ホッブスの「リヴァイアサン」に学べ

 今朝も、新橋での人身事故で、通勤電車が遅れました。正直、もう勘弁してほしいですね。2月27日付の小生のブログ「人身事故は5000万円?」をお読みにならなかったのでしょうか。

 さて、久留米にお住まいの有馬先生からメールが届きました。

Espagnole

 《渓流斎日乗》を拝読させていただいておりますが、最近は、個人的な身辺雑記の話題が多いですね。もっと、天下国家や国際問題を語ってください(笑)。とはいえ、私はそれが正しいとは微塵にも思っておりません。身辺雑記の小宇宙(ミクロコスモス)の方が、世界観を反映していることがあるからです。

 正しさや正義を振りかざす人間ほど、扱いにくいものはないのです。

 ですから、これから述べる私見は、自分自身も正論だなどとは更々思っておりません。単なる持論であり、単なる個人的意見です。ということをまず断っておきます。

 何よりも、私自身が疑ってかかっている人間とは、自己主張が強く、自分の意見に凝り固まって、獄中に繋がれようと決して持論を曲げない人間なのです。戦前なら、獄中から出れば、英雄として迎えられ、組織の長ともなれたでしょうが、そもそも転向が悪の権化の如く、寄って集って指弾されるべきものなのかについては甚だ疑問です。

 人間は弱いものですから、拷問されたり、生命の危険に晒されれば、思想信条も二の次になります。人は裏切り、背信行為もします。人間は、か弱いものです。女に石を投げることができる、罪を犯したことがない人間は、そういないのです。

Alhambra

 ところで、「右翼」や「左翼」といった政治的に使われる言葉も境目が曖昧になりました。例えば、右翼=保守的=超国家主義。左翼=進歩的=自由主義といった単純な図式は当てはまらなくなりました。

 レーダー照射問題や徴用工問題で日本との関係が悪化しているお隣の韓国では、左翼と呼ばれる人権派弁護士出身の大統領を擁いておりますが、極めてドメスティックで、それどころか、司法も行政も国際条約を疎かにするような排外主義というか国家主義的になっています。(善し悪しは別として)

  また、文革時代にあれほど「走資派」を批判し、つるし上げていた中国は、今や資本主義の権化のような経済大国です。それでいて貧富の格差が拡大して、共産主義、社会主義が理想とする平等主義から程遠くなり、矛盾しています。

 それだけ、21世紀になって、イデオロギーや概念が大変革したわけです。かつての左翼が右翼的になり、かつての右翼が左翼的になったというか、そもそも最初から左翼も右翼も幻想で、なかったのかもしれません

Alhambra

 左翼思想も右翼思想もなかった時代。17世紀の英国の哲学者ホッブスは、その著「リヴァイアサン」の中で、「万人の万人に対する闘争」を説きました。これは、「弱肉強食」の自然状態 から脱するため、社会契約により、絶対的権力をもつ国家(リヴァイアサン)を設定すべきだと説いております。この契約によって、人間は、平和と相互援助を約束し合います。

 ということは、ホッブスは弱肉強食の世界を肯定しているわけではなく、むしろ、強者を諌めているのです。「万人の万人に対する闘争」である自然状態では、強者が常に勝つとは限らず、強者の支配が覆され、強者は天寿を全うすることができなくなる場合もあります。本来、人間は平等で、人間同士の欲求は競合しますから 「万人の万人に対する闘争」 が起こります。平等だから決着はつかず、「闘争」は永遠に続きます。だからこそ、強者は社会契約を受け入れて、弱者を蔑むこともやめるべきだというのです。

 よく考えてみれば、強者だって、病気や怪我をすればたちまち弱者です。強い若者も、老人ともなれば弱者になります。富裕層も没落すれば、あっという間にに弱者です。つまり、強者と弱者は紙一重なのです。

 今の時代、ホッブスの哲学がもう一度、見直されるべきではないでしょうか。

 有馬先生、どうも有難う御座いました。

 (ホッブスの項は、早稲田大学の豊永郁子教授の論考を一部引用させて頂きました)

人身事故は5000万円?

