍の潜水艦により撃沈され、10時間も海上で漂流し、生と死の紙一重の壮絶な体験をしておられます。
復員したのも、終戦の翌年で、この映画「青い山脈」では、18歳の高校生役でしたが、「当時はもう30歳を過ぎていましたが、これまでの遅れを取り戻そうと必死でした」とお話しされていたことが今でも私の耳の奥底に残っています。