北海道賛

ストレスと疲労が重なると精神的にどうも落ち込んでしまいます。そういう時は、頑張らない方がいいかもしれません。

今、あんなに仕事が大変だった北海道が懐かしくてしょうがありません。夕方には仕事を終えて、買い物したり食事をしたり、温泉に行ったり、休日は遠く足を伸ばして見聞を広めたり…。実に充実した日々を過していました。

2年半も北海道新聞と十勝毎日新聞を隅々まで読み続けていたので、こちらに来て、北海道のニュースの少なさに違和感を感じでしまいます。ですから、偶に北海道の記事を見つけると、食い入るように何度も読んでしまいます。

懐かしい人々の顔が浮かんできます。

私は北海道の味方です。

自衛官救出美談、その後

公開日時: 2005年10月21日 @ 11:17

北海道でしかあまり大きなニュースになりませんでしたが、大雪山系の旭岳(2290m)で遭難して、8日ぶりに奇蹟的に救出された陸上自衛隊の陸曹長(42)の話が今月17日に美談として伝えられました。

この自衛官は、夜は岩陰で休み、なるべく体力を消耗しないようにして沢の水だけで、生き延びました。レンジャーの特訓を受けたことがあり、この経験が役立ったようです。普通の人ならまず死んでいたでしょう。私も「素晴らしい」と感動したものです。

すると、昨日の北海道版の朝日新聞に、この自衛官の捜索に「延べ388人、ヘリコプター44機、車両51台も導入した」と書かれていました。普段は、地元の警察を通じて、陸上自衛隊第2師団(旭川市)が捜索を担当するのですが、遭難した自衛官が所属する第5旅団(帯広市)も仲間の捜索に加わったからです。

普通の民間人の場合は、通常3日で捜索は打ち切られるそうです。陸曹長の場合は、遭難して4日目に、水に漬かって使えなかった携帯がやっと通じで、救助の連絡があったため、延長されましたが、7日経っても見つからず、捜索は再び打ち切られました。それでも、自衛隊は翌17日も出動して、ついに発見、救出に至ったというのです。記事には書かれていませんが、最後に救出したのは、仲間の第5旅団だったのかもしれません。

最後にこの記事では「民間人でも同じ態勢でやってくれるのか」という道警と自治体の「声」を紹介しています。

それに対する私の答えは、「まあ、無理でしょうね」。

我々庶民は、何事においても、心してかからなければならないのです。

羊セラピー

今日は、ワインで有名な北海道池田町にある「スピナーズファーム」へ羊さんを見に行きました。ここには、コリデール、ハンプシャー、シェットランドなど親羊30匹、子羊が20匹もいるのです。

オーナーの田中さんに話を聞いたところ、羊の平均寿命は14歳くらい。メスは5歳から8歳にかけて1年に2匹くらい子供を産むそうです。つまり1匹の羊は生涯に10匹くらい子供を産むということでしょうか。すごいのは、絶対に自分の子供以外に自分の乳を与えないことです。他の子供が乳を飲もうと近づくと、角や体で追い払います。ですから、子羊は尻尾を振って、自分の体臭を撒き散らしながら母親の乳を吸います。「あなたの子供ですから、どうぞ蹴らないでくださいね」と言っている感じでした。

ジンギスカンになる食用の羊はサフォークと呼ばれる種類ですが、ここで飼っている羊は、ほとんどが羊毛用の羊です。体全体が黒かったり、顔だけ黒くてボディはクリーム色だったり、角が3つも生えていたり、乳牛のように「ブチ」だったり(ヤコブと呼ばれてます)、本当に1匹として、同じ顔がいません。羊は世界で何と3000種類以上あるそうですから無理もありません。見ているだけでも本当に飽きません。

羊の原産は英国が多いので、暑さには弱いが、寒さに強い。だから、冬場の寒い時にマイナス25度にもなる池田町でも平気なんだそうです。見るからに羊さんはセーターを10枚くら着込んでいる感じですからね。

ここの羊の殆どが羊毛用と最初に書きましたが、そのうち半分近くは内地の病院に「出荷」するそうです。病院?-そう、いわゆるアニマル・セラピーと呼ばれるもので、羊さんを飼う事によって、心が癒される心理療法です。それは確かに効果覿面だと思います。卵を一回り縮小した感じの大きな薄いグリーンの眼。その眼を良く見ると、瞳は丸ではなくて太い横棒なんですね。本来、羊は怖がりなので、あまり人間には近づきませんが、「スピナーズファーム」の羊の何匹かはとても人間に慣れているので、餌を与えなくても、撫でてあげると、犬のように尻尾を振ります。それがとてもかわいい。