 今朝は、人身事故(JR湘南新宿ライン)の影響で私が利用している電車も遅れて、出勤に2時間以上掛かってしまいました。見ず知らずの人たちから押し合いへし合いされ、立ちっ放しですと、さすがに老骨に響き、疲れました。

 今朝は、京浜急行線でも人身事故があり、2日前も首都圏内で他の路線で人身事故がありました。最近、冨に増えてきている気がします。かつては中央線が多かったですが、今では小田急線でも、東武線でも、どこもかしこもです。あまりにも多くて、ニュースにもなりません。せめて、ベタ記事程度です。

 もう10年以上昔ですが、駅からタクシーに乗ったら、運転手さんが「人身事故を起こした遺族は鉄道会社に5000万円も賠償金を支払うそうですよ」と聞いたことがあります。私の住む市内には、鉄道会社の社員寮があり、運転手さんもそういった鉄道員さんから仕入れた又聞きの話のようでした。その情報が正確かどうかは、裏を取ったことがないので、分かりませんが、他の乗客に甚大な迷惑が掛かるわけですから、この話には信憑性があるかもしれません。

でも、ほとんどの人はそんなこと知らないと思います。人身事故を起こせば、家族や親族にも影響を及ぼすことを知らないと思います。そのことを知って思い留まるべきなのですが、いざ、実行しようとする人は、それはそれは大変困り果てていて、追い込まれているのですから、正常な判断や思考はできないのでしょう。

 人身事故に遭遇する度に、何か良い解決法はないものかといつも思案してしまいます。

沖縄県民投票と「適量ですか 高齢者の薬」

 昨日、2月25日(月)の「安倍首相の一日」、いわゆる「首相動静」欄に以下の記述がありました。

 午後7時36分、東京・銀座の鉄板焼き店「銀座うかい亭」着。時事通信社の大室真生社長、渡辺祐司常務取締役らと会食。同9時45分、同所発。同10時2分、私邸着。

 おー、あの「うかい亭」ですかあ。一昨年11月にトランプ米大統領が来日した際、首相官邸のお導きで会食した高級鉄板焼き料理店です。安倍首相もよほど気に入ったとみえますが、またのご利用です。場所は東京・銀座の時事通信本社ビルの1階でした(笑)。

 それにしても、マスコミのトップの人間が、時の最高権力者と会食するのは如何なもんでしょうかねえ。一体、どんなお話をするんでしょうか。前日に結果が出た沖縄県民投票については「スルー」したのでしょうか。一定の距離を置いて、批判するということがジャーナリズムの原点のような気がしますが、そんな安っぽい「書生論」をほざいている人間は野暮かもしれません。

 そもそも、時事通信社の前身の戦前の同盟通信社は、まさに、政府系の「国策通信社」でした。

 国策通信社で、何か問題でも?

 中国の新華社通信や人民日報などは、まさに政府メディアでしょう。それを言ったら、北朝鮮やロシア、それにトルコもサウジアラビアなどでは、政府系マスコミばかりで、反政府メディアがあれば、つぶされたり拘束されたりするでしょう。

 先進国と言われるフランスのAFP通信社(日本では時事通信社が独占契約)も、自動車のルノーと同じように国有企業で、何パーセントか知りませんが、政府が出資しています。ということは、AFPはフランス政府の悪口は書けないと、普通の人なら思い込んでいます。

 日本が好きなアメリカはどうでしょう。CNNの記者さんはトランプさんと仲違いしていますが、FOXニュースを始め、概ね、政府寄りの報道でしょう。特に、デジタルメディア時代ともなると、インターネットそのものが、米軍によって開発されたものですから、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などは、国防省(ペンタゴン)や米航空宇宙局(NASA)、米国家安全保障局(NSA)など政府系機関と歩調を合わせていることは想像に難くありません。

 それが何か問題でも?

 いや、別に問題はないでしょうが、毎日、「官報」のような無味乾燥な高級官僚の作文の丸写しを読まされていては、食傷気味になりませんか?

 それとも、庶民は為政者の命令に唯々諾々と黙って従っていれば良いのでしょうか。

 24日に投開票が行われた沖縄の普天間飛行場の辺野古移設を問う県民投票。移設反対が県民の7割を超えましたが、翌25日の首都・東京都内で発行された各新聞最終版の一面トップの違いが面白かったですね。

《朝日新聞》…「辺野古『反対』72%」

《毎日新聞》…「辺野古反対7割超」

《読売新聞》…「適量ですか 高齢者の薬」

《日経新聞》 …「見えざる資産 成長の源に」

《産経新聞》…「海自観艦式 韓国招待せず」

《東京新聞》…「辺野古反対 7割超」

 日経は、経済専門紙だから分かります。産経も韓国問題でいかにも産経らしい。朝日、毎日、東京が、県民投票の結果を大きな活字で大々的に報道しているのに対して、天下の読売新聞は 「適量ですか 高齢者の薬」。

