ケインズ「雇用・利子および貨幣の一般理論」をついに読破=漫画ですが…

WGT National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

1929年の大恐慌や、ナチスの台頭につながる第1次大戦後のドイツの賠償問題などを勉強していると、どうしても外せないのが、ジョン・メイナード・ケインズの経済理論です。

 いつぞやの話、国際金融アナリストの元山氏に、ケインズの代表作「一般理論」は難しい?と聞いたところ、彼は「君には無理だね。アインシュタインの『一般相対性理論』と同じぐらい難しいんじゃないかい」と断定するので、さすがに、心の中で「ムッ」としましたが、彼の忠告には従っておりました。

 あれから半年。彼から「君にふさわしい本があったから貸してあげるよ」と貸してくれたのが、漫画でした。

 ケインズの原作を漫画化した「雇用・利子および貨幣の一般理論」(イースト・プレス)でした。

 私は、漫画は中学生の頃までは熱中しましたが、それ以降はご無沙汰です。「えっ?漫画かい?」と思いましたが、これがなかなかよく出来ていて、原作を読む前の「取っ掛かり」というか、予備知識になることは確かでした。

 私自身、経済を専門的に学んだわけではなく、大学の教養課程の単位として「経済原論」を取った程度の知識しかありませんが、この原作の漫画化の中には、「有効需要」だの「限界消費性向」「流動性選好理論」だの、昔学んだ懐かしい用語がたくさん出てきて、易しく解説してくれます。ばかにできませんね(苦笑)。大変失礼致しました。

例えば、「債券の利率が購入時より下がれば、実質価格は上がり(この時この債権を売れば得)、逆に、利率が上がれば、債券の価値が下がる」といったややこしい文章も、数式と漫画で描いてくれるので、すっと頭に入りやすい。

 また、私なんかよく間違える「ブル(牛)とベア(熊)」理論も、漫画に出てくるということは、ケインズの「一般理論」の中に出てくる話だったんですね。牛と熊を闘わせたら、熊の方が強いから、ベアが強気、ブルが弱気と私なんか勘違いしてしまうのですが、ブル(牛)は下から上に攻撃することから、債券価格が上昇するということで「強気」。ベア(熊)は、上から下に攻撃することから、債券価格が下落するということで「弱気」と命名されたことが漫画で描かれ、この箇所を読んで分かり、これからは間違えることはないだろうな、と思った次第です(笑)。

 確かに、最初から無謀にも原作に挑戦して、途中で白旗をあげるよりも、無理をしないで漫画から入ったことは大成功でした。漫画とはいっても、内容は難しいことは難しいですからね。この漫画を貸してくれた元山氏には感謝申し上げます。

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