新型コロナで世界は激変=緊急事態宣言はメリットだけなのか?

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 まあ、何と言いましょうか、新型コロナの影響で、世界が一変しました。どう考えても良い話は一つもありません。(おかげでブログを書く気力が失せました)

 何しろ、二律背反。あっちを立てれば、こっちが立たず。究極的な話は、経済を優先すれば、健康を脅かし、健康を優先すれば、経済が駄目になる、という話です。まあ、ヒトが死んでは元も子もないですから、株価が大暴落しようが大不況になろうが、とにかく、ウイルス感染拡大阻止と終息に向けて、当面、世界規模で全力を挙げるしかありません。

 それでも、観光業を始め、航空・バス輸送業、飲食業、サービス業、エンターテインメント業界を中心に大打撃どころか、辛うじて社員だけは確保して立場の弱い非正規雇用者は見捨ててる状況です。日本の基幹産業である自動車業界も生産どころではないので、その裾野産業の部品関連も目を当てられない深刻事態です。

 卒業式も入学式もできず、アパレル業界もレンタル業界も大打撃。マスコミもイベントやセミナー、講演会等が開催できず、面接調査もできないので、テレビもラジオも新聞も代理店も大幅減収で、実はヤバイ状況です。

 夜の街の徘徊も自粛されましたから、友人と会って情報交換もできません。暗い話ばかりです。

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 さて、久しぶりに京都にお住まいの京洛先生に安否確認してみました。つい先日まで、鷹揚に構えていらっしゃったのですが、今週になって京都産業大学の学生さんの集団感染が明らかになり、京都も緊迫した雰囲気のようです。5月15日に開催される京都三大祭の一つ「葵祭」は、今年は中止が決まったそうです。

 いつも世の中を斜に構えて冷ややかに眺めている京洛先生のことですから、今の状況に対する批判は辛辣です。

 …京都は知事、市長が2日に、共同記者会見して「不要不急で、首都圏や大阪、兵庫に行かないでくれ」と、禁足令が出ました。東京は事実上”封鎖都市”ですね。
 戦時下と同じですが、そういう見方をする人は少数で、テレビは「早く!緊急事態宣言を出せ!」と安倍首相の尻を叩く大合唱です。安倍さんが気の毒になりました(笑)。緊急事態宣言を出したら凄いことが起きますよ。買い溜めなどをして高く転売する人間が増殖し、治安も悪くなり、予想もしない副作用や反動が起こります。

 安倍さんは、それを、恐れて慎重になっているんです。「医師会」は医療体制の視点だけで「医療崩壊する。早くしろ!危機的状況で俺らは大変なんだ」とだけ言っているのです。私も病院業界に少しだけ首を突っ込んだことがありますけど、開業医の団体は、エゴだけです。本当に大変なのは黙々と、新型肺炎の治療に当たっている現場の人達です。テレビに出て喋っているドクターと称する輩に対しては「テレビに出るより、現場に出たらどうなのだ!」と言いたいですね。「謝礼」だけもらって、「私の知り合いが、本当に大変だと言ってました」などと言ってるのですから酷いものです。専門家だけが正しいわけでも、正義でも何でもないのです。逆に言えば、専門家って、その世界のことだけしか知らない人のことでしょ?専門家の中には非常識な人間もいるです。
 今やテレビに引っ張りだこの岡田女史も、もはや「医療関係者」「専門家」でなく、女優サンです(笑)。ドラマ「看護師は見た!」を企画して、その主演に起用したらどうですかね。あの程度のルックスのタレントは少ないですから、丁度いいですよ。…

 いやはや、大笑いです。これだけシニカルに世の中を見られる人はいません。日本人は、集団ヒステリー気味のところがあります。戦時中、イケイケドンドンと声高に叫んだのは軍人だけでなく、隣組の庶民たちでしたからね。

 ラジオを聴いていたら、実にアンケートを取った85%もの人が「緊急事態宣言」を出すべきだと主張しておりました。恐らく、メリットしか頭になく、副作用やデメリットは全く考えていないからなのでしょう。マスコミが「早く出せ」と世論を煽っている側面もあります。
 フィリピンのドゥテルテ大統領は4月1日夜、国民に向けてテレビ演説をし、移動制限など政府の政策に抗議した場合、射殺を含めた強硬措置をとると宣言したそうじゃないですか。「射殺」ですよ、射殺。日本は良識ある国だから、そんなことありえない、というのは浅はかな考えでしょう。緊急事態宣言で、土地や建物の接取に抗議したり、品不足のスーパーでデモ抗議したり、自粛要請を無視したりすれば、まず公務執行妨害で即、逮捕かなあ。。。

全体主義的な監視態勢には反対です

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 2020年の新しい年を迎えた1月に、新型コロナウイルス感染がこれほど猛威を振るって世界的に拡大することを想像できた人は皆無だと思います。何しろ、1月半ば過ぎにこのウイルスの話が初めて日本に伝えられた時、テレビに出てきた医者の肩書を持つコメンテーターが、はっきりと「ヒトからヒトへの感染はない」と断言していましたからね。

