WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua
2月3日の時点で、新型コロナウイルスによる肺炎の死者が、中国で361人となり、2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)による中国の死者349人を上回った、などと報道されています。ついにそこまで来ましたか。しかし、17年前と比べて中国の世界的影響、つまり経済的影響は比べものにならないくらい大きいのです。
日本経済新聞は、1月29日付の夕刊で、米調査会社データトレック・リサーチの資料を引用して、2003年の中国のGDPは1.7兆ドル(約185.3兆円)で世界の4.4%を占めるに過ぎなかったのが、19年は14.3兆ドルと占有率は世界の16.3%に拡大。中国発の感染症が世界経済に与える影響は、SARS当時とは比較にならない、と分析しているのです。
日本も影響を受けるのは必至です。内閣府によると、世界のGDPに占める日本の割合は、1980年に9.8%だったものが、バブル期を経た1995年には17.6%まで高まったものの、2010年には8.5%に急降下。このまま推移すると、2020年には5.3%、2040年には3.8%、2060年には3.2%まで低下するといいます。
政府は、新型コロナウイルスを「指