 何ですか、これ?いやあ、面目躍如ですね。庶民の生活をここまで心配してくださるメディアは、世界広しといえども他にありません。

 一番、読み応えがありました。

「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」は勉強になりました

私はアナログ世代なので、新聞の書評欄で話題になっている本を探します。そんな中、CIS(しす・個人投資家)著「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」(KADOKAWA・2018年12月21日初版発行・1620円)を見つけて買い求めましたが、あまりにもの面白さに1日で読了してしまいました。

何しろ、帯のタイトルが「平成が生んだ最強の相場師 230億円稼いだ勝つ思考。」ですからねえ。に、に、に、230億円も稼いだんですかぁ・・・!?発売1カ月で12万部だとか。

勿論、何か秘策があるのか知りたくて、この本を買ったことを認めますが(笑)、失礼ながら相場師と言われる人間の生態と生活信条と哲学、その生い立ちと、「何が彼をそうさせたのか」といった「人間観察」をしたかったことが一番大きな理由です。

 著者も書いておりましたが、投資は本を読んでも成功するとは限らないし、はっきり言って役立たないという持論は確かにその通りですね。私もこの本を読んで、即座に自分にはできないし、無理だし、そこまで興味がないことを判断できました。

著者は「経済理論は役立たない」し、新聞や雑誌に載った情報も、既に、掲載された時点で、「利益獲得」は終了しているので、何ら足しにならないというのです。彼が利用するのは、専らツイッターの「口コミ」という、まだ海のものとも山のものとも分からない最新情報なんだそうです。デイトレーダーは、一瞬の判断が勝負の分かれ目になりますからね。1979年生まれの著者は、20歳の大学生の時に、300万円を元手に株のデイトレードを始め、初めは連戦負け越しが続き、1000万円が100万円余になる惨敗でしたが、ある事がきっかけで連戦連勝に近い勝ち方ができるようになったといいます。また、「2ちゃんねる」がなければ、続けることができなかったといいます。

彼の投資法は極めてシンプルです。「上がっている株を買う。下がっている株は買わない。買った株が下がったら売る」。それだけです。え?そんなんでうまくいくの?と思う人がほとんどでしょうが、現に著者は、約18年間で230億円もの資産を株取引等で膨らませたのですから、間違いないでしょう。

だけど、いくらシンプルで間違いないとはいえ、誰にでもできるわけではありません。株投資が「ゼロサムゲーム」だということは本人も身に染みて分かっており、数台のモニターから目が離せないプレッシャーと、いつ財産を失うか分からない恐怖と毎日闘っています。

私には無理だと感じた一番の要因は、自分は彼のようなギャンブラーではないからです。彼は、小学校の頃は駄菓子の当たりクジを見極める天才。中学生の頃から、パチンコで出る台を見極めて、打ち手を集めて大儲けする元締め屋。麻雀もプロ並みの稼ぎで、競馬もポーカーも何でもござれ、です。株式投資も「確率のゲーム」だと割り切って楽しんでます。だから、お金目当ては二の次のところがあります。私は、アナログ世代なので、デジタル・ネイティブ世代の彼のようにゲームはやらないし、パチンコと煙草は30歳で卒業し、麻雀もルールさえ知りませんからね。

これだけの資産を作れば、もう一生何もしなくても食べていけますし、贅沢三昧で、色々と散財するのが人間ですが、彼は、キャバクラに行くでもなし、クルーザーや自家用飛行機を持つわけでもなし。自宅は、月額180万円の超高級マンションとはいえ、賃貸。着る服もユニクロ。松屋の株主優待券で、牛すき定食を食べるといった具合です。根っからのゲーム好きなんでしょう。

でも、これだけの資産があると金銭感覚が常人とは違うんでしょうね。ライブドアショックで5億円の損失した時なども、冷静に敗因を分析するぐらいです。(他にも大損失あり)

やはり、どこか小国の国家予算ぐらいに当たる230億円もありますから、「日経平均を動かせる男」という看板は嘘偽りはないと思います。そして、この本にはお金目当てで彼に群がる多くの人間も登場したりして、確かに人生哲学も学べます。

270億円という数字があまりにも巨額で庶民としては、全く雲をつかむような話でしたが、つい先日、千葉市の投資コンサルティング会社 「テキシアジャパンホールディングス」 がねずみ講のような手口で、460億円を超える巨額の詐欺事件を起こしたことが発覚しました。中心人物の「KING」と呼ばれた銅子正人容疑者(41)と、この本の著者と同じ次元で語るのは大変失礼ですが、彼には1000億円も巨額の隠し財産があるらしく、270億円で驚いていたら世間知らずになってしまうことが分かりました(苦笑)。

