ヴェニス
公開日時: 2006年11月29日 @ 11:13
またまた友人のT君の話です。皆様にはすっかりお馴染みになりました。
無一物の彼に、私がラジカセやらパソコンやらをあげた話をこのブログに書きました。それが、昨日、急に、それらを宅急便で送り返してきたのです。何事かと思いました。彼といると、毎日、映画を見ているようで、生活はドラマチックです。
どうやら、いったん、郷里の中部地方に戻ることにしたようです。しかし、現在、住んでいる所は、私の友人のK君のお母さんの経営するアパートの一室に間借りしている状態。「私物を置いたままにするわけにはいかなかった」と、彼自信が判断したようです。
彼がいったん、郷里に戻ることにしたのは、就職活動がうまくいっていないことが遠因にあります。目下住んでいる埼玉県A市の市役所に、失業保険や障害者手当てや年金などについて、窓口で相談に行ったところ、「故郷に帰ったらどうですか」と諭されたらしいのです。故郷に帰っても、地方は疲弊してますから、ますます、就職口は見つかりません。
要するに、お役所は「臭いものには蓋」的考え方しかできず、厄介なことはたらい回しにして、責任逃れをしたかっただけなのです。T君の故郷の市役所に行っても同じことを言われるでしょう。「ああ、Tさん、東京の方が仕事見つかるのではないでしょうか」
まさしく、行政のたらい回しです。
私は、荷物を送り返されたとき、ひと言も相談してくれなかったT君に対して「水臭いなあ」と怒りに近いものを感じたのですが、彼に電話すると「送ってから、気が付いた」と彼は言うのです。全く悪気はなく、他人に迷惑をかけたくないということだけで、頭がいっぱいだったようです。
それだけ、彼は純粋なのです。
彼の人生の旅はまだまだ続きます。