許すということ

 東照神宮

 

【衆生 】 おー私の導師よ!頭の中では、裏切り者の所業が、次々と押し寄せてきます。修行が足りないせいなのです。せめて、頭の中だけは、楽しいことで満たしてあげないといけないと思っているのですが…。嫌な事ばかり強襲してくるのです。何か解脱する方法はないのでしょうか?

 

【導師】 苦しい気持ちですね。 人は本当は許したいものですから、 「忘れよう、忘れよう」としても かえって忘れられないかも知れません。 それより真実を理解する事が1番、 楽になる道でしょう。 起きた事がらの本当の意味です どんな事も自分に原因が 必ず あるからです。 原因があるから起きるのです。 この世界には 本当は被害者も加害者もなく 、すべて起こるべくして起こるもののなのです。 その真理がはっきりと明確に見えた時に人は許し、 忘れる事が出来るのです。 起きた事がらの理由を全て外側のせいにしている限り、 何も変わらないし、 解決にはならないのです。

全ての関係は 半々「 50ー 50」の確率で 起きるのです。 それがはっきり解ると 本当にすっきりします。我々の人生の大きなテ-マは「許し」なのです。この真実によって、本当に、全ての見方が 喜びに繋がる道なのです。 ほとんどの人は 過去の体験を 何処かで「許せない」と決めて、にぎりしめて、苦しみ、怒り続ける道を選択しています。 自分が そう決めているのです。 そして 心にある状況を自ら造って苦しみ続けているのです。 そのことに気付くまで 何回も何回も。 それに気付くまで何回もです。

【衆生】 人間の自己保身と嫉妬は本当に恐ろしものです。その人に対しては、一方的に良くしたつもりなのです。色々、親身になって相談に乗ってあげました。こちらに全く落ち度はありません。ないはずです。だから、恩を仇で返された気持ちから逃れられないのです。しかし、何故苦しいのかというのは、その通り「絶対に許せない」という感情を自分が手放していないからなのですね。向こうは何とも思っていないのでしょう。
となると、自分一人だけが悩んでいる一人相撲です。もう、これから積極的に無視するか、関わらないか、頭の中に浮かんできたら排除すればいいのかもしれません。なぜなら、怒りと苦悩の在処がそこにあるからです。

 

【導師】 人生で苦しいことばかり何故起きるのでしょうか?本当の意味で、その苦しさを理解しようとしているから、そういう事態が起きるのだと思います。人間関係に一方的な事は絶対に起きません。人生を憎み、人生を恨み、羨み、被害者でいたい、と魂のレベルで攫んでいると、現実がそういう事態になります。魂のレベルで、過去の悲しみを攫んで、放さないと、いつまで経っても、許しのない世界で、苦しむことになります。要するに、単に、苦しみたいから、苦しんでいるだけなのです。

そのような連鎖から逃れるためには、許すことです。

人を憎んで、罪を憎まずではなく、すべてを許すことです。

人も罪も、何もかも。

旧《溪流斎日乗》 depuis 2005 をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む