 この本の著者はちゃんと税金も払っているようですし、「タックスヘイブン」のシンガポールに移住するつもりもないとも語っていますから、誠実な善良市民だと思われます。誤解を避けるため、念のため。

 

エッセイ「嗚呼、やんなっちゃった」

▽先週辺りから、この渓流斎ブログで、本文の中でも、いやに「宣伝」が目に付くようになりました。そこで、このサイトのサーバー・オーナーのM氏に問い合わせたところ、詳細は分かりませんが、「自動広告」なので、アクセス数が増えるとそれだけ、貼られる広告量も増えるというのです。アクセス数が少ないと、1ページ当たり3個ぐらいが平均なんだそうですよ。

 このブログ、3個どころじゃありませんよね?ということは「注目ブログ」として認知されたということでしょうか?(爆笑)広告は、利用者の履歴によって各人それぞれ違うでしょうが(私の場合、どういうわけか、コンピューターソフト関係が多いです)、目障りで、うるさいようでしたら、すみません。一応、この渓流斎ブログは、2017年9月に独立してから、広告収入で運営しているもので。。。(広告をクリックして頂けると嬉しいです)

東久留米・竹林公園

▽2月9日に久しぶりに会った中学時代の同期生。今度は、春に「花見大会」をやろうと、大いに盛り上がったらしく、元警察官の岡本君に、桜の名所の「千鳥ケ淵」で「場所取り」をしてもらうことになりました。勿論、本人がするのではなく、昔の後輩を顎で使ってです(笑)。

 そしたら、その後輩たちから「岡本先輩、年配になると、おしっこが近くなり、トイレを探すのが大変ですよ。それに、昼間から戸外の寒空で呑んでいたら、脳卒中で倒れてしまうとも限らない。お身体に毒です。もうお年ですから、やめといた方がいいですよ」と、逆に諭されてしまったそうです。「年寄りの冷や水」扱いです(苦笑)。

 仕方がないので、その代替案として、3月20日に六本木で、フグの豪華フグコース、いや、フルコースを食す会が催されることになりました。フグですから、目の玉が飛び出るほどの高額ですが、場所は元大手石油会社勤務の黒田さんのお導きで、都心にある彼女の元会社の豪華静養施設で行うことになりました。飲み物の持ち込みは自由ということで、私も参加することにしました。フグ解禁は3月いっぱいらしいですからね。ケチケチ生きないで、人生、楽しまなければいけません(笑)。

 この「フグコースの会」の参加を、幹事役の黒田さんが中学同期会の皆にも募ったのですが、ほとんど反応がないのでぼやいてました。2月9日の同期会には、たったの4人しか参加しなかったことを、この渓流斎ブログで書いたことがありましたね。この会も最悪、参加者はまた4人ぐらいになりそうです(笑)。

 「私だから皆、参加してくれないのかなあ」と黒田さんが嘆くので、私は彼女にアドバイスしてあげました。まず、いくら同期に対するメールだとしても、「ビジネス・レター」になっていない。最初の「各位」だけだと、他人事に思え、自分に関係ないと思ってしまう。できたら、個人名を書いた方がいい。最後の差出人も、書いていない。これじゃ、怪文書だよ。ちゃんと○○中学校同期会会長 黒田○子 と書かなきゃ駄目だよ、といった具合です。

 そしたら、彼女からは、宛名を何十人も書くのは大変。私は、会長でも何でもない、云々・・・ 「私だから皆、参加してくれない」 というのは冗談です、などとあれこれと御託を並べるものだから、「それなら好きにしたらいい。肩書きは下働きでも世話役でも下足番でも何でもいい、云々・・・」と返信したら、一言「うるさいよ」ですって!

 何たることでしょうかねえ!こっちが、夜中の疲れている中、スマホで一つ一つ文字を打って、親切にアドバイスしたのに逆恨みするとは!電話音声時代でしたら、ニュアンスが伝わったでしょうが、メールの文章時代になると、真意を誤解されたり、曲解されたりしがちです。

文章は伝わらない。そもそも、文章は、コミュニケーションのツールではないのかもしれません。特に親切心を丸出しにして、宣伝になるかと思って、このブログに実名で書くと、猛烈な抗議と訂正削除要請が遠まわしで来たりします。

 まるで、おためごかし扱いです。

 嫌になっちゃいますよ。

ジョン・レノンの靴が有名なテニス・シューズだったとは!