 毎日、憂鬱なコロナウイルスの蔓延のニュースを聞かされてうんざりする中、笑いが一番欲しい時に、志村けんさんが亡くなり、日本でも流れが変わりました。

  とはいえ、いつまでも悲観しているわけにはいきません。テレビに出てくるコメンテーターは、まるで井戸端会議のように言いたい放題です。真偽は定かではないのに、言い放しで終わり、誰も責任を取ろうとはしません。いっそのこと、分からないことは分からない、予想がつかないことはつかない、とはっきり言ってもらった方がすっきりします。

  でも、はっきりしていることは、この2020年の新型コロナ騒動で、世界全体がガラリと変わったことです。どう変わったのか?ー

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 「サピエンス全史」で知られるイスラエルの歴史学者のハラリ氏が、今朝の日経新聞に寄稿して、良識ある市民にとってただならぬ事態になりかねないことを警告していました。 例えば、「全体主義国家」である中国当局は、市民のスマホを細かく監視し、顔認証機能を持つ監視カメラを何億台も配置して情報を収集しているといいます。市民には体温や健康状態のチェックとその報告義務を課すことで、感染が疑われる人物を特定します。同時にその人の行動を追跡して、接触した者まで特定するといいます。感染者に近づくと警告するアプリまで登場したとか。まるで、ビッグ・ブラザーによって監視されるジョージ・オーウェルの「1984年」の世界のようです。

 これは、感染者を発見することで良い面がある一方、いずれ終息して平時に戻っても、一生、死ぬまで当局に監視追跡されかねいことになります。そして、一度、「緊急事態宣言」が出されれば、後戻りできない可能性があることをハラリ氏は指摘し、最悪の事態にならないよう警告しているのです。

 ハラリ氏は「全体主義的な監視態勢を敷くのではなく、むしろ市民に力を与えることで、私たちは自分の健康を守り、新型コロナの感染拡大を阻止することを選択できる」と主張するのです。

 大いに賛同します。言い方は悪いですが、どさくさに紛れて、市民を監視する全体主義的な緊急事態宣言を発令しようとする極東の島国がありますが、いかがなものか、です。 「厳重な監視態勢を敷かなければ感染拡大を阻止できない」と主張する政治家がいることは承知していますが、中国の例のように後戻りできない可能性の方が大きいのです。 (平時でも、時の政府は、自分たちの気に入らない霞ヶ関の高級官僚を追跡し、風俗店に出入りしていたことを御用新聞にリークしてましたからね)

 昨晩は、小池都知事が緊急記者会見して、 密集、密接、密閉の「三つの密」がそろうバーやキャバクラやカラオケ等への夜間の出入りを自粛するよう呼び掛けました。私自身は、何年、いや何十年も行ってませんが(苦笑)、店側は死活問題でしょうね。でも、首都封鎖されるよりマシでしょう。封鎖されれば、首都機能が麻痺して、株も大暴落して世界同時大不況になる最悪のシナリオも考えられます。

 自由とデモクラシーを取るか、全体主義を取るかー。良識ある市民を信じるか、罰則を厳しくするか-。監視社会にするのか、しないのかー。新型コロナウイルス騒動は政治思潮にも影響を与え、今後の世界を変革していくことは間違いありません。

 

渡来系移住民について考える

 新型コロナの感染拡大で、東京、そして神奈川、千葉、埼玉といった首都圏の行政の長が次ぎ次ぎと週末の「外出自粛」を要請しました。行政の長は、コロナウイルスがオーバーシュートして、さらなるクラスターもエンラージし、このまま何もしなければロックダウンを招くようなアージェントイッシューになっている、などと懇切丁寧に説明してくださいました。

 有難う御座いました。

 29日(日)の関東地方は珍しく大雪。自宅を出られなければ、良識のある大人は、本を読むしかありません。私は3世紀から8世紀にかけての日本の古代に時間旅行することにしました。2860円と少し高かったのですが、吉村武彦編・著「渡来系移住民」(岩波書店、2020年3月17日初版)を思い切って購入しました。新聞の広告に出ていたのですが、一読しただけで、「新しく分かってきた歴史の実像を知ることの興奮と喜び」(「刊行にあたって」より)を感じることができました。

 まず、本の題名のことですが、半島や大陸から来日してきた人を「古事記」では「帰化」、「日本書紀」では「渡来」の用語が使われています。しかし、帰化とはいっても、永住せず、途中で帰ったり、再来日したりする者がいたり、渡来といっても、そのまま居ついてしまう永住者がいたりしたといいます。ということで、本書では彼らのことをひっくるめて「渡来系移住民」と呼ぶことを提唱しています。

 彼らの代表的な集団は、東漢氏です。「やまとのあや」氏と読みます。古代史に詳しい人以外は読めないでしょう、と吉村氏は書いてますが、私は 、古典的名著である上田正昭氏の「帰化人 古代国家の成立をめぐって」(中公新書)などを読んでいたので、読めました。 645年の大化の改新の火ぶたを切った乙巳の変で、蘇我入鹿(いるか)の暗殺後にその父蝦夷(えみし)らを護衛したのが東漢氏でした。蘇我氏との関係が深かったのです。

