現生人類は旧人と交雑していたとは知らなかった=篠田謙一著「人類の起源」

 ウクライナ戦争を仕掛けたロシアのプーチン大統領が着ているダウンジャケットは、イタリアの高級ブランド「ロロ・ピアーナ」で約160万円もする、と聞いて驚愕しました。

 もっとも、お笑いの爆笑問題の太田光さんは、1把100万円もする線香(確かに、伽羅を使用した最上級の日本香堂の線香「富嶽」が楽天市場で110万円で売りに出されています!)をポンと買われるぐらいですから、有名人と庶民とは金銭感覚が違うということなんでしょう。

 何で、こんなにお金の金額のことを一々書くのかと言いますと、これを読んだ50年後、100年後の読者の皆さんに参考になるかと思ったからです。でも、このブログが50年後に残っているとは思えませんけど…(苦笑)。

 さて、相変わらず、篠田謙一著「人類の起源」(中公新書)を読んでおります。学術書であり、私も、もう若くはないので、そんなにスラスラとは読めません。正直、1ページごとに知らない「単語」が沢山出て来るので覚えきれないのです。 

 2022年12月19日付渓流斎ブログ「『ここは何処?』『私は誰?』がこの本で解明される=篠田謙一著『人類の起源』」でも取り上げましたが、21世紀になって、化石の骨(ホミニン)から全てのDNAを高速で解読できるようになり、化石人類学が急速に発展して、今では人類の進化の過程が飛躍的に分かるようになったのです。

 前回の繰り返しになりますが、700万年前に現生人類につながるヒトはチンパンジーから分岐し、この本では、人類の最も古い祖先は、サヘラントロプス・チャデンシスという初期猿人だと書かれています。これからオロリン、アルディピテクス、アウストラロピテクスなどさまざまな人種の属に進化していきます。昔、私も習った猿人―原人ー旧人ー新人のパターンです。

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 猿人から、話は一気に旧人に飛びますが、その旧人のネアンデルタール人は滅亡し、今はホモ・サピエンスという、たった1種類の現生人類だけが生き残っています。が、2010年には新たにデニソワ人という旧人も発見され、学界で認知されました。2010年なんて、私から言わせてもらえば、昨日のようなつい最近のことです。化石人類学の飛躍的進歩がこの例でも分かります。

 そして、私の拙い知識では、旧人と新人は別個のものだと思っていたのですが、何と、30万~20万年前に誕生したホモ・サピエンスは、このネアンデルタール人ともデニソワ人とも交雑していたというのです。(ただし、本書には、はっきりと書いてはいませんが、ホモ・サピエンスは、北京原人〔70万~40万年前〕やジャワ原人〔160万~25万年前〕など原人=ホモ・エレクトスとは交雑していないようです。)ですから、DNA解析すると、ホモ・サピエンスにはネアンデルタール人の遺伝子が数%残っており、このネアンデルタール人の遺伝子が、コロナウイルスの重症化につながっている、という説もあります(勿論、ネアンデルタール人と交雑しなかったホモ・サピエンスもいます)。iPS細胞の山中伸弥博士は、新型コロナに関して、アジア人と比べて、欧米人の方が重症化しやすいのは何故なのか、その原因はいまだ解明されていないので、「ファクターX」と命名していましたが、もしかしたら、このファクターXは、ネアンデルタール人の遺伝子と関係があるかもしれません。

 4万年ほど前と言われていますが、ネアンデルタール人が何故、絶滅したのか理由は分かっていませんが、子孫を残せなかったという事実から、氷河期の食糧難だけなく、感染症などの病気も一因かもしれません。

 ところで、南仏ラスコー洞窟の壁画で有名なクロマニヨン人も、私なんか旧人だと間違って覚えていたのですが、1万8000~1万1000年前のマドレーヌ文化を担ったホモ・サピエンス=新人の一員なんだそうです。その程度の知識しかない私のような人間がこの本を読めば、付箋と赤線だらけになります。読むのに時間が掛かるはずです(笑)。

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