 皆様、御案内の通り、小生はビートルズ・フリーク、特にジョン・レノンのファンなのですが、先日の読売新聞夕刊に出ていたジョン・レノンの靴の話は、知らなかったので、とても興奮して読んでしまいました。

 ビートルズ最後の録音アルバム「アビイ・ロード」は、世界で最も有名なジャケットの一つです。英ロンドンのアビイ・ロード・EMIスタジオの前の横断歩道をビートルズの4人が歩いているカットです。あたしも若い頃、わざわざ現場に行って横断歩道を歩きました(笑)。先頭のジョンは、純白の上下スーツに白いスニーカー(運動靴)。2番目のリンゴは、黒いスーツに黒い革靴。3番目のポールは、濃紺の上下スーツに裸足。4番目のジョージは、上下紺のデニムにクリーム色の靴というイデタチです。

 「アビイ・ロード」は、日本では1969年10月21日に発売されました。確か2500円。父親に買ってもらいました。あれから50年ですか…。もう半世紀も大昔になるとは!レコードですから、針で擦り切れるほど、ソニーのインテグラという当時発売されたばかりのコンポーネント・ステレオで何度も何度も飽きずに聴いたものです。

当時、「ポール死亡説」が流れ、このアルバムのジャケットでポールが裸足で、後ろに写っている車(VWビートル)のナンバーに「26IF」とあったことから、「もしポールが生きていたら26歳だった」とこじつけられたり、先頭のジョンは牧師、リンゴは会葬者、ジョージは墓堀人の象徴と言われたりしました。

今回は、その話ではなく、ジョンの白いスニーカーの話でした。この運動靴、ただの運動靴ではなく、フランス・パリで1936年に創業されたスプリング・コートというブランドの「G2クラシック・キャンバス」というテニス・シューズだったのです。宣伝文句によると、「シンプルなデザインで、バネのように跳ねる履き心地と機能」を持つそうな。

 テニスの四大トーナメントの一つ、全仏オープン(1891年スタート)はクレイコート(赤土)ですから、そのコートに合うように開発された靴でした。

 もちろん、ジョンはその履き心地の良さと機能性を知って買ったことでしょう。何となく嬉しくなってしまいました。

 インナーに特殊クッションがあり、靴底はラバー(ゴム)。1965年に発売されたビートルズの6枚目のアルバム「ラバー・ソウル」(「ミッシェル」「ガール」など収録)は、「ゴムのようなソウル・ミュージック」rubber soulと、「ゴム底靴」rubber soleを掛けたタイトルでしたから、ジョンはもうその頃からこの靴を愛用していたかもしれない、というのは考え過ぎなんでしょうね(笑)。

 1969年1月30日のいわゆる「ルーフ・バルコニー・セッション」(映画「レット・イット・ビー」で公開)でも、ジョンは白っぽいスニーカーを履いておりますが、これもスプリング・コートだったのかどうかは不明です。

ちなみに、日本では2015年からカメイ・プロアクトが総代理店契約を結んでいるそうで、価格は1万800円ぐらいで販売されているようです。いや、別に宣伝するために書いたわけではなく、この会社をよく知っていたので驚いてしまったからです。私の親族が一昨年、この会社に入社しましたが、理由があって、1年も経たないうちに辞めてしまったのです。銀座にも直営店舗があるので見に行ったりしました。どんな会社なのか調べたりもしました。

 何か、色んな繋がりがあったので、ついつい興奮して書いてしまいました。

トラブルの予感

 これから、こういうトラブルはますます増えていくことでしょう。

 今朝のこと。通勤のため混んだバスに乗ったところ、異様な電子音が鳴り響いていました。

 状況を伺うと、優先席に土足を投げ出して座っている5歳ぐらいの男の子が、スマホで何か動画を見ているようでした。イヤホンも付けずにボリュームも最大にしていますから、キンキンと電子音が鳴り響き、アナログ世代には耐え難い拷問です。

 隣りには、その子どもの母親らしき女が、やはり優先席に我が物顔で座っています。風貌から中国系に見えます。

 前に立っていた中年の女性がたまりかねて注意しました。「もう少し音量を下げてください」。当然の要求です。その女性は、どこか公立学校の教師のような感じに見えました。今まで、周囲がずっと黙っていたのは、あまりにも日本人的謙譲さです。彼女は、普段、生徒に注意するので慣れているのかもしれません。

 でも、母親は知らん顔です。女性教師は、とうとう「貴女は日本語分からないの?」と詰問しました。すると、女は首を横に振りました。

 おかしいですね。日本語が分からなければ、首も振れないわけですから、ある程度日本語が分かっているので、分からないふりをしているようにもみえます。

 結局、女性教師は、子どもからスマホを取り上げて、音量を下げました。でも、スマホを返してもらった子どもは再び音量を上げました。

 そうこうするうちに、バスは駅に着いたので、その後どうなったのか分かりません。安倍首相は、庶民が乗るようなバスには乗らないので、こういう不快は分からないだろうなと思いました。

