築地「ふじむら」カキフライ定食1080円
個人的な話ながら、2年前に大病してから、どういうわけか古い旧友と疎遠になってしまいました。以前は月に一回は飲みに行ったりしたのですが、こちらから声をかけても何やかんやの理由でやんわりと断られたりします。
自分は何か悪いことでもしたのかなあ、と落ち込みます。
それが、一人や二人ではなく、5人、6人と続くと、これはただ事ではない。やはり、自分に何か落ち度があったと考えるしかないと思うようになりました。
しかし、それでも、どうしても腑に落ちないのです。喧嘩したわけでも、口争いしたわけでもなく、お互い憎み合うようなこともありません。理由がはっきりしていれば、こちらも納得して引き下がりますが、その理由がさっぱり分からないのです。
第一、お互いに性格が分かり合った旧友なんですから、今さら勘違いということもあるまいし、2、3人ならともかく、6人も7人も続くとなると流石にめげてしまいます。
そんなことを、実にこの2年間もウジウジと悩んできました。
Paris
そしたらですね。素晴らしい言葉に巡り合ったのです。もう、何年も聴き続けているNHKラジオの「実践ビジネス英語」です。タイトルは「30歳からの友達づくり」。人は、30歳を過ぎると親しい友人関係はあまり築けない、といった内容です。
あたしにすりゃあ、こうして、30歳前に親しくなった旧友が次々と離れていき、今では30歳過ぎて知り合った友人の方が親しいので、このビニェットには賛同しかねましたが、非常に含蓄のある意味深い言葉を教えてくれたのです。
それは、英国の辞書編集者で作家でもあるSamuel Johnson(サミュエル・ジョンソン、1709〜84)の言葉です。
The most fatal disease of friendship is gradual decay, or dislike hourly increased by causes too slender for complaint, and too numerous for removal.
単語は難しくありませんが、非常に難しい文体で、すぐ意味が取れる日本人は大した実力の持ち主です(笑)。まずは、トライしてみてください。
杉田敏先生の訳はこうなっております。
…友情が患う病気で最も致命的なものは、少しずつ衰えていくことである。つまり、不満を言うほどのことではないが、取り除くには多過ぎる理由によって、嫌悪感が絶えず増大することである。…
なあるほどねえ。ジョンソンは、フランス革命も知らない18世紀の人ですが、英国人らしい皮肉が込もったユーモアに溢れた警句でもあります。
私の旧友たちも、さほど大した理由があるわけでもないと思われます。単なる「付き合うのが面倒臭くなった」か、「あまりにも長く付き合ったので飽きてしまった」といった程度なのかもしれません。
はっきり言えば、「どうでもよくなった」ということでしょう。
何はともあれ、こちらが相手のことを考えている程、向こうはもうこちらのことは何とも思わなくなったということに違いありません。
それなら、もう、迷ったり、悩んだりすることは止めるべきだと悟りました。