米国は日本に朝貢を求めているのか?

 長白(白頭)山(中国)Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

2月10日にアメリカのトランプ大統領と会談する安倍首相が、「手土産」として、「51兆円のインフラ投資と70万人の雇用創出」を持っていくそうですね。

さすがに、首相側近も「そりゃあ、あんまりだあ。そんなことしたあ、朝貢になってしまうだあ」と叫んだとか。

確かに、的を射た発言です。

もしかしたら、なかなか出てこなかったアベノミクスの第3の矢とは、このことだったのかもしれません(笑)。
 ハバロフスクを流れるアムール Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

魏志倭人伝によれば、かつての朝貢といえば、生口でした。お金も大した産業も郷土産品もなかった時代で、貢ぐことができたのは、労働力しかなかったわけですから。

生口とは、いわば奴隷ですから、今では完璧なヒューマン・トラフィッキング、つまりは人身売買になってしまいますから違法です。いくら何でも南北戦争時代に戻るのはアナクロニズムですからね。

金で解決しようという魂胆なんでしょう。

それにしても、51兆円だなんて、政府開発援助(ODA)なのか、とすら思ってしまいますよ。

相手は世界一の軍事大国ですよ。世界一飛び抜けた経済大国ですよ。何で、非正規雇用と重税に喘ぐ日本の庶民が、メガバンクや政策投資銀行や公的年金まで差し出して、援助交際しなけりゃならないんでしょうかね?

あ、交際は余計な言葉でした(笑)。

黒龍江(中国・黒河にて)Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

アメリカが「錆びたドヤ街」となって、良心的な庶民の生活が脅かさるようになったのは、自由主義経済の当然の帰結です。

もうアメリカ人は、ミャンマー人やカンボジア人やバングラデシュ人並みの賃金では働けないでしょう?

経営者は当然、安い労働市場を求めて工場を海外に移転しますよ。

トランプさんは、日本でアメ車が売れないと怒りまくってますけど、関税ゼロだという事実すら知らないおめでたい人なんでしょう。

金持ちの日本人ならどうせ外車を買うなら、アメ車よりベンツやポルシェやフェラーリを選んでいるに過ぎないのです。それは、性能であり、燃費であり、デザインであり、費用対効果的価格なんでしょう。単なる見栄かもしれませんが(笑)。

アメ車は、総合的にいずれもドイツ車やイタリア車に劣っているから、自由主義経済の結果、売れないだけでしょう。

それなのに、もし、トランプ大統領が核ボタンをチラつかせながら、日本に朝貢を迫るのだとしたら、アメリカの威信は地に堕ちたり、ですよね。

いや、頭の賢い、「弱者」(札幌の雪祭先生)のトランプさんのことですから、そこまで脅しすかしたりはしないでしょう。

全て、安倍首相が、英語には言葉そのものがない「惻隠の情」で、可哀想なアメリカ庶民を慮ったのでしょう。

日本的なあまりにも日本的な…。

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