 もう一つ。

 昼休み。外に食事に行こうとすると、銀座ですから、外国人観光客が多く、店の前の歩道を塞いで、通れません。団体は大抵が中国系です。言葉で分かります。かつて中国人の多さは、2月の春節か、10月の国慶節ぐらいに限られていましたが、今では1年中です。しかも、小さな子どもまでいます。余計なお世話ですが、学校行ってるんでしょうか。イイ若者が平日にブラブラと観光ですか。良いご身分ですねえ。

 いやいや、世界経済大国ですから別に構いませんが、もう少し、他人様の迷惑を考えてくれないものでしょうかねえ。我々だって、外国に行けば、少しは遠慮して、歩道を塞いでいたら、地元の人が通れるよう脇にどきます。しかし、彼らは我が物顔で、平気に路肩に座り込んだりしているんですからね。それが残念ながら決まって中国系です。

 私の周囲の中国専門家の中には、どういうわけか大学で中国語を専攻しながら、中国嫌いになってしまう人が何人かおります。「中国人は自分のモノは自分のモノ。他人のモノも自分のモノにする民族なんだよ。『一帯一路』か何か知らんけど、あれだけ広大な領土を持ちながら、もっと領土を広げたい野心があり、世界は自分たちを中心に回っているという華夷思想は4000年経っても変わらないね」というわけです。

 しかしながら、「仁」(他人への思いやり)や「礼」を重んじる儒教精神を日本人に教えてくれたのは偉大なる中国だったんじゃないでしょうか。全世界に「孔子学院」を張り巡らせて、「仁・義・礼・智・信」の五常をあまねく広めてくださっているのではなかったのでしょうか。(孔子学院の役割については、色んな説がありますが)

まあ、こんな些細な話は、お抱え運転手付きの政官財界の大御所の皆々様方には関係ない話で、知ったことではないでしょう。ただ、公共道徳を守り、節度を持った日本の一般庶民も、いつかは不満を爆発させる日が来るのではないかと予感しています。

小説「惜別会」

京王線新宿駅から10分ほどで「下高井戸」という駅前商店街のある閑静な住宅街があります。この沿線の世田谷区はスポーツ選手や作曲家、芸能人ら有名人が多く住む高級住宅街としても知られています。

この駅から3分ほど歩いた所に、居酒屋「たつみ」があります。黒い土塀のような扉に小さな文字でその名を記しているだけなので、ほとんどの人はそこに居酒屋があることなど気がつかずに通り過ごしています。むしろ「たつみ」を有名にしているのは、居酒屋より、たい焼きでしょう。唐突ながら、東都のたい焼き屋「御三家」として、若葉町の「わかば」、麻布十番「浪花家」、人形町「柳屋」を「これは美味い」とマスコミは囃し立てておりますが、この「たつみ」こそ天下一品。その証拠に、開店と同時にその長蛇の列が途切れることはありません。

土曜の昼下がり。その秘密結社のような居酒屋に「終わった人」「大して出世できなかった人」らが陸続と階段を上って3階の広間に集結しました。大手出版社に勤める成田さんが、突如、やくざなマスコミ業界から足を洗って、故郷の観光協会に奉職されるということで、その新しい門出を祝福して送別会が開かれたのです。

言いだしっぺは京都にお住まいの京洛先生です。わざわざ京都から坂東下りまでして主宰するのですから、成田さんによっぽどお世話になったのか、借りがあったのか、という噂ですが、真相は不明。とにかく彼の鶴の一声で、30人近くの人が参集するのですから、大したものです。

広告代理店電報堂出身の長老長良氏は昭和30年代から40年代にかけて、この大手出版社を担当したという伝説の持ち主で、名物月刊誌は、当時は(今もですが)、飛ぶ鳥を落とす勢いで100万部も売れ、広告収入も3億円。月に2回も特別手当と呼ばれるボーナスが出たそうでした。当時の本社が銀座にあった頃の話でした。今、その近くにバー「ルパン」があり、太宰治、坂口安吾、織田作之助ら無頼派作家がたむろして一躍有名になりましたが、恐らく、雑誌で討論会などをやった帰りに顔を出したのがきっかけでしょう。

