日本の国家予算について、霞ヶ関方面で禄を食んでいらっしゃるさる方が、大変分かりやすく説明されておられました。
まず、日本の国家予算は年間80兆円。
このうち
1、20兆円が国債の償還(つまり、過去の借金の返済)
2、20兆円が地方交付税(地方自治体の財源)
3、20兆円が社会保障(医療費、ほうっておくと年間1兆円規模で増えていく)
4、20兆円が公共事業、防衛費、警察官や学校の先生の給料など…
なるほど、そういうシステムになっていたのですね。
そこで、今日問題にしたいのは、3番の医療費です。4月から後期高齢者医療制度がスタートし、保険料が年金から天引きされ、大きな問題になっていますが、それどころではない話が着々と進んでいるのです。
何しろ、制度が複雑すぎているので、庶民には分かりにくいように、分かりにくいように進めているきらいがあります。私も経済ジャーナリストの荻原博子氏の記事によって、初めて知りました。
しかし、いずれも「痛みを伴うが改革は進めていかなければならない」と絶叫した小泉政権の下で圧倒的多数で合法的に採択されたものだったのです。私は当時、北海道に住んでいて、経済的に疲弊し、たくさんのシャッター商店を見てきたので、「地方切捨て」の行政に怒りをもってみつめていたのですが、こんな無謀な策略をめぐらしていたとは気がつきませんでした。
その医療費ですが、75歳以上の後期高齢者だけが対象者ではなかったんですね。70歳から74歳までの前期高齢者と言われる人たちも医療機関での窓口負担が来年4月から1割から2割に引き上げられるのです。本当は今年から引き上げる予定だったのですが、「選挙に影響がある」といって、時の自民・公明党政権は翌年に引き伸ばす「温情政策」を施したというのです。(なお、70歳以上でも夫婦世帯で520万円以上という現役並みの所得がある人は、2006年から2割から3割負担に引き上げられています)
とはいえ、これは子供だましの話で、この1年間凍結した負担分1460億円は、いずれ、国民に増税か保険料アップとしてちゃっかり「還元」されるというのですから、呆れてしまいます。
高齢者でも、収入があればいいですよ。年金問題がこれだけガタガタしていて、年金を納めてきたのに、名前が消えてしまった人たちがいるのに、ちゃっかり、保険料だけは天引きするという話ではないですか。全くひどい話です。
怖ろしいことに、年金支給も現行の65歳から68歳ぐらいに引き伸ばそうと、厚生労働省は画策しているというのです。定年が伸びるのかもしれませんが、日本の国家は老人に「霞でも食ってろ」という言うつもりなのでしょうか。
何じゃあ、これ!?という話ですよね。
2007年には所得税と住民税の定率減税が全廃され、今後、介護保険料の引き上げも目論まれているといのですから、若い人とて、先の話ではありません。
「明日は我が身」どころか、「今日から我が身」です。