 また、平安初期の征夷大将軍の坂上田村麻呂(さかのうえ の たむらまろ)も、渡来系移住民である東漢氏でした。田村麻呂の父である苅田麻呂の上表文によると、坂上氏は「後漢の霊帝の曾孫の後裔」と称し、半島の帯方郡を経て列島に帰化したといいます。東漢氏は半島から渡来してきたので、私は、朝鮮系かと間違って覚えていました。漢民族は、楽浪郡(紀元前108年、現在の平壌付近)や帯方郡(2世紀末から3世紀初め)などを朝鮮半島に直轄地として置いていたことを忘れていました。(ただし、彼らがそう主張しているだけで、東漢氏は朝鮮系である可能性も残されています)

 同じように、本書では書いていませんでしたが、渡来系移住民である西漢(かわちのあや)氏も漢民族かもしれません。ちなみに、「東」と「西」は、生駒山脈の東を大和、西を河内と呼んだからだろう、と著者の吉村明大名誉教授は説明しています。

 もう一つ、応神紀に伝承する有力な渡来系移住民は秦氏です。「はた」と読みます。日本書紀では、弓月君(ゆづきのきみ)が百済から渡来し、秦氏の祖となったとされていますが、後に「太秦」(うずまさ)と名乗る秦氏は「秦始皇帝の三世の孫、孝武王より出ず」 (「新撰勢姓氏録」) と主張しています。この点について、吉村氏は、確かな資料がないので推測するしかない、としながらも、中国の秦(しん)と関係した人が含まれていた可能性は皆無ではない、と微妙な書き方をしています。となると、逆に、秦氏は、中国とは関係なく、朝鮮半島の百済人が自称した可能性もあるということです。渡来系のほとんどが何らかの職能技術集団ですから、秦氏は、機織りの機(はた)から来ているのではないか、という説がありますが、こちらは確かでしょう。

 秦氏、または太秦氏は、山城(京都)を地場に活動を広げた渡来系移住民で、太秦にある弥勒菩薩像で有名な広隆寺は秦氏の氏寺で、嵐山近くに秦氏の古墳もあります。京都に平安京を遷都した桓武天皇の生母である高野新笠(たかののにいがさ)は、「百済の武寧王の子純陀太子(じゅんだたいし)より出づ」(「続日本紀」)と紹介されていることから、百済人脈の流れで、桓武天皇が京都に遷都された可能性も否定できません。

 ちなみに、祇園祭で有名な八坂神社も、 幕末まで感神院、または祇園社と称し、諸説あるものの、斉明天皇2年(656年)に高句麗から来朝した使節の伊利之(いりし) が創建したといわれています。八坂神社の祭神の一人は素戔嗚尊ですが、梅原猛説では、スサノオは新羅系を取っていました。スサノオは出雲の神とはいえ、京都も半島からの影響が強かったことになります。

 渡来系技術者集団は、その職種によって、陶部(すえつくりべ)、鞍部(くらつくりべ)、画部(えかきべ)などと呼ばれました。また、5世紀になって河内で馬の生産が盛んに行われるようになり、彼ら「典馬(うまかい)は新羅人」(「日本書紀」)とされています。渡来した馬飼(うまかい)人は、恐らく、馬だけでなく、同時に鉄器も日本列島に伝えたのだろう、と私は思います。なぜなら、先日のブログ「古代史が書き換えられるアイアンロード」にも書きましたが、スキタイ人が馬の口の中に嵌める「鉄のはみ」を発明して、野生馬を自由に御すことによって、長距離の「移動革命」を成し遂げたからです。 馬と鉄のはみは、その後、匈奴と漢に伝わり、それが朝鮮半島を通って、日本列島に伝えられたことは間違いないでしょう。もちろん、農具や武器をつくる製鉄技術も同時に入ってきたと思います。

 このように、現代人が想像する以上に、渡来系移住民と日本列島との関係が濃厚だったことが分かります。

(つづく)

新型コロナの影響で、カミュの「ペスト」が売れているそうな

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 新型コロナの世界的な感染拡大の影響で、24日になってやっと東京五輪が来年に延期されることになりました。表では報道されませんが、最終的にゴーサインを出したのは、独占放送権を持つ米NBCでした。勧進元のIOCじゃなかったんですね。もちろん、日本の内閣総理大臣や東京都知事や米大統領にも最初から決定権はなかったわけです。

 NBCといっても、単なる放送局ですから、最大の最終的意向はスポンサーということになります。(テレビ局と代理店が慌てふためいてスポンサーさんの意向を伺っている姿が目に浮かぶようです)そのスポンサーである米大手企業も、新型コロナの影響をもろかぶって株価が大暴落して、青息吐息です。オリンピックどころじゃない、今年の開催はとても無理ということになりました。そもそも五輪は慈善事業でも何でもないし、経済波及効果を狙った営利活動ですからね。