成田さんの送別会の話でした。彼はその日、急用ができて、主賓なのに参加できない可能性があり、主宰者の京洛先生に電話したところ、「それなら、主賓抜きで酒盛りやってますから」とあっさり言われてしまい、逆に意固地となって、無理して都合を付けて参加したことを暴露しておりました。

成田さんは、雑誌の編集長を務めたことがあり、森羅万象、あらゆる世界の裏の裏の裏まで知り尽くした方ですから、それはそれは真剣のような斬れ味の鋭い恐ろしい人でした。と過去形にしておきますが、その威力は誰も読まないようなマイナーなブログにまで及び、お茶の子さいさいです。

 無類の日本酒好きである成田さんには記念に「ぐい呑み」が贈られました。高級備前焼きです。その陶芸家の実兄である曾我さんも参加されていて、「最近、若い人が日本酒を呑まなくなったため、徳利の売り上げが大幅に落ち込んでしまいました」と打ち明けておられました。焼き物と言えば、備前。「備前に始まり、備前に終わる」とまで言われてます。その備前焼でさえ、売れていないとは…。それを聞いた私は、ちょっと奮発して備前の徳利を買おうと思いました。

カード不正使用には気を付けませう

 会社の同僚の三浦君のクレジットカードが不正使用されていたことが分かりました。

 不幸中の幸いで、被害を免れました。その理由は、銀行口座に大金を預金していなかったため、カード会社が引き落とせなかったからでした。

 具体的な内容はこうです。三浦君のカードで、ソニーショップで16万円の決済をされたのですが、三浦君の口座には5万円しか入っておらず、カード会社から彼のところに電話が掛かってきたというのです。彼は、ソニーショップに行ったことはないし、そんな多額のモノも買った覚えはありません。それに、カードは手元にあるのです!

 考えられるとしたら、犯人はオンラインでソニーの何かの製品を買って、三浦君になりすまして、彼のカードで決済したということになります。つまりは、彼のカード番号とパスワードまで盗み出したということになります。

 三浦君の話では、ネットでカード決済したとしたら、映画のチケットを買ったぐらいで、その他はやったことがないといいます。映画のチケットをオンラインで買ったぐらいで、犯人は簡単にパスワードまで盗むことができるんでしょうかねえ?恐ろしい話です。

 幸い、冒頭に書いた通り、銀行口座にお金が不足していたため、引き落とされることなく、彼には被害はなく、不正使用されたカードを破棄して、再発行してもらうことになったそうです。三浦君は頭が良いので、カード引き落としの銀行口座には多額のお金は入れないようにしているといいます。賢いですね。

 ところで、今、ふと思ったのですが、カードの決済は1カ月ぐらい掛かりますから、三浦君のカードを不正使用してソニー製品を買った犯人は、既に、その製品は犯人の手元に送られたはずです。それなら、犯人の住所氏名が分かるんじゃないでしょうか?被害届を出すとしたら、代金が振り込まれなかったソニーなのか、カード会社はどう対処するのか、よく分かりませんが、詳しい方は御伝授ください。

 私が使っているクレジットカードは、オンラインショッピングにしろ、映画チケットを買うにしろ、その度に、何日か経って、いちいちメールで報せてくれます。明示されるのは金額とお店の名前だけなので、「あれっ?これ、何に使ったっけ?」と忘れていることがちょくちょく(苦笑)あるのですが、「購入歴」を辿れば、すぐ分かります。つまり、いつもカードの「使用履歴」については、目を光らせております。

 しかし、最近のニュースに接していると、カード不正使用で逮捕される犯人は、外国人が目立つ気がしてます。いや、偏見を助長してしまうので、これ以上書きませんが、とにかく誰にせよ、悪知恵を働かせず、真面目に働きなさい、と言いたい。恐ろしい世の中になったものです。

 

「知ってはいけない」と言われても・・・

 またまた遅ればせながら、2017年8月20日に初版が出た矢部宏治著「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」(講談社現代新書)を読みましたが、内容に関しては嫌になってしまいましたね。勿論、著者を中傷しているわけではなく、よくぞここまで調べ上げたものだと感服しています。恐らく各方面からの抑圧や脅迫もあったでしょうから、彼の勇気には頭が下がります。

 「はじめに」に書いてありましたが、著者の矢部氏には「また陰謀論か」「妄想もいいかげんにしろ」「どうしてそんな偏った物の見方しかできないんだ」などと批判が寄せられるそうです。彼はあまりいい気持ちはしないとはいうものの、腹が立たないというのです。むしろ、「これが自分の妄想ならどんなに幸せだろう」といいます。

