ローマ
公開日時: 2007年5月18日 @ 22:24
作家の丸山健二氏は、知る人ぞ知る23歳で芥川賞を受賞した古豪気鋭の作家です。昨今の何とかという「女流作家」に破られるまで、ずっと最年少記録を保持してきました。彼が、二年前に上梓した「生きるなんて」(朝日新聞社)は、これから人生の荒波の航海に船出しようとしている若い人向けに書いた人生訓なのですが、これが、見事に、私のような老人に嵌っているといいますか、そのものズバリなので、驚いてしまいました。彼は、わずか、数年しかサラリーマン生活を送っていないはずなのですが、サラリーマンの悲哀を完璧なまでに把握しています。
第5章 仕事なんて P.87
あなたへの希望がどうであれ、あなたの夢がどうであれ、あなたが勤め人の道を歩み始めたその日から、あなたの人生はあなたのものではなくなってしまうのです。これまでのように、あなたがあなたの何から何まで支配するのではなく、他人があなたを支配するのです。(まさしく、その通りでした!)
どんな仕事をし、どんな地位につき、どんな土地で暮らすかという、人権に抵触するほどの重大事が、すべて他人によって決定され、あなたはただ黙ってそれに従うしかないのです。(はい、これもその通り!)
少しでも逆らったり、我を通そうとすれば、あなたは間違いなく排除され、路頭に迷うことになるでしょう。(私はそのものズバリでした。)
適材適所という立派な方針に沿った人事で動かされるならともかく、派閥だの個人的感情だの嫉妬だのという、仕事とは何の関係もないことで評価され、(私もそうでした。あまりにも救いようのない低級な輩に嫉妬されました)
その結果、あなたの人生はとんでもない方向へと進んで行ってしまうのです。(とんでもない方向だったのか、それは、棺桶の蓋を閉じるまで、分かりませんが、少なくとも私の場合、かけがえのない人生経験を積むことができたことは感謝しています)
(うーん、何と言う鋭い慧眼の持ち主。まるで、私のことを言っているのではないかと錯覚してしまいました)
第3章 時間なんて P.33
家庭や家族を絶対視することは、国家に対する過剰な思い入れと同様、あなたをあなたでなくしてしまいます。そもそも家庭や家族は崩壊するのが当たり前で、それが健全な形なのです。けっして悲劇ではありません。崩壊しない家庭や家族のほうが、むしろ悲惨と言えるでしょう。(そう、だったのですかあ!)
よくまとまった、絵に描いたような幸福な家族という幻想に振り回されるのは禁物です。そこにはとんでもない落とし穴が隠されているのです。
(うーん、なかなか鋭すぎて、私は、ホっとするやら、安心するやら。しかし、これでは、家庭は崩壊させるしかなありません。身も蓋もない、とても救われない話ですね)
しかし、丸山先生は、ほんの少しだけ、救いを用意してくれているのです。
第11章 死ぬなんて P.211
自分を頼りにして生きることほど痛快なことはありません。
頼れる自分に改造してゆくほど面白いことはありません。
(痛快、痛快!非常に腑に落ちる煌くような言葉です。)
Unknown
あはははははは!!!
笑うしかない!!