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  さて、新型コロナの蔓延で、今、日本ではフランスのノーベル文学賞作家、アルベール・カミュ(1913~60年)が1947年に発表した「ペスト」(新潮文庫、宮崎嶺雄訳) が爆発的に売れているようです。文庫は、1969年10月30日初版ということですから、もう半世紀以上昔の本です。が、「都市封鎖」など今の状況と酷似しているということで、真面目な日本人のことですから、急速に話題になったわけです。版元も2月中旬から1万4000部の増刷を決定しました。

 カミュが「ペスト」を出版したとき、まだ34歳の若さです。この作品は世界的なベストセラーとなり、10年後に史上最年少の44歳でノーベル賞を受賞する大きな弾みになったとも言われてます。(ペストは、第2次世界大戦の戦争の惨禍を比喩したとも言われ、改めてカミュの想像力と創造力には感服します)

 私は学生時代にフランス語を専攻していましたから、もちろん、読みました。1970年代の学生の間では、サルトルとカミュが人気を二分していました。ということで、結構、カミュの作品は読みました。代表作「異邦人」は、原書で読みましたが、「ペスト」は翻訳だけでした。そこで、今回、話題になっているということで、原文に挑戦してみることにしました。

 そしたら、いきなり、出だしで躓いて、ニッチもサッチもいかなくなってしまいました。それは、ダニエル・デフォー(1660~1731)の言葉を引用したエピグラフです。

Il est aussi raisonnable de représenter une espèce d’emprisonnement par une autre que de représenter n’importe quelle chose qui existe réellement par quelque chose qui n’existe pas.

DANIEL DE FOE.

 デフォーと言えば、「ロビンソン・クルーソー」で有名な作家です。カミュは何故、デフォーを引用したのか?

 デフォーは、色んな職業を遍歴しましたが、政治的プロパガンダも発信するジャーナリストでもあり、諜報員でもありました。そして、1665年のペストの大流行(当時のロンドンで約10万人が死亡したという)を題材にした「ペストの記憶」という作品(原題は「疫病年誌」)を還暦を過ぎた1722年に発表しています。フィクションですが、かなり事実に基づいているようです。英国でペストが大流行した時、デフォーは5歳でしたが、周囲から色んな話を聞いて育ったと言われています。

 恐らく、カミュはこの作品を読んでいたので、エピグラフとしてデフォーの言葉を引用したと思われます。

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で、先程引用したそのデフォーの文章ですが、正直、一読してさっぱり意味が取れませんでした。丸一日格闘して、何十年かぶりに仏訳をやってみました。

 これ以下は、フランス語に興味がない方は飛ばして頂いて結構なんですが、この文は、まずaussi~que 構文で、que以下と同じくらい aussi以下だ、という意味になります。私が躓いたのは、 par une autreの部分で、何でune(女性名詞) なのか?と思ってしまったのです。emprisonnement(監禁、拘束)男性名詞なので、これを受けたわけではない。それなら、une espèce de(一種の)となると、どうも違うような気がします。une autre chose(別のもの) なのかなあ、と思ってしまいました。カミュの「ペスト」はオラン市の都市封鎖が描かれているので、監禁状態を、都市封鎖という「別のもの」で比喩しているのかなと思ったわけです。

 そこで、こう訳してみました。

現実に存在するあらゆるものを、この世に存在しないものによって表現することが理にかなっているのと同じように、一種の監禁状態を別のものによって表現することは、意味のあることだ。 ーダニエル・デフォー

 うーん、哲学的考察で、日本語にしても意味が分かりにくい…。(ちなみに、かつて読んだ翻訳本はとうの昔に紛失してます)

 そこで、語学の天才の刀根先生にメールで問い合わせてみました。そしたら、私が躓いていた par une autre の une(女性名詞) は、 une espèce( ということは、 une espèce d’emprisonnement ) でいいのではないか、と言うのです。そして彼の翻訳を提示してもらいました。

 ある監禁の状態を、それとは異なる監禁のあり方というものをもって描き出してみせる。それは、何でもいいのだが、本当にあるものを、ありもしない何ものかでもって表すことになぞらえることができる。―― つまり十分に正当なことなのだ

 私のように、直訳調ではなく、こちらはしっかり文学的に翻訳していますね。

 それにしても翻訳は難しい。でも、面白い。それに思ったのですが、日本語はすぐ古びてしまいますね。半世紀以上昔に出版された宮崎嶺雄訳の「ペスト」では、「細君」とか、「看護婦」とか、「イスパニア人」とか今ではあまり使われなくなった古い日本語が出てきます。

 新訳が望まれます…なんて書こうとしましたが、最近の日本人の翻訳力は数段、落ちているんじゃないでしょうか。洋楽ポップスや洋画のタイトルなんぞは、もう意味も通らないのに構いもせず、原文をカタカナのまんま表記して、翻訳作業そのものを放棄しています。

 最近の新型コロナ騒動では、クラスターとか、オーバーシュートとか、ロックダウンとか、カタカナ用語のオンパレード。

 何ですかあ~?

【追記】

Il est aussi raisonnable de représenter une espèce d’emprisonnement par une autre que de représenter n’importe quelle chose qui existe réellement par quelque chose qui n’existe pas.