六本木ヒルズ辺りでマネーゲームに明け暮れている連中には、この素晴らしさは理解できないだろうなあ。

ふるさと銀河線

「ふるさと銀河線」何とロマンティックな名前なんでしょう。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を連想させてくれます。
でも「ふるさと銀河線」は童話の世界ではありません。北海道の北見市と池田市を結ぶ営業140キロ、駅数が33ある、いわゆる第3セクターの鉄道で、正式名称は「北海道ちほく高原鉄道株式会社」。社長は、神田孝次北見市長が「兼務」しています。(この「兼務」が後から需要な意味を持ってきます)

その「ふるさと銀河線」が来年3月いっぱいで廃線が決まりました。理由は簡単明瞭。累積赤字です。今年度も経常損失が3億3千万円以上が見込まれています。1990年に年間約103万人いた利用者もこの年をピークに坂道から転がり落ちるように減少し、今年度はその半分以下の45万人しか利用しなかったようです。沿線人口の減少と自家用車利用の増加が最大の原因です。

資本主義の原理からいえば、廃線も仕方がないのかもしれません。でも、悲しい話です。絶滅稀種と同じで一度廃止されれば、二度と復活することはないでしょう。「ふるさと銀河線」の存廃問題については、2年も前から沿線自治体の首長ら関係者による協議会を北見市内のホテルで12回も開催して話し合ってきました。沿線住民も傍聴人として参加してきました。

この問題について深く取材してきた地元十勝新聞社の岩城由彦記者は「会場にはいつも、黒塗りの公用車が並ぶ。存続を願う住民が運賃収入に貢献しようと、仕事などの都合をつけながら『1駅でも2駅でも』と列車に揺られて傍聴に通ったのと対照的だった」と皮肉っています。さらに、経営コンサルタントの「会社経営が、首長の仕事の片手間でできるわけがない」というコメントを引き出して、怒りさえ滲ませています。

私も「ふるさと銀河線」には2度、乗ったことがあります。わずか1両の単線で、平日の昼間ということで、私以外の乗客は一人しかいませんでした。仕事で利用したので、のどかな旅情を味わうことはできませんでしたが、窓外の景色を眺めながら、何となく心が洗われる気分を感じることができました。

それにしても傍観者は無力です。廃線となる来年3月には、全国の鉄道マニアが駆けつけて「廃止するにはもったいない」と声を上げている姿が想像できます。傍観者は無責任でもあるのです。

されどNHK

今日、3月22日は、NHKが(ラジオ)放送を始めて、ちょうど80周年だそうです。
そんなおめでたい年なのに、皮肉にも、昨年来の職員の不祥事で、大規模な受信料不払い運動に発展し、今のNHKは恐らく創業以来最大のピンチと言っていいでしょう。
海老ジョンイルを引き継いで新しくNHKの会長になった橋本元一さんは、小生、その昔、NHKの記者クラブに詰めていた頃、衛星放送の仕組みなどについて事細かく教授してもらい、大変お世話になった人なので、「頑張ってほしい」と陰では応援をしているのですが、何せ、技術畑出身の人なので、会長のような政治的な、俗人的な、野蛮的な、人間の欲望がとぐろを巻いているような重職には、絶対に向かない人で、何であの橋元(はしげん)さん(皆そう、親しみを込めて言ってました)が、会長なんかになってしまったのだろうか、と今でも不思議でしょうがありません。
と、書くのは今日の趣旨ではありませんでした。
私は正直、あまりテレビを見ません。むしろ、ラジオ党と言っていいでしょう。音楽好きというのが、1つの理由ですが、ラジオは、何かしながら、できるからです。食事をしながら、体操をしながら、勉強しながら…。そういえば、昔は「ながら族」と言われたことがあります。(これは死語?)とにかく、テレビだど、画面を見なければならず、思考もストップしがちで、想像力も退化する気がします。何にしろ、面白くなければテレビではないらしいので、ついつい見てしまいます。そして、後からすごい後悔が押し寄せてきます。「時間を奪われてしまった!」モモの心境です。
今日、ラジオで面白い話を耳にしました。NHKの80周年記念の特集の中で、ゲストに脚本家の早坂暁さんが登場しました。彼はこんなことを言うのです。
「今はやりの『オレオレ詐欺』なんか、ラジオを聴いて、しっかり耳の訓練をしていれば騙されないはずです。恐らく犯人は、刑事役にしろ、テレビドラマの口調を真似たと思います。それは、無駄な言葉が一切ない。しかし、本物の刑事は、台詞を読むように無駄な言葉がないような話し方はしないはずです。むしろ、無駄だらけです。『ところで、あの件はどうだったでしょうかねえ』といった感じで、本筋には全く関係ない話を急にしたりします。余分な無駄のない話に騙されるということは、やはりテレビの影響ではないでしょうか」
そこで早坂さんは、ラジオドラマの復権を主張するのです。
私は、さすが、鋭い点を衝くなあと感心しました。