Notre Damme de Paris
竹林賢人「失対ですな…」
私「えっ?失敗?」
竹林賢人「いえ、失対です」
私「失対?」
竹林賢人「失業対策ですよ。全て失業対策で世の中回ってます」
私「???」
竹林賢人「つまりですな。渓流斎さんはテレビを見ますか?テレビを付ければ、若いあんちゃん、ねえちゃんが歌って、踊って、泣いて、笑って、愛想を振りまいてます。究極の目的は何か分かりますか?」
私「はあ…」
竹林賢人「コマーシャルに出るためですよ。テレビなら、旬のタレントなら一本5000万円とか1億円とか貰えます。全部じゃないですよ。ほとんどが事務所が経費として持って行ってしまいますが」
私「はあ…」
竹林賢人「若い子は、親や先生の言うことは聞かないでしょ?それなのに、テレビのブラウン管…あ、今はそんなテレビありませんな。とにかく、液晶画面の向こう側にいるタレントさんの言うことなら、何でも言うことを聞きます。タレントが勧めるモノなら何でも買います。企業はモノを売りたいから、番組のスポンサーになっているだけで、何もボランティアでやってるわけじゃありません。自分たちの商品に傷が付かなければ何でもオッケーです。車がスポンサーのドラマに交通事故の場面はカットされるでしょ?それが資本主義のカラクリです」
私「そんなこと言ったら身も蓋もないですね」
ニラもやし蕎麦 700円
竹林賢人「身も蓋もないのが世の中です。タレントは『一日警察署長』や『一日税務署長』になって公安や行政当局と結託します。数年前に、覚醒剤撲滅キャンペーンに採用した有名タレントが、本当に覚醒剤をやっていたという笑えないブラックジョークがありましたが、もともとタレントになるような人間は聖人君子じゃないんですよ。普通のサラリーマンや公務員生活ができない、一攫千金狙いが多いのです。暴走族あがり、半グレあがり、ヤンキーあがりのタレントが少なからずいるわけですよ。それに大概のタレント志望者は、就職を差別されている人や半島や大陸出身者。日本人なら、片親なくした人とか、母子家庭で育ったとか、とにかく、底辺から這い上がっていきたいという連中です。逆に言えば、厳しい芸能界で生き残るためにはそれだけの不幸を抱えたハングリー精神がなきゃ駄目だということなのですよ」
私「そ、そ、そんなことまで言っていいんですか?」
竹林賢人「あたしゃ、関係ない。渓流斎さんに責任を取ってもらうだけですから(笑)。で、不祥事を起こす御し難いタレントを扱うのには、普通の9時5時勤務のサラリーマンができるわけがない。それに、公演切符を買ってもらうにしろ、地方で興行を打つにしろ、地元の名士、つまり、顔役にお世話にならなきゃならない。えっ?顔役が分からない?要するにタレント事務所を仕切っているのが裏社会の人々が多いということですよ」
私「ちょっと、ちょっと待ってくださいよ。あまり具体的な名前出さないでくださいよ」
竹林賢人「ハハハ、ビビってますな。お互いあと何年生きられるか分からない人生。筋を通していきましょうよ、筋を。で、当のタレントさんたちは売れている時は良いですが、山があれば谷もある。今売れてても明日は分からない浮世稼業。となると、神頼み、宗教団体に縋りますな。某広域宗教団体は、結婚相手の世話もしてくれる。売れなくなったら、音楽事務所を持ってますから、地方巡業のスケジュールも入れてくれる。たった一曲ヒット曲がありゃ、一生食っていけますからな」
私「ほーなるほど。そういうカラクリで世の中回ってるわけですか」
竹林賢人「感心している暇ありませんよ。あまり筋を通すとその筋の人が追いかけてきますよ。今のうちに荷物をまとめてサッサと逃げた方がいいんですよ」