 のこと。フランスにお住まいのガランス先生にお伺いしたところ、以下のように翻訳して頂きました。

一種の監獄状態を、なにか別の状況に置き換えて表現するというのは、なんであれ現実に存在するものを、存在しないものによって表現するのと同じくらい、破天荒なことだ。

この注釈として「 raisonableはもちろん、道理にかなったという意味ですが、もしかして逆説的に使っているのかと。文脈からすると、できそうもないことをやってのける、と言っているような気がします」といったことも書かれていました。

 なるほど、すっきりしました。

 

感染検査の遅れで甦る731石井細菌部隊

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 新型コロナウイルスの感染は今や欧州が最も拡大した地域になり、EUの取り決めもほとんど無効となり、国境封鎖や外出禁止令まで出るようになりました。

 AFP通信の調べでは、新型コロナウイルスは3月18日午前2時時点で 、中国本国の感染者が8万881人で死亡者は3226人。中国以外の感染者は10万8805人と発生源を超えてしまいました。特に酷いのは欧州で、感染者で多い国から順に、イタリア(死亡2503人、感染3万1506人)、イラン(死亡988人、感染1万6169人)、スペイン(死亡491人、感染1万1178人)、フランス(死亡148人、感染6633人)と続いています。(日本は、16日18時の時点で死亡35人、感染者1496人)

 先々週まで、それほど警戒していなかったフランスのマクロン大統領は昨日(現地16日)になって急にテレビで国民向けに演説し、感染拡大を阻止するため、必需品の買い出しや病院受診などを除いた外出禁止令を布告しました。カフェもレストランも営業が停止され、公園にも散歩しちゃダメ、なんて言うんですからね。

 マクロン大統領は、ウイルスとの闘いを「戦争」とまで表現していました。こんな事態、これから100年間、語り継がれることでしょう。

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ところで、日本では新型コロナウイルス感染の判別に役立つPCR(ポリメラーゼ連鎖反応) 検査が進んでいません。何故なのか?ー これについて、上(かみ)昌広・医療ガバナンス研究所理事長が 「サンデー毎日」に「731部隊の亡霊『専門家会議』の大罪」という記事で勇気ある告発をしています。

 どうやら、政府が2月14日に発足した専門家会議が怪しい、ということで、そのルーツを明かして糾弾しています。メンバーの12人のうち8人が、4組織の関係者で人事と予算とデータまで独占しているというのです。
 その4組織とは、国立感染症研究所(感染研)、東京大医科学研究所(医科研)、国立国際医療研究センター(医療センター)、東京慈恵会医科大学(慈恵医大)です。
 感染研と医科研は戦前の伝染病研究所(伝研)が母体で、戦後、伝研が分離独立した際に、幹部に帝国陸軍の細菌戦研究機関「731部隊」関係者が名を連ねたといいます。また、医療センターは、陸軍の中核病院で、慈恵医大は、海軍軍医学校創設者の一人である高木兼寛が中心になって設立した医師受験予備校だったそうで、まるで戦前の亡霊が復活したかのように見えます。
 上氏は、帝国陸海軍の流れを汲んでいる組織ゆえに、関係者には秘匿主義があるのではと告発しているわけです。

 以上は、731石井細菌部隊に詳しい加藤哲郎・一橋大名誉教授のサイト「ネチズン・カレッジ」で知りました。

 そう言えば、私も、その注目の感染研には行ったことがあります。諜報研究会の第一回見学ツアーに参加した際、お導き頂きました。2017年11月25日のことです。この日は、石井細菌部隊関連の歴史的舞台を色々と連れて行って頂きました。ご興味のある方はリンク先をご参照ください。

143年ぶりに「茅の輪」が出現=京都・八坂神社

Photo Copyright par Kyoraque-sensei

おはようございます。京都の京洛先生です。新型肺炎が世界中に蔓延して、2020年「東京五輪」どころではありませんね。

トランプ米大統領は「非常事態宣言」を出しました。「大統領再選」の危機感と言えますが、これもトランプ独特の一芝居です(笑)。僅か5兆円か、6兆円くらいで、非常事態が解決、解消できるわけありませんよ。

 日本では、「東京五輪」の開催決定権も無い、小池百合子・東京都知事が偉そうにマスコミ相手に色々喋っていますが、そのコメントの背景も解説せずに垂れ流すマスコミというのは何ですかねえ?小池さんの東京都知事選の事前運動か、PRを手助けしているだけの話です。取材する側にその自覚がないのですから、本当に情けない話です。

 クラスター(cluster)とかいう「感染集団」は、新型肺炎のことだけでなく、裏読みできないマスコミ自体が感染集団みたいなもので、はっきり言って、ただの烏合の衆ですよ。

