銀座、ちょっと気になるスポット(6)=新橋停車場跡と幻の凱旋門

 銀座、と銘打ちながら、またまた銀座からちょっと離れた新橋のスポットです。でも、私の銀座にある会社から歩いていける距離にありますからいいじゃないですか(笑)。

旧新橋停車場 開業150年

 明治5年に開業した新橋停車場跡です。昔はこんな立派な「復元建物」はなかったのですが、2003年に、こんな豪勢な駅舎が「復活」しました。

 明治にこの新橋停車場が開業したお蔭で、銀座への表玄関となり、横浜居留の外国人たちも次々と「文明開化」のシンボル・銀座に繰り出したということですから、ここも「気になる銀座のスポット」として十分通用することでしょう。

 不勉強な私は、40歳ぐらいまで日本最初の鉄道駅である新橋駅は、今のJR新橋駅だとばかり思っていたのですが、明治の新橋駅はそこから東へ650メートル程離れた、地名で言うと汐留にありました。今の汐留は、日本テレビや電通や共同通信などのマスコミの豪奢な高層ビルが林立しています。(電通本社ビルは3000億円で不動産会社に売却されたようですが)

新橋停車場 開業150年

 今年は、ちょうど鉄道開業150年ということで、この駅舎の跡に出来た「旧新橋停車場」内の「鉄道歴史展示室」で企画展が開催されています。主催は東日本鉄道文化財団ですから、JR東日本関連の建造物だったということが分かりました。

新橋停車場 開業150年

 何と言っても、驚くべきことは、日本最初の鉄道である新橋~横浜間(約29キロ)が開通したのは明治5年9月という事実です。明治維新からたった5年しか経っていないじゃありませんか! 欧米列強からの植民地化がよっぽど脅威だったのか、日本は「文明開化」「富国強兵」「脱亜入欧」をスローガンに、次々と西洋文明を取り入れます。

 この幕末~維新を経て、明治の時代に生きた人たちは余程バイタリティーがあったのか、「失われた30年」の現代人とは異質にさえ感じてしまいます。

 さて、この旧新橋停車場を今回、気になるスポットに選んだのは、またまたですが、「歴史人」9月号「連合艦隊の真実」特集を読んでいたからです。

 この中で、日露戦争で連合艦隊司令長官だった東郷平八郎が、ロシアとの日本海海戦で大勝利を収め、帰国した際、恐らく、鉄道で横浜からこの新橋停車場に降り立ちます。

 その新橋停車場広場の前に、間口は58尺(約18メートル)、奥行きは26尺(約8メートル)、軒の高さ42尺(約13メートル)。地面から最頂部までの高さは60尺(約18メートル)の「戦役記念陸海軍歓迎凱旋門」が建てられ、東郷大将以下軍人が戦勝パレードをし、大群衆が詰めかけたというのです。

「歴史人」9月号 「連合艦隊の真実」特集の東郷平八郎司令長官 下写真が新橋の凱旋門

 旧新橋停車場は、実は何度も行っていたので、それほど「気になるスポット」ではなかったのですが(笑)、この新橋停車場広場前にあった凱旋門がどこにあったのか、確かめたくて行ってみたのです。何か「記念碑」でもないかどうか、広場があった辺りを探したのですが、見つかりませんでした。停車場内の「鉄道歴史展示室」の受付にいた50歳ぐらいの男性にも聞きましたが、「凱旋門? 分かりませんねえ。知りません。広場の前は、昔は川が流れていたんじゃないでしょうか」と仰るのです。

 江戸切絵図で確かめてみたら、新橋停車場の前の広場の先は、川ではなく、江戸城のお堀がありました。明治になっても堀にはそのまま水が流れていたのでしょう。

 残念ながら、凱旋門跡の記念碑は見つかりませんでしたが、その代わりに、立派な「芝地区旧町名由来」の案内板がありました。

 それによると、江戸城のお堀は、明治には汐留川と呼ばれていたようです。凱旋門のことが何も書かれていないことが残念です。

 凱旋門は新橋だけではなく、日比谷や上野や浅草や麻布といった東京市内のほか、千葉県木更津などにも建てられたようですが、それぞれ史跡として記念碑があるのかどうか、少なくとも私は知りません。

 そう言えば、秋葉原の万世橋停車場前には、日露戦争で殉死した広瀬武夫中佐(「杉野は何処~♪」のあの旅順口攻防の広瀬中佐)の銅像がありましたが、GHQの命令により撤去されたようです。

 新橋の凱旋門も、もし残っていたとしたら、パリの凱旋門のように日本の「観光資源」になっていたのかもしれません。

 でも、凱旋門を残そうものなら、日本の軍国主義復活を危惧するマッカーサーが許しはしなかった、ということだったのでしょう。そう、勘繰りたくなりました。

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