クラウドファンディングで9億円超=国立科学博物館

 むふふふ、ご覧の写真の通り、国立科学博物館からクラウドファンディングの御礼書と入場券が送られてきました。

 同博物館所蔵の500万点のコレクションの保存・維持等に掛かる経費が不足していて、「このままでは危ない」という記事を読み、僅少ながら、私も寄付したのでした。

 クラウドファンディングは今年8月7日から11月5日まで行われ、「1億円」が目標だったのに、最終的には5万6584人から9億1602万5000円の寄付金が集まったといいます。

 こりゃ凄い。

 私もバリバリの文系人間から理系人間に転向したので、嬉しい限りです(笑)。自宅に届いた封書の送り人は、国立科学博物館の篠田謙一館長の名前になっており、「どっかで聞いたことあるお名前だなあ」と思ったら、思い出しました。昨年12月にこのブログでも何度か取り上げさせて頂いた「人類の起源」(中公新書)の著者でした! あの本はベストセラーになったので、皆さんもご存知だと思います。700万年前にヒトがチンパンジーから枝分かれし、20万年前に現生人類であるホモ・サピエンスが誕生する物語を素人でも分かりやすく書かれていました。未読の方は是非お勧めです。現生人類と旧人のネアンデルタール人が交雑していたという意外な真実まで書かれていました。

 この本がきっかけではありませんが、古人類学と呼ばれる関連書は、ジェレミー・デシルヴァ著、赤根洋子訳「直立二足歩行の人類史  人間を生き残らせた出来の悪い足」(文藝春秋)を始め、結構読んできました。その後は、進化論や宇宙論、それに量子論(量子力学、量子化学、量子生物学)、さらに踏み込んで行動遺伝学まで関心が広がってしまい、個人的には、理科人間に転向したつもりになってしまいました。

新富町

 もうぐちゃぐちゃした人間関係が嫌になったからでした。偉人だろうが、傑人だろうが、有名人だろうが、もう人間はいいです。もう、よおく分かりました。十分です。領土的野心で無辜の市民を殺戮することを厭わない人間が地球上に一人でもいる限り、とても人間に共感も興味も持てません。だから、人間を扱う、と言いますか、人間なしでは成り立たない歴史も宗教も経済も心理学も一応一区切りにしたいと思っています。人間とは何か?というより、生物とは何か? 生命とは何か? 宇宙とは何かといった自然科学に目を向けたいと存じます。

 偉そうですねえ(笑)。本日は12月27日。早くも2023年の暮れも押し詰まってきました。この1年を振り返ってみると、このブログで取り上げさせて頂いた本も、文系より、量子論や星座や宇宙論など理系が増えたのではないかと思います。

 しかし、根本は変わりません。フランスの後期印象派の画家ゴーギャンの描いた「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」の題名にちなんで、それらを解明することです。これは、以前にも書きましたが、「我々はどこから来たのか」は古人類学で分かってしまいました。ヒトとは、神が創造したのではなく、生物の霊長類で700万年前にチンパンジーから枝分かれした類人猿でした。「我々はどこへ行くのか」も絶望的ながら分かってしまいました。地球が滅亡する前に絶滅し、人間の功績も偉業も名前も無に帰するということが最新の宇宙論が教えてくれます。最後の「 我々は何者か 」も量子生物学で解明できます。タンパク質、アミノ酸で出来ているという前に、炭素、水素、酸素、窒素、リン、硫黄の六つの元素で出来ており、それらはさらに、原子核と陽子と中性子と電子で出来ていることになります。

 でも、それでは、あまりにもつまらないので、人間は霊魂を信じたり、神を創造したり、物語をつくったり、いもしないヒーローに憧れたりするのです。そして、奇跡や偶然が起きたりすると大喜びして、欣喜雀躍するのです。

 ありゃまた身もふたもない話をしてしまいましたが、あくまでも真理は追究していきたいと思っています。宇宙から「そんもんはない」と諭されても、人間として生きる意味や意義を考えていきたいと思っています。皆さんも伴走者として、もう少しお付き合いください。