京都・八坂神社  Photo Copyright par Kyoraque-sensei

ところで「祇園祭」の勧進元である京都・八坂神社では6月30日から始まる夏越の神事の「茅の輪」が、新型肺炎の蔓延もあって、三か月も早く、境内に登場しました。

御覧の通り143年ぶりに夏以外に「茅の輪」が  Photo Copyright par Kyoraque-sensei

 本来の「茅の輪のくぐり」は、新年から半年間にたまった穢れを払い、無事、夏を越せるよう、無病息災を願う神事なのです。

 今回の茅の輪は、八坂神社境内の「疫(えき)神社」と、本殿西側の二か所に設けられ、謂れが書かれた説明を読んで茅の輪をくぐる人が相次ぎ、「これで肺炎に罹らずにすむ」と喋りあう女性の姿が目立ちました。

「これで、肺炎に罹らずに済むわいな…」  Photo Copyright par Kyoraque-sensei

 八坂神社の記録では「夏越の祓え」以外で、「茅の輪」が設けられたのは明治10年(1877年)のコレラの大流行以来143年ぶりだということです。明治10年といえば、西南戦争が起きた年です。

 貴人も、以前、北野天満宮で「夏越の祓え」で茅の輪くぐりをされたことがありましたね。その時は青々とした茅(かや)を使っていた、と思いますが、今回の茅は時季外れでもあり、八坂神社に保管されていた茅を使った、ということで青々としていません。でも、ご利益は不変ということです。

以上

 いやあ、いつもながら、タイムリーなリポート有難う御座います。西南戦争の明治10年以来の茅の輪だなんて、今、凄い時代に生きているんですね。

 実感できました!

再び、消費税ゼロを提言します

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株が世界的に大暴落しています。

 3月12日のニューヨーク・ダウ工業株30種平均は、前日比2352.60ドル(10.0%)安の2万1200.62ドルと、1987年10月の暴落「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」以来の大幅下落をしました。

 それを受けた日本も、13日午前に一時、2016年11月以来3年4カ月ぶりに1万7000円を割り込みました。

 まあ、新型コロナ・ショックというか、パニックですね。

 これから不況になり、個人消費も落ちることから、昨日は、小生は生意気にも「消費税ゼロ」を提言しました。 2019年10月に消費増税する前に、 安倍晋三首相は「(2008年の)リーマン・ショック級の出来事がない限り、10%にする」と啖呵を切ったことを国民は忘れていません。今、まさに、 リーマン・ショック級の出来事、いやそれ以上のことが起きているではありませんか。増税はやめるべきです。

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 「消費税ゼロ」は我ながら、思い切った提言かと思ったら、既に、れいわ新選組の山本太郎代表が今年1月に月刊誌で提言していたんですね。そして、11日には 自民党の有志の若手議員らが経済への影響を最小限に食い止める必要があるとして、消費税ゼロなどを政府に提言しておりました。 自民党がですよ。野党は何をやっているんでしょうかねえ。特に、野党第一党の立憲民主党なんかは、私権を著しく制限する特措法の改定に賛成するんですからね。何考えているでしょうか、枝野代表は。政党の存在価値もなければ意味もありませんよ。

 10年おきに繰り返される株のバブルと大暴落は資本主義社会の宿命ですかね?ここ最近では、1987年10月 のブラックマンデー、1997年10月のアジア通貨危機、2008年10月のリーマン・ショックが記憶に新しいですが、2020年3月は、コロナ・ショックですかぁ…。

 今年は令和2年ですが、元号が新たになって2年目はどういうわけか、何か起きます。平成2年(1990年)はバブル崩壊の開始、昭和2年(1927年)は、昭和恐慌でした。もちろん、偶然でしょうが、我々は今、激動の時代に生きています。

 私もよく存じ上げている愛知県にお住まいの篠田長老は「マスクが売り切れで、買えにゃーからしょうがにゃあだぎゃ」と言って、バスでも電車の中でもマスクせず、堂々と街中を歩いているそうです。

 フランスのテレビを見ていたら、病人でない限り、マスクは必要ないと報道していました。紙か布切れだけで、猛毒のウイルスをシャットアウトできるかどうか甚だ疑問なので、世間の人は気休めで、紙マスクをしているだけなのでしょう。(効果があるのは、医療用のガスマスクのようなマスクだけなのでは?)

 その点、篠田長老の行動は理にかなっているかもしれません。人間、緊急事態でどんな行動を取るのか、その人の個性が現れますね。

 

コロナ不況で消費税をゼロにしたらどうでしょう

 日本のテレビは「新型コロナウイルス」の話ばかりやっていて閉口してしまったので、海外のテレビを見てみました。

 そしたら、海外のテレビニュースも9割方、新型コロナの話ばかりでした。駄目じゃん。さすがに、気落ちしてしまいました。このことをあまりブログに書いても、やたらと不安を煽り立てるだけのような気がして、昨日はブログを書くのはやめにしました。

