人間の悩みの90%は、人間関係だと言われています。親と子、先生と生徒、上司と部下、男女のもつれ、夫婦関係、友人関係、親戚関係、嫁姑…、昨今、通り魔事件も多いですから赤の他人との関係も悩みの種ですね。
私も人間ですから、嫌になる日が多々あります。思うに、毎日、政治や経済や社会など人間の問題のことばかりについて考えているからなのでしょう。他人は、正義心と自己主張の固まりですから梃子でも動きません。どうにもならないことで悩んでいるわけです。
そんな時は、宇宙のことを考えます。今から、138億年前に突然「ビッグバン」が起きて、何もなかった所に、急に時間と空間と重力とエネルギーが生まれて宇宙が出現した、なぞという話を聞かされても、俄かに信じがたいのですが、眩暈で気絶したくなるほどです。
地球が誕生したのは46億年前で、宇宙の歴史を1年のカレンダーにすると、8月30日に当たるそうです。(ビッグバンを1月1日とする)
生命(タンパク質や核酸の生成)の誕生が40億年前(9月15日)。
少し飛ばして、恐竜の誕生が3億年前(12月23日)
その恐竜の絶滅が6500万年前。(12月29日)
やっと、我々の御先祖さまとつながる新人類ホモ・サピエンスが誕生するのが20万年前。(12月31日午後11時37分)
農耕牧畜の始まりが1万年前(12月31日午後11時58分)
となると、宇宙から見れば、人間の歴史などたかだか一瞬に過ぎないんですね。それに比べて恐竜さんは、実際、地球上で2億年近くも繁栄していたのですから、大したものです。
「誰それがどうした」「誰それがあれした」などと、人間に拘っているから、毎日、鬱屈してしまうんですね。
私はあまりテレビは見ませんが、NHKの「ブラタモリ」はよく見ます。この番組では、その土地の地殻変動や噴火した溶岩や堆積岩など地学、地質学の話がよく出てきます。それが10万年前の話だったり、100万年前の話だったりすることはザラで、中には人類が誕生するはるか大昔の何億年も前の話だったりするのです。
人間が出て来ず、主人公でもなかったりするのです。番組進行のタモリさんは、学者並みに、異様に地質や地学に詳しいのですが、珍しい岩石に出合ったりすると、人に会った以上に感動したり興奮したりするのです。
御本人に会ったことがないので断定できませんが、この方は、どうも人間関係はサバサバしていて、恐らく人間関係で悩んだことがない性格に見受けられます。まず、深い意味で、人類自体に興味を持っていない。結晶片岩や蛇紋岩の方がはるかに興味があると思われます。
となると、人類の歴史の1万年のスパンというより、何千万年、何億年のスパンで物事を洞察しているんじゃないのかと思ったわけです。
勿論、タモリさんにも悩み事はあるでしょうが、あまり人間だけに捉われていない。彼の目先に拘らない、長い年月のスパンでの物の見方も、見習いたいものだと思いました。