「桜」前夜祭で安倍氏側が800万円超補填したのでは、というスクープはなぜ読売だったのか?

 何で今さら? とは思いましたが、安倍晋三首相(当時)が主催した「桜を見る会」のホテルでの前夜祭を巡り、安倍氏側が参加した後援会の人たちの会費だけでは足りない金額を補填していた可能性がホテル側の領収書から浮上し、24日の朝刊各紙が一斉に一面で報じました。「全国紙」で一面で報道しなかったのは、産経新聞ぐらいです。産経は二社面扱いでしたが、その理由は、何となく分かります。

 でも、分からなかったのは、2019年までの5年間に、安倍事務所側が差額を補填した金額は、「計800万円超だった」とはっきりと具体的な金額を書いて「安倍氏側が5年間で800万円超を補填か…『桜』前夜祭、ホテル側が差額受領の領収書」と、一面トップではなく一面左方三段で見出しを取って報道したのが、読売新聞だったことです。えっ? 読売が!?です。安倍政権時代、首相自身が「私が言いたいことは読売新聞に書いてあります。読売をお読みください」といったような趣旨で喧伝したことから、「政府広報紙」とも「官報」とも揶揄されたあの読売新聞が、です。

 政権中枢から降りて、「ただの国会議員」なった安倍氏なので、今回は弓を引きやすかったからなのでしょうか?

 でも、何となくですが、この事件が政治資金規正法違反などで立件されたり、安倍前首相自身が起訴されたりすることはないんじゃないでしょうか。安倍氏は「知らぬ、存ぜぬ。秘書が知らない間にやった」などと主張し続けるでしょうから、せめて、首相公設第一秘書どまりではないでしょうか。-なぞと、あまり推測の域で語ってばかりいては駄目でしょうけど、ただ、今回の報道の仕方が何となく気になるんですよね。

 なぜ、読売がスクープしたのか?です。

 それに、「桜を見る会」などもう誰もが忘れかけていたのに、何で今頃になって、こんな話が出てきたのか、ということです。

 「既に安倍氏側は当局との司法取引ができている」と穿った見方をする人もいますが、まさか、そこまでは行ってないでしょう。

 東京地検が安倍政権時代から潜伏して地道に捜査してして、今になってやっと公表できる段階になった、という理由も信じられないことはないのですが、黒川弘務・東京高検検事長の例の賭けマージャン事件以来、国民の検察に対する信頼は根底から失っていますからね。

 いずれにせよ、今回の読売のスクープは、隔靴掻痒なのです。裏で、何かや誰かがいるのか、「陰謀論」めいた話は私自身はそれほど信じていないので、案外の裏のない淡々とした話なのかもしれません。

 裏のない話だとしたたら、そして補填したことが事実なら、収支を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法に違反することになりますから、前首相とはいえ、検察は、有耶無耶にしてほしくないですね。

 でも、どうなることやら。

明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 新型コロナウイルスの影響で、さらに自粛ムードが広がり、世間では3連休だというのに身動きできない状況です。

 新型コロナウイルスに緊急対応した医師や看護師に対して、「バイ菌」扱いしたり、いじめをしたりする事案が各地で頻発しているらしく、日ごろ、「日本民族は礼儀正しく優秀だ」「日本人は素晴らしい」と歓呼している人も、知らないふりをして声を潜めています。

 さりはさりとて、今から44年前の1976年2月に起きたロッキード事件関係の本を読んでいたら、ロッキード社から秘密工作費21億円を受け取ったとして脱税などで起訴された児玉誉士夫氏の東京都世田谷区の住所が番地まで出ていました。

 たまたまその近くの豪邸にお住まいの深沢令夫人と面識があるので、「散歩のついでに、旧児玉邸が現在どうなっているか調べてください」と探訪要請したところ、快く引き受けてくださいました。

 令夫人のことですから、「写真を撮影するのは憚れました」ということで、残念ながら、現場写真はありませんが、どうやら、現在は高級マンションになっているとのことでした。確か、ロッキード事件発覚後の翌月に、児玉邸にセスナ機が自爆特攻した事件があり、2階の1部が損傷しただけだったので、大豪邸だったのでしょう。やはり、跡の敷地に高級マンションが建つほど広大な敷地だったんですね。

 そんな話を大分にお住まいの物知りの三浦先生に話したところ、「児玉さんの御子息は、何をされたかご存知ですか? 赤坂方面の放送局の重役まで務められましたよ。それより、あの石原莞爾の孫はその放送局の会長までやってますよ。作家の息子とはレベルが違います。世の中の人は何も知らないでしょうけどね」と仰るではありませんか。

 あらま。私も「世の中の人」ですから、何も知りませんでした。調べてみたら、フィクサー児玉誉士夫氏の御子息である児玉守弘氏は、TBSの常務取締役や関連会社の役員を務めた後、日音の相談役になったとか。満州事変を画策した石原莞爾の孫の石原俊爾(としちか)氏はTBSの社長~会長を歴任されてますね。

作家の息子とは、昨年、フジテレビの社長に就任した遠藤周作の御子息遠藤龍之介氏のことでしょうかねえ?