 確かに、この本にはどんな教科書にも参考書にも書かれていない戦後史の中の裏面史といいますか、日本人の誰も知らないような米軍との密約が懇切丁寧に描かれています。(多少、「言葉遣い」が扇情的ですが…)

Akihabara

 これでも私自身はゾルゲ事件などに関心があったため、ここ15年ぐらいは、戦後史に関する書物も色々と目を通してきましたから、ここに書かれた密約については、全く知らなかったわけではなく、椅子から転げ落ちるほど衝撃があったわけでもありませんが、どうしてそんな密約ができたのかといったその経緯や背景について細かく説明してくれるので、大いに勉強になりました。

 特記したいのは、沖縄だけでなく、首都東京も含めて、日本全土の制空権は米軍にあり、戦後70年以上経った21世紀になっても、今でも日本は「占領状態」が続いているという事実です。 東京のど真ん中である六本木と南麻布にも非常に重要な米軍基地があり、勿論、そこは治外法権で、日本の法律が及ばない警察捜査権も裁判権もありません。六本木の六本木ヘリポート (またの名を麻布米軍ヘリ基地、赤坂プレスセンターとも) は、一昨年、トランプ大統領が来日した際、安倍首相とゴルフをした埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部から専用ヘリでここまで降り立ったことから注目されましたね。

南麻布には、日本の将来が決定される憲法より上に存在する「日米合同委員会」が開催される ニューサンノー米軍センターがあります。

都内の米軍基地は、東京都の公式ホームページでも公開されておりました。

Akihabara

 「本当は憲法より大切な『日米地位協定入門』」「日本はなぜ、『戦争ができる国』になったのか」などの著書もある矢部氏は、どうも「反米極左主義者」のレッテルを貼られているようですが、左翼の理論的主柱である丸山真男さえ批判しております。

 日本国憲法について矢部氏は、「その草案を書いたのは、百パーセント、占領軍(GHQ)であり、日本人の書いた条文はない」として上で、特に、憲法9条のルーツを辿ります。

それによると、まず、まだ太平洋戦争が始まっていない1941年8月14日の時点で、ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相が会談して、まもなく米国が対日戦に参戦することを前提に二カ国協定を結びます。(これが(1)大西洋憲章です。)

 翌42年1月1日、米英はこの大西洋憲章に基づき、ソ連と中国を含めた26カ国の巨大軍事協定を成立させ、第2次大戦を戦う体制を整えます。その参加国が「連合国」(United Nation)と呼ばれ、その協定が(2)連合国共同宣言です。

連合国の勝利が確実となった44年10月、米、英、ソ、中の4カ国で、国連憲章の原案となる(3)ダンバートン・オークス提案をつくります。

 最後に、欧州戦線がほぼ終わりに近づいた45年4月から6月にかけて、(3)の条文をもとに、米サンフランシスコで50カ国で会議を開き、(4)国連憲章をつくります。これが戦後の国際連合(United Nations)になるわけですから、私はいつも思うのですが、国連というのは誤訳で、「連合国」、もしくは「第2次世界大戦勝者連合」が正しいですね。

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 さて、憲法9条のルーツである大西洋憲章第8項には、「戦争放棄」と「武装解除」が書かれています。つまり、平和を希求する日本人が戦争放棄したわけでも、武装解除したわけでもなく、勝者の連合国軍が、二度と歯向かうことがないように敵の武装を解除して、戦争を放棄させたというのが事実なのです。そんな重要なルーツを丸山真男は分かっていない、と矢部氏は批判するわけです。

 ただし、この「戦争放棄」も「武装解除」も1950年に勃発した朝鮮戦争で方向転換されます。米軍は日本に自衛隊を創設させ、再軍備させます。しかも、今でも密約で取り決められているのですが、いざ、有事の際は、日本の自衛隊も米軍司令官の指揮下に入るというのです。私も知らなかったのですが、これが「指揮権密約」と呼ばれるもので、当時の吉田茂首相が1952年7月23日(クラーク大将)と54年2月8日(ハル大将)の2回、米軍司令官と会い、この密約を結んでいたというのです。

まあ、この本にはこのように、対米従属主義と治外法権と米国の植民地状態のことばかり書かれているわけですから、よほどのマゾヒストでない限り、日本人として面白いわけがないですね。右翼も左翼も関係がないのです。

 それにしても、世界史的に見ても、例を見ない奇妙な占領状態です。しかし、「日本は米軍の『核の傘』で守られているから、『思いやり予算』で米軍の駐留費用を負担するのは当然」だと思っている人も多いことでしょう。ということは、このような占領状態に甘んじているのも、そして、その状態を選んでいるのも、結局、日本国民ということになりますね。