 でも、今日は書かざるを得ませんね。 世界保健機関(WHO) は日本時間の今日未明に、ついに新型コロナウイルスはパンデミックであることを認めました。WHOが発表する数字は、意図的なのか、能力的なのか、かなり少ないので、米ジョンズ・ホプキンス大学が発表している世界の感染状況の数字を一生懸命に計算して取り上げてみると、3月11日の時点で、12万6093人が感染し、4628人が亡くなっています。このうち、(1)中国の感染者は8万0929人(死者3169人、香港3人)、(2)イタリア1万2462人(827人)、(3)イラン9000人(354人)、(4)韓国7755人(60人)、(5)フランス2284人(48人)、(6)スペイン2272人(55人)、(7)ドイツ1966人(3人)、(8)米国1281人(36人)、(9)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」 696人(7人)、(10)スイス652人(4人)、(11)日本639人(15人)…となっています。(ジョンズ・ホプキンス大のサイトを見ていると、数字は時々刻々と増えています)

伊ミラノ

 今週になって、急に欧米で増えました。特にイタリアでは、1万人以上が感染し、既に827人が亡くなり、中国に次ぐ多さです。イタリアはどうしっちゃったんでしょうか。

 フランスのテレビですが、映像を見ていたら、芸術の都フィレンツェも、水の都ベネツィアのサンマルコ広場も、遺跡の都ローマのコッロセオも、あんなに観光客で溢れていたのに、今は人影もまばらです。飛行機内も空港もパラパラです。航空会社は大赤字でしょうね。

イタリアのコンテ首相は11日に、テレビを通じて、国内の薬局と食料品店以外の全店舗を閉鎖すると発表しました。イタリア人の大好きなオペラや映画も見られず、外食もできないんでしょうか。鎖国ですね。

 3月10日のフランス2の「20時のニュース」では、新型コロナウイルスは、全世界で11万6000人が感染し、約6100人が死亡しましたが、6万4000人が回復。死亡率は1~3%程度だと報じていました。数字は、米ジョンズ・ホプキンス大学の最新データとは違いますが、結構、回復者がいて、80%は軽症と、合理的なフランス人らしく、努めて冷静になるよう強調している感じがしました。

 ですから、隣国のイタリアは異様です。病床が少なく、医者や看護師が足りないようですが、何でこんな急速に拡大したんでしょうか?北イタリアは、中国人観光客や出稼ぎ労働者が多かったという話もありましたが、隣国のドイツの感染者は1966人、死亡者が3人ですから、何か他に理由がありそうです。

 とにかく、このような新型コロナウイルスの拡大による経済的損失は莫大で、まさに「コロナ・ショック」で世界同時株安、原油安、債権暴落という恐慌が押し寄せてきました。

 我が日本国政府は昨日の11日に「緊急対応策」第3弾の着手を発表し、子育て世帯に3万円を給付する案が検討されているとか。そんなんで大丈夫なんでしょうかねえ。「焼け石に水」のような感じがします。

 この分だと、夏の東京オリンピック開催は無理でしょう。夏には終息するという希望的観測がありますが、真夏の南半球のオーストラリアで感染拡大するぐらいですからね。突然変異するウイルスです。代替開催に「立候補」していたロンドンだって感染者がいるんですから無理ですよ。(英国の感染者は459人、死者8人)

 日本にも大不況が襲ってくるのはほぼ確実で、倒産する会社も出てきますし、個人消費は大幅にダウンすることでしょう。こうなったら、1年間の時限立法でいいですから、消費税を半分ではなく、一層のこと、ゼロに戻したらどうでしょうか。

 私のような単なるブロガーが何を言っても始まりませんが、政府与党の皆さんには景気回復のために真剣に検討してもらいたいです。

特措法改正の緊急事態宣言は危ないのではないか?

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 まだ3月で、気が早いですが、今年2020年の流行語大賞は、「東京オリンピック」ではなくて、「新型コロナウイルス」で決まりですね。京都・清水寺の漢字一文字も、感染の「染」辺りじゃないでしょうか(苦笑)。

ということで、最近のニュースは、どこもかしこも、閉口するほと「新型コロナウイルス」の話ばかりです。「濃厚接触」だの「クラスター」だの耳慣れない「新語」もすっかり慣れてしまいました。この言葉は、20年後の未来の人が、意味が分からなかったり、違う意味に取ったりしてくれることを願いたいものです。

 個人的ながら、楽しみにしていた来週の高校の同窓会も結局、延期になってしまいました。「同調圧力」に屈したくなく、ギリギリまで開催を模索していたのですが、周囲の状況が許さなくなってしまいました。一番気になっていたのは、わざわざ遠方から参加してくれる友人たちです。1週間前という直前だったので、キャンセル料が発生するからです。幸い、その中の一人のK君の場合は、新型コロナウイルスによる中止延期の場合、新幹線料金のキャンセル料は免除してくれたそうです。まあ、「自粛要請」は国家的規模ですから、一企業としても配慮せざるを得なかったのでしょう。

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 政府は、海外からの渡航者のうち、中国と韓国からは、入国後、二週間は、日本人なら自宅で、外国人ならホテルなどの施設で謹慎してもらう検疫上の措置を取ることになりました。二週間のホテル滞在費は、「自前」ということにしたそうなので、これでは来日、訪日する中国人、韓国人は激減するはずです。まるで「鎖国」ですね(苦笑)。我々今、歴史的な変革期に生きている感じがします。