 最後に今日はこれだけは書いておきたい。「桜を見る会」事件のことです。

 報道に接する限り、桜を見る会の招待者は、特別な功績や功労がなくても、安倍首相の後援会の関係者ならフリーパスで、内閣府もチェックせずにそのまま通っていたことが明らかになりました。これでは、国民の税金を首相が「私物化」したことになります。花見会も高級ホテルでの前夜祭も、やりたければ個人のポケットマネーでやれば、納税者から誰も文句は出ないはずです。

 自分の選挙民を優遇すれば、「偉い先生」として、国会議員に当選するのは当たり前です。しかも、脱法的な手段で国民の代表として居座るなら言語道断で、民主主義の危機です。

  明日ありと思う心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

 これは、浄土真宗の開祖親鸞が9歳のときに出家する際に読んだ歌とされます。

 飛躍して読めば、今の「桜を見る会」の騒動に一石投げかけるようにも読めます。

 恐らく、時の最高権力者はこの歌のことはご存知のことでしょうが、「驕れる者久しからず」ことを肝に銘じてもらいたいものです。

小説「続・桜を見るかい?」

 あたしは読売新聞の愛読者なので、何でこれほど「桜を見る会」が騒がれているのかさっぱり分からないの。

 花子なんか、「安倍さんは公私混同、税金泥棒よ」なんて、言うじゃありませんか。花子が問題だと言ってることはー。

①「桜を見る会」の前夜祭の夕食会が5000円だというのは、安すぎる。東京新聞が会場のホテルニューオータニに取材したところ、最低1万1000円。差額の6000円をホテル側が負担したとしたら、利益供与か寄付行為に当たり公職選挙法違反の疑い。安倍事務所が負担したとしたら、有権者への寄付を禁じた公職選挙法違反の疑い。どっちにしてもアウト。

朝日新聞が報道しているように、共産党の宮本徹衆院議員が、桜を見る会の招待者数や支出額などの資料要求をした5月9日に、内閣府が招待者名簿を大型シュレッダーで廃棄してしまった。これは、明らかに証拠隠滅。疚しいから、真実を追及されることを逃れるためでしょ。

毎日新聞によると、 森友学園問題が頂点に達していた2017年3月に「首相夫人は私人である」と閣議決定までしていたあの昭恵さんが「桜を見る会」に参加できる推薦枠を持っていたこと。「私人」が税金で運営される公的行事の推薦枠を持っているなんて、公私混同なんじゃない?

 いくら安倍首相が「法に抵触するようなことは一切やっていません」と弁解しても、よしんば仮に法律違反していなくても、花子は「李下に冠を正さず。公職に就く者としての道義的責任もあるのよ」と言うのです。もう4年前の話で皆忘れているけど、小渕優子さんだって支援者の観劇会の補填をしたことがバレて、経済産業大臣を辞めたんだから、「桜を見る会」に山口県の地元支援者と次期改選の自民党議員を集めた主催者の安倍さんだって、総理大臣を辞めるのに十分に価するのよ、というのです。

そんなに支援者に恩返ししたかったら、国民の税金を使った公的催事を利用するんじゃなくて、自分のポケットマネーで花見会を開催して、収支報告書もしっかり提出するだけの話じゃないの、とまで言うのです。

 花子はそんなこと言っても、あたしは解せないなあ。そんなもん、誰だってやることでしょ。あの「暗黒時代」の民主党政権でも桜を見る会をやったんでしょ?

 あたしだって「板場稼ぎ」とか、謂れのない罪を押し付けられて高級官僚の地位を棒に振ったぐらいだから、安倍さんの気持ちはよく分かるなあ。

 花子に言われるまま、比較的早く報道された今年5月14日付の東京新聞を初めて見たけど、桜を見る会の費用って、たったの5200万円でしょ。そんな端金で、何でこんな大騒ぎするんでしょ?こんなの税金泥棒のうちに入らないでしょう。写真で見ると安倍首相夫妻の隣りには、石坂浩二、デヴィ夫人、由紀さおり、市川猿之助、子役の寺田心、バイきんぐの小峠英二ら芸能人が参集して会を盛り上げているじゃないですか。彼らは、世の中を明るくする「功労者」そのものよ。

大騒ぎしている日本の国民って浅はかねえ。第一、いくら騒いだって、検察が起訴するわけないじゃないの。あたしが言いたいのはそれだけ。