同時に、かなりの「フランス通」と言いますか、雑学の泰斗にさえなりました(笑)。例えば、アルミニウムの原料となる鉱石ボーキサイト bauxite。これは、中世に南フランスのアルル郊外を支配したボー家 Les Bauxから名付けられたんですってね。御存知でしたか? ボー家は、全盛期には80の町を支配していましたが、15世紀にボー家の血筋が絶え、1631年にはルイ13世の宰相リシュリューによって町はことごとく破壊されます。現在、アルル北東のレ・ボー・ド・プロバンス村 Les Baux-de-Provence(人口470人)に廃墟の城が残っていますが、この辺りでも鉱物ボーキサイトが採取されていたようです。
美術の話になったので、その線で話を進めますと、フランスは「芸術大国」と言われますが、しっかりと、過去の芸術家の所縁の地を観光資源として残してます。美術館を建てたり、画家が写生した現場に看板を立てたりしています。計算高い国ですねえ、行きたくなるじゃありませんか(笑)。クロード・モネ(「睡蓮」連作で知られる北西ノルマンディーNormandie地方ジヴェルニーGiverny、「印象:日の出」を描いた同地方ル・アーヴル Le Havre)、ポール・セザンヌ(生まれ故郷の南仏プロヴァンスProvence地方エクス・アン・プロヴァンスAix-en-Provenceとサント・ヴィクトワール山)ら自国民は当然のことながら、オランダのフィンセント・ファン・ゴッホ(終焉の地であるパリ郊外イル・ド・フランスIle de France地方オヴェール・シュル・オワーズAuvers-sur-Oise、南仏プロヴァンスProvence地方アルルArles)、スペインのパブロ・ピカソ(65歳で陶芸を始めた南仏コートダジュールCôte d’Azur地方ヴァロリスVallauris、絵画製作のため滞在した同地方アンティーブAntibesのグリマルディ城Chateaux Grimaldi=現ピカソ美術館など)らは、各地に足跡を残しています。
そう言えば、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダヴィンチなんかイタリア出身ながら、フランソワ1世に招かれて豪邸(北中西部ロワールLoire地方アンボワーズAmboiseのクロ・リュセ城Châteaux du Clos Lucé )を与えられ、同地のフランスで生涯を終えてましたね(同地の聖ユベール礼拝堂Chapelle de St. Hubertにお墓があります)