東京高検の黒川弘務検事長の賭け麻雀事件には唖然としました

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 まさに、どんでん返しの「おそ松くん」でしたね。緊急事態宣言下、「3密」状態での賭け麻雀疑惑を報じられた東京高検の黒川弘務検事長(63)事件。

 昨日、文春オンラインが報じて、大騒ぎになり、私も昨日、ネットで読みましたが、黒川検事長を東京都中央区の高級マンション前で6時間半も張って取材した記者とカメラマンの労をねぎらって、今朝、わざわざ週刊文春を買い、出勤電車の中で読んできました。やはり、ブンヤの取材と警察・公安の捜査の原点は「張り込み」ですよ。

 登場人物を、赤塚不二夫の六つ子の「おそ松くん」になぞらえば、「おそ松」は間違いなく、検事総長心待ちだった黒川高検検事長。「チョロ松」は、麻雀のショバを提供した産経新聞A記者。「一松」は、産経新聞A記者の先輩で司法クラブキャップのB記者。「カラ松」は、産経の牙城に乗り込んで諜報活動に勤しむために卓を囲んだ朝日新聞のC元記者。「十四松」は、自分の身の潔白のお墨付きを得るために黒川さんをどうしても検事総長にしたかった安倍首相。そして、「トド松」は、黒川検事長が賭け麻雀をしていることを週刊文春に密告した産経新聞関係者X-てなところでしょうか。

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 週刊文春によれば、ですが、おそ松・黒川検事長は、賭け麻雀の賭博罪のほか、産経新聞が呼んだハイヤーで深夜帰宅するなど便宜供与を受けた国家公務員倫理規程違反、そして、違法駐輪(写真付き!)の疑いがあるそうで、もうこれだけで、検察庁ナンバー2としての自覚もなく、アウトですね。本人は昨晩、官邸に辞意を申し出たそうですが、辞任じゃ済まされないでしょう。退職金を大幅に減額した懲戒解雇にすべきです。どうせ、本人は「ヤメ検」でお金には困らないでしょうから。

 あくまでも文春砲が書いていることですが、どうも黒川検事長は、かなりの賭博好きで、海外出張すれば「視察」と称してカジノに入り浸り、韓国で女を買った自慢話をしていたということですから、これでは、清廉潔白(であるべき)検察の世界ではなく、任侠の世界ですよ。それとも、両者は紙一重の世界なんでしょうか。あ、今、M氏からLINEがあり、「東京高検検事長にしてこの脇の甘さと人の良さは国民栄誉賞もの」だとか。キツー。特別諜報員M氏は、何と産経と朝日の記者の実名まで知っていましたが、私は同じ業界人としての仁義があるので、このブログには書きません(笑)。だって、文春に密告したトド松こと産経新聞関係者Xと同じになっちゃうでしょ?

  この事件は不可解なことが多いです。事件関係者を輩出した朝日新聞は、あっさり「お詫び」して謝っちゃいましたが、産経新聞は「取材に関することはお答えしない」という態度。賭博罪に当たる賭け麻雀が取材だとは凄い会社です。ただ、一番不思議なことは、麻雀のショバ提供者と同じ産経新聞のトド松Xが密告した理由です。でも、案外単純で、個人的な恨みかもしれません。それとも正義感なの? 世間では朝日と産経が天敵の関係だと思われていますが、現場の記者同士は仲が良いものです。イデオロギーも社論も全く関係ないし、同じ会社の人間より、記者クラブ等でつながった他社の記者との交流の方がはるかに濃厚になるものです。敵は本能寺にあり。天敵より身内の方が危険なのです。経験者が語ります(笑)。

 それより、「余人をもって代えがたい」と、黒川氏の定年延長を閣議決定までした十四松こと安倍首相の責任問題はどうなるんでしょうか。桜を見る会の前夜祭での政治資金規正法違反疑惑など検察庁マターを多く抱えている安倍首相のことですから、最後の防波堤が決壊してしまっては真っ青でしょう。また「僕ちゃん、もう辞める」と言い出しかねません。

【追記】

 日本の超エリートやエスタブリッシュメント(支配階級)というのは、庶民が想像もつかないとんでもないことを仕出かすことがあります。それは、世間知らずのお坊ちゃんだからでしょう。象牙の塔、霞が関の塔、永田町の塔に閉じこもって、雑巾がけなどしたことなく、若い頃からチヤホヤされ、苦労知らずなのです。貧困に喘ぐ庶民の心が分からないのです。

 戦前の軍部エリートもそうでした。純粋培養の超エリート教育で育てられ、大本営の中にいると、外の世界を知らずに、世間交渉もせずに過ごしてしまいます。仕方がない話です。

 最近では、自殺者が出たというのに、国会で忖度答弁を重ねて、財務省理財局長から国税庁長官に大出世した佐川宣寿さん(1957年生まれ、2018年辞職)、テレビ局の女性記者にセクハラ行為をしたとして辞任に追い込まれた日本の官僚のトップである財務省事務次官だった福田淳一さん(1959年生まれ)らの例があります。

 こういう超エリートが、今の国を動かしているのかと思うと、暗澹たる思いに駆られます。