ミラノ
公開日時: 2006年11月20日 @ 09:51
旧聞に属しますが、西武ライオンズの松坂投手の米大リーグへの移籍金が60億円というニュースには大変驚かされました。交渉権を獲得したのは、ボストン・レッドソックス。この60億円は、どこから出てくるのでしょうかね。松坂のキャラクターグッズやユニフォームや、日本人観戦客など「ジャパンマネー」を期待しているようですが、それにしても、その財力には魂げてしまいました。
イチロー、城島が所属するシアトル・マリナーズのオーナーは日本の任天堂、セントルイス・カージナルスのオーナーは、バドワイザー・ビールなどで知られるアンホイザー・ブシュ、テキサス・レンジャーズのオーナーは、ブッシュ米大統領もかつて名を連ねたこともあるテキサスのオイル会社の共同体…であることは有名な話ですが、さて、レッドソックスは誰なのかなあ、と思ったら、ジョン・ヘンリーという投資家でした。この人は、一介の農民から身を起こして巨万の富を築き上げた人です。相場の大きな流れをじっと忍耐強く分析して投資する「トレンドフォロー」を実践した人としても知られています。
さて、今、私が言いたいのは、球の投げ打ち遊びのために、60億円もの巨万の資金を投入できるアメリカ社会は、現在、戦争中であるという事実です。日本では、とても考えられないことです。先の大戦中は、国家総動員法が導入され、資源のない日本では、お寺の鐘から個人のご先祖様のお宝まで、国に強制的に拠出させられました。
懐の深いアメリカでは、そんなことはないようです。戦争資金の捻出のために、教会の鐘を売ったなどという話はきいたことはありません。
それは、思うに、今のイラク戦争は、アメリカ国民にとっても他人事だからではないでしょうか。現在、イラク戦争に行っている若者の大半は、学歴のない貧困層か、大学に行く奨学金を得るために仕方なく軍隊に志願した貧困層であることが統計で明らかになっています。そして、その殆どが、アフリカ系やアジア系などの有色人種の若者です。フリードマンによる「格差社会」で生み出された若者たちです。
「金持ち喧嘩せず」で、大半のアメリカ人にとって戦争は、他人事の話なのでしょう。だから、戦争中だというのに、球遊びのために60億円もの大金を払うことが出来るのです。私はそう思います。