時事通信社が発行する「世界週報」という雑誌は、国際情報誌ですが、ここにユニークなコラムが昨秋から毎週掲載されています。「ドクター観幾の占い学入門」というコーナーです。
占い?と馬鹿にするなかれ。これが実に奥が深く、示唆に富み、日本人の文化、慣習、言語、風習に溶け込んでいるか、唖然としてしまうほど詳述されているのです。いずれ、単行本化されると思うのですが、毎週、色んな話題を取り上げているので、お暇な方は立ち読みでもしてください。
膨大なことが書かれているので、一つだけ取り上げると、相撲で行司が「ハッケヨイ、残った、残った」と言いますが、この「ハッケヨイ」って何だと思いますか?これが、「八卦良い」ということだったのです。行司さんが、勝負の行方を占っていたんですね。
八卦というのは、「太極」という宇宙が「ビッグバン」で「陰」と「陽」の「両義」に分裂し、この両義が「陽陽」「陽陰」「陰陽」「陰陰」の4つに分裂し、さらにこの「四象」が「陽陽陽」「陽陽陰」…の順列組み合わせで8つの「卦」に分裂します。これを「八卦」(はっけ、もしくは、はっか)と呼びます。
この八卦を組み合わせて、64通りにそれぞれ意味を持たせて易を占います。これが「易経」です。易経は、古代中国の周の時代に考案されたもので、またの名を周易とも呼ばれます。中国の有名な高位高官の超難関任官試験「科挙」では「四書五経」が必須科目でしたが、『四書』は「論語」「孟子」「大学」「中庸」、『五経』は「易」「書」「詩」「礼」の5種の経典のことです。そう、五経の中の第一の科目として「易経」を学んでいたわけですね。
「易経」で古代の中国皇帝は、自然現象、人間関係、方位、徳目などを占っていたのですが、むしろ政治学、宇宙哲学・倫理として学んでいたのです。皇帝を補佐する高位高官の必須科目になるわけです。
今日はこの辺で止めておきます。