小説「続・桜を見るかい?」

 あたしは読売新聞の愛読者なので、何でこれほど「桜を見る会」が騒がれているのかさっぱり分からないの。

 花子なんか、「安倍さんは公私混同、税金泥棒よ」なんて、言うじゃありませんか。花子が問題だと言ってることはー。

①「桜を見る会」の前夜祭の夕食会が5000円だというのは、安すぎる。東京新聞が会場のホテルニューオータニに取材したところ、最低1万1000円。差額の6000円をホテル側が負担したとしたら、利益供与か寄付行為に当たり公職選挙法違反の疑い。安倍事務所が負担したとしたら、有権者への寄付を禁じた公職選挙法違反の疑い。どっちにしてもアウト。

朝日新聞が報道しているように、共産党の宮本徹衆院議員が、桜を見る会の招待者数や支出額などの資料要求をした5月9日に、内閣府が招待者名簿を大型シュレッダーで廃棄してしまった。これは、明らかに証拠隠滅。疚しいから、真実を追及されることを逃れるためでしょ。

毎日新聞によると、 森友学園問題が頂点に達していた2017年3月に「首相夫人は私人である」と閣議決定までしていたあの昭恵さんが「桜を見る会」に参加できる推薦枠を持っていたこと。「私人」が税金で運営される公的行事の推薦枠を持っているなんて、公私混同なんじゃない?

 いくら安倍首相が「法に抵触するようなことは一切やっていません」と弁解しても、よしんば仮に法律違反していなくても、花子は「李下に冠を正さず。公職に就く者としての道義的責任もあるのよ」と言うのです。もう4年前の話で皆忘れているけど、小渕優子さんだって支援者の観劇会の補填をしたことがバレて、経済産業大臣を辞めたんだから、「桜を見る会」に山口県の地元支援者と次期改選の自民党議員を集めた主催者の安倍さんだって、総理大臣を辞めるのに十分に価するのよ、というのです。

そんなに支援者に恩返ししたかったら、国民の税金を使った公的催事を利用するんじゃなくて、自分のポケットマネーで花見会を開催して、収支報告書もしっかり提出するだけの話じゃないの、とまで言うのです。

 花子はそんなこと言っても、あたしは解せないなあ。そんなもん、誰だってやることでしょ。あの「暗黒時代」の民主党政権でも桜を見る会をやったんでしょ?

 あたしだって「板場稼ぎ」とか、謂れのない罪を押し付けられて高級官僚の地位を棒に振ったぐらいだから、安倍さんの気持ちはよく分かるなあ。

 花子に言われるまま、比較的早く報道された今年5月14日付の東京新聞を初めて見たけど、桜を見る会の費用って、たったの5200万円でしょ。そんな端金で、何でこんな大騒ぎするんでしょ?こんなの税金泥棒のうちに入らないでしょう。写真で見ると安倍首相夫妻の隣りには、石坂浩二、デヴィ夫人、由紀さおり、市川猿之助、子役の寺田心、バイきんぐの小峠英二ら芸能人が参集して会を盛り上げているじゃないですか。彼らは、世の中を明るくする「功労者」そのものよ。

大騒ぎしている日本の国民って浅はかねえ。第一、いくら騒いだって、検察が起訴するわけないじゃないの。あたしが言いたいのはそれだけ。

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