人間なんて…それより地球の歴史が面白い=「フォッサマグナ」を知ってますか?

 石井妙子著「女帝 小池百合子」(文藝春秋)なんかを読んだりすると、「人間って嫌だなあ」とつくづく思ってしまいます。どうも「他人を支配したい」とか「他人より楽して金儲けしたい」というのが根本にあるようで、他人を利用(搾取)したり、簡単に裏切ったりするのは当たり前。戦国時代なら、親子だろうが伯父、甥だろうが、上司だろうが、跡目争いのためには人殺しなんか日常茶飯事でしたからね。

 特に歴史に名を残すような人間は、人一倍、野心と虚栄心が強く、上にはひいこらしても、下は奴隷扱いで、自己の目的を達成するためには不義、不正でも手段を選ばず、他人を蹴落とし、平気で大嘘をついて、虚飾だらけの見栄っ張りが多いような気がするのは私だけではないと思います。

 これらに加えて、人間には愚痴や羨望心や嫉妬、やっかみ、誹謗中傷、悪口、いじめ、無視、告げ口、盗聴、盗撮、詐欺、脅し、暴行などがあります。

 生きていれば、毎日こんな人間を相手にしなければならないとは…、そりゃあ、誰だってミザントロープになりたくなりますよ。

裏磐梯・五色沼の柳沼

 そんな時は、悩んでばかりいないで、壮大なことに触れるのが一番良いですね。例えば、宇宙とか、何千万光年も離れた星座とか、人間なんか及びもつかない悠久の世界です。

 フランスの文化人類学者レヴィ・ストロースが言うように「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」(「悲しき熱帯」)というのは昨今の気候変動でますます真実性を帯びてきたと思います。

 最近、私は、まだ人間なんか登場していない「地学」に興味を持つようになりました。NHKの番組「ブラタモリ」の影響のせいかもかもしれません。

 先日は、番組で、糸魚川ー静岡構造線(糸静線)と「フォッサマグナ」をやっていましたが、実に面白かったです。ただ、バラエティー番組?なので、メモも取らず、寝っ転がってのんべんだらりと見ていたせいか、表面的な理解で終わってしまい、後で、「何たることかあぁー!」と、自分自身の疑問に3日も経って気が付いたほどです(笑)。

 私自身の地学の知識は、中学生程度のレベルですが、今や、その上に、優秀な学者さんによる最新機器によるシミュレーションや研究で新しい事実が次々と発見され、インテリジェンスは昔と比べられないくらい更新されています。

 私なんか「フォッサマグナ(大きな溝)」とは、幅が数百メートルか、せいぜい1キロ程度の断層かと思っていたら、先ほどの糸静線を西の端として、東の端は新発田ー小出構造線と柏崎ー千葉構造線だといいいますから(異説あり)、本州中央部、中部地方から関東地方にかけての縦断地域がすっぽり入ってしまうということになります(文末の糸魚川市HP参照)。

 番組で覚えていることは、もともと日本列島は大陸にあったのですが、2000万年前の地殻変動によって島として分断されたといいます。しかも大きな一つの島ではなく、南北二つに分かれた島が分離しました。その南北の島の間の海だったところが、いわばフォッサマグナで、1500万年前ぐらいから活発になった地殻変動やら火山活動などで、火山灰や砂岩、泥岩(この二つが交互に重なって埋まると「砂岩泥岩互層」が出来たとか)などがその南北間の海に大量に積もって、くっついてしまい、そのお蔭で、一つの島になったというのです。(番組ではやってませんでしたが、この後、この一つの島から北海道、四国、九州が離れて出来ていくのでしょう。人間なんか全く存在しない時代ですよ)

 北島と南島の境界の海の深さは6000メートルだったそうです。それが、火山灰や溶岩、砂岩、泥岩などで全部埋まってしまうどころか、数千メートル級の山まで出来てしまったわけで、番組では「エベレスト級の山々がすっぽり入る」と解説していました。

 もともと海だったところが埋まって出来たフォッサマグナは、繰り返しになりますが、本州中央部と中部地方から関東地方に当たり、首都東京も入りますから、うろ覚えですが、番組では「日本の人口の三分の一がフォッサマグナに住んでいる」とやっていました。

 番組を見て、3日ほど経ってから、番組の中では一言も言ってくれませんでしたが、私はある重要な事実に気が付きました。「なあんだ、フォッサマグナに富士山がある!」

 となると、日本一の富士山というのは活火山ですから、マグマを底に秘めているとはいえ、水深6000メートルの海に1万メートル近くの溶岩や砂岩や泥岩などが積み重なって出来たということなんでしょうか?

 実に、実に壮大な話ですよね。

 イザコザや、皮肉や、やっかみだらけの人類の歴史よりも、地球の歴史の方が遥かにダイナミックで面白いんじゃないでしょうか?

 ※なお、「フォッサマグナ」に関しましては、糸魚川市のHPをリンクさせて頂きました。

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