世界経済を破壊する闘争技術

 知床

 

経済問題に疎い私ですが、さすがに、ここ数日の急激な円高と世界同時株安は気になります。猛暑で、正常な判断のできない日本人に冷水を浴びせられたような気分です。昨日の日経平均株価も874円も急落しました。米国のITバブルの先行き懸念などから1426円安となった2000年4月以来7年ぶりの大幅な下落です。

 

そもそも、今回は、米国のサブプライムローンが、この世界的な経済混乱の端緒になったと言われますが、何で、アメリカという一つの国の低所得者向けの住宅ローンがこれほど国際経済に影響を持つのか、よく分からなかったのですが、こういうことだったというのです。

 

まず、住宅金融会社が貸し倒れのリスクを回避するために、「住宅ローン担保証券」などの商品を作る。これを、世界各国の金融機関やヘッジファンドが買う。(もちろん、高利回りの配当を獲得するため)ということは、サブプライムローンが焦げ付いてしまうと、世界中の金融機関やファンドが大損をこいてしまったという仕組みだったのです。ハイリスク・ハイリターンの典型ですね。転売されたローンは全体の8割に当たる1兆ドル(113兆円)で、その損失額は把握できていないようです。信用取引とかあるからでしょう。要するに、世界経済を舞台に賭場を開いているようなものだったのです。

 

機関投資家の損失だけではなく、最近、個人投資もインターネットを通じて簡単にできますから、今回の「円高・株安」による損害も莫大なものになりました。インターネットなどを通じて外貨を売買するFXと呼ばれる外為証拠金取引で、14日から16日までの3日間だけで、「個人投資家の損失が総額3・6兆円に膨らんだ」という記事も出ていました。

 

わずか1円円高ドル安になるだけで、輸出産業型のトヨタ自動車は、年間営業利益が350億円も減少するとか。ここまで来ると、私の想像力が追いつきません。

 

UCLAの経済学教授だった故ハーシュライファー氏は、純粋な経済活動以外に、生産とは無縁な技術が存在し、これらを「闘争技術」と呼んだそうです。それらは、社内の権力闘争で勝つ技術、顧客の無知に付け込んで不必要な商品を売り込む技術、政治家に取り入って、利益を誘導する技術…などです。

 

なるほど、今回の世界経済の混迷も、市場原理主義による「闘争技術」が生んだ成果だったのか!だって、やつらは生産とは無縁なことをしているわけでしょう?経済に詳しい方はご教授して戴ければ有り難いですね。

“世界経済を破壊する闘争技術” への2件の返信

  1. そうですか…
    随分、オペラに詳しいのですね。驚きです。
    日本のオペラはお嫌いなようですが、先頃亡くなった松村禎三氏の「沈黙」(遠藤周作原作)は、それなりに暗く、感動できましたよ。團伊玖磨さんの「夕鶴」(木下順二原作)にしろ、日本人にしか書けないオペラもあると思います。オペラについて何も知らないのに生意気ですが。

    ベンジャミンさんの本は、これまで何冊か読んでいます。日本に帰化したとは知りませんでした。あれだけ、日本の悪口を書いておきながら、日本が大好きなのですね。もちろん、彼のことをけなしているわけではなく、大変、教えられるところが多く、感謝していいますが。

  2. 闘争技術を使う人々
    ある日本に帰化した評論家のblogを、お読みになればいいのではないでしょうか。一部トンデモ情報も含まれていますが、「ハハア、なるほど」と思わせる情報も含まれています。開設者による、8月の7日、9日、17日のコメントがそうです。

    http://benjaminfulford.com/

    二伸
    私はドイツ、イタリア、ロシア、チェコ、イギリス等々すべてとはいえないにせよ、多くの国、多くの作曲家によるオペラのファンです。ヴェルディは管理人さんがあげられた作品と同時に『ドンカルロ』『運命の力』にほれこんでまして、モーツァルトは『後宮からの誘拐』『イドメネオ』、プッチーニの『マノン・レスコー』・・・そうそうマスネの『マノン』もひいきにしています。

    ただ日本の作曲家の作品に興味はありませんし、日本語に翻訳されたオペラは聴きたくないのが実情です。

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