「ここは何処?」「私は誰?」がこの本で解明される=篠田謙一著「人類の起源」

 今年は、ジェレミー・デシルヴァ著、赤根洋子訳「直立二足歩行の人類史  人間を生き残らせた出来の悪い足」(文藝春秋)、エマニュエル・トッド著、 堀茂樹訳「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」上下巻(文藝春秋)と興味深い人類学史に触れることが出来、学生時代に読み損ね、まだ未読のレヴィ=ストロースの名著「悲しき熱帯」上下巻(中公クラシックス)を含めて、わずか5000年程度の人間の文明の歴史よりも、1000万年近い原初の人類の歴史から解き明かしてくれる文化人類学、古代人類学への関心が大いに高まりました。

 今、やっと読み始めることが出来た篠田謙一著「人類の起源」(中公新書、2022年10月30日第5販)は、私にとって今年の掉尾を飾る「大トリ」みたいな本で、久しぶりにワクワクしながら読んでおります。著者は国立科学博物館の館長を務め、私と同じ世代の人なので、ということは、中学、高校ぐらいまではほぼ同じ共通の教育を受けてきたので、読んでいて同感、実感することが数多あり、実に分かりやすく、面白いのです。

 我々の世代は、人類学と言えば、教科書では「猿人―原人―旧人ー新人」の進化過程を辿り、最も古い「類人猿」としてアウストラロピテクスが発見された、といった程度しか中学、高校では習いませんでした。そんな「定説」が次々と引っ繰り返され(塗り替えられ)て、「新発見」が続出するようになったのは、意外にも21世紀になってからだったのです。ということは、比較的新しい学問、と言ってしまえば、語弊がありますが、いきなり最先端の学問になったのです。道理で、この本に書かれていることは、専門家以外誰も知らないことばかりでした。

 著者によると、そんな化石人類学の飛躍的発展には、2006年から実用化されるようになった次世代シークエンサー(化石人類のサンプルの全てのDNAを高速で解読)の存在が大きいといいます。しかし、著者は「科学は間違うものだ」という認識が必要だ、とも言います。何故なら、これまでの、科学の発展は、たゆまぬ努力による間違いと訂正の歴史だったからだと説明します。

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 それでも、現在の「最先端の科学」が解明した人類の起源は以下のようになっています。(「約」と「?」は省略します)

・700万年前=チンパンジーとヒトが分岐する。サヘラントロプス・チャデンシス(2001年、北アフリカのチャドで発見)

・600万年前=オロリン・トゥゲネンシス(2000年、ケニアで発見)

・580万年前~520万年前==アルディピテクス・カダッバ(エチオピア)

・440万年前=アルディピテクス・ラミダス(エチオピア)

 ※サヘラントロプス属とオロリン属とアルディピテクス属の3属を「初期猿人」と呼ぶ

・420万年前~200万年前=アウストラロピテクス属(勿論、1974年に発見された有名なルーシーも含みます)

・260万年前~130万年前=パラントロプス属 ※ここまでが猿人

・200万年前ホモ属誕生。初期のホモ属(ハビリスとルドルフエンシス)※猿人と原人の中間

・200万年前~30万年前=原人(ホモ・エレクトス=最初の出アフリカ、北京、ジャワなど。ホモ・フロレシエンス=インドネシアフローレス島。ホモ・ナレディ=南ア)

・60万年前~30万年前=旧人(ホモ・ハイデルベルゲンシス)

・30万年前~4万年前=旧人(ネアンデルタール人)※60万年前に、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスが分岐。その後、両属は混合した形跡も。

・20万年前~現在=新人(ホモ・サピエンス)登場

・6万年前=ホモ・サピエンスが本格的に出アフリカ、世界展開

・1万年前=農耕開始

・5000年前=現生人類の文明開始

 ※取り敢えず、ここまで。つづきが楽しみです。