 この緊急措置に対して、早速、中国政府は「概ね妥当」だとしましたが、韓国外務省は猛烈な抗議をして同じような対抗措置を取ることを発表しました。でも、これは致し方ないんじゃないでしょうか。自然の猛威というか、ウイルスの猛威ですから、人智の及ばない所があるからです。

 それどころか、安倍政権は、日本国民に対しては、来週14日にも、「緊急事態宣言」を施行する構えです。多くの人は甘く考えているようですが、こんな宣言が出されたら、外出禁止令だの集会禁止令だの大幅な私権が制限されることが予想され、国民を不安に陥れます。安倍首相は、新型コロナウイルスにかこつけて、「閣議決定」だけで何でもやりかねませんからね。

 今のメディアは御用新聞化してチェック機能が疎かになっているので、気が付いた時は「いつか来た道」を歩いているかもしれません。

【後記】

 一部のメディアしか報道していませんが、2012年成立の新型インフルエンザ対策特別措置法が改正されて、緊急事態宣言が施行されると、市民の外出や集会を制限できるほか、所有者の同意を得ずに土地・建物の収用なども可能になるといいます。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030401247&g=pol ☜ 時事通信

大丈夫かなあ?

 

トイレットペーパーよ、お前もか。

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新型コロナウイルス騒動で世間はパニックってますねえ。

昨晩は、友人の川本君から「俺の住む所ではマスクどころか、トイレットペーパーまでも売り切れ。ミネラルウオーターもお米も品薄だよ」とのメールが飛び込んで来ました。

 川本君は東京の高級住宅街の一戸建てに住んでいます。

 「そこだけでしょ?小生の住む所は、そんな下品な人はいませんよ」と皮肉で応えておきました。本当は、私の住むところは、都心から1時間半もかかる田舎の町で、チンピラがいて、マナーの悪い人間が実に多いのが現状です。

 そしたら、「 阿呆なおっちゃんやな!トイレットペーパーの売り切れは、テレビでもドンドンやってるわ。週末はパニック買いになるかもよ。おぬしの住んでる所は、感染者が異様に少なすぎる。しっかり検査しているのか?感染者がいるのになかったことにしてるんじゃないか?とにかく、何も知らないなんて、ジャーナリスト失格やな」とまで罵倒するのでした。

 まあ、彼は大袈裟でせっかちで、性格に問題があるところが多いので、話半分に聞いておりました。

Xスーパーの棚はこの通り

 しかし、「ジャーナリスト失格」とまで罵倒、誹謗、讒謗されれば、黙っていられません。

 今朝、自宅から近いスーパーとドラッグストアに行ってみました。

 そしたら、写真の通り。マスクもトイレットペーパーも売り切れ。「入荷の見込みなし」とは何じゃいな?

 世間には悪党がいて、買い占めて、高額でネットで売りさばいている被疑者もいますからね。奴らは重罪にすべきです。

 こんなことが起きたのは「マスクとトイレットペーパーの原料は同じ」だの「トイレットペーパーは中国産だから、輸入が止まる」といったデマをSNSなどで拡散する輩が横行していることです。そして、そのデマを信じ込んでしまう浅はかな輩もその数百万倍いることです。

 何よりも、「自分や自分の家族だけが助かればいい」という自己中心的な人間が増殖したという証左でしょう。

 実際は、トイレットペーパーの原料は国産や北米産のパルプで、マスクの原料は不織布で全く違うこと。昨年1年間のトイレットペーパーの中国からの輸入は、全体のわずか2.5%に過ぎず、大勢にを影響がないことを知れば、パニックならずに済むはずです。

 1970年代のオイルショックで、トイレットペーパーが店頭から消える事件がありましたが、考えてみれば、半世紀近い昔のことで、実際に知っている人は還暦以上の年代で、今生きている中年の人までほとんどは実際に知らないんですよね。当時もデマからパニックになりましたが、「人間は歴史から何も学習しない」ということがよく分かります。

ドラッグストアもこの通り。他人のことなど知ったことか!

 そう言えば、昨日は突然、安倍首相が3月2日(月)から全国の小中高校を休校せよ、という要請をしましたが、今朝の新聞を読むと、安倍首相がほぼ独断で決定したようですね。自民党の岸田政調会長まで「社会全体で突然のことで、唐突感は否めない」と苦言を呈していました。勿論、与党の公明党にも全く相談がなかったようです。

 面白いことに、と言ってはいけないでしょうが、気骨がある自治体もあり、安倍首相によるこの突然の要請に反旗を翻し、異議を唱えているのです。偉いので具体名を挙げますが、群馬、栃木、兵庫、岡山、島根、沖縄の各県です。政府の要請にもかかわらず、各教育委員会は、「休校しない」判断をしました。

 新型コロナウイルスといっても、80%は軽症だといいます。回復する患者も多いのです。むしろ、毎年、3000人以上の死者が出るインフルエンザの方が怖いはずです。「今日も〇〇県で新型コロナウイルスの感染者が出ました」とニュースになっても、「今日も△△県でインフルエンザの死者が出ました」とはニュースにしません。

 メディアの報道姿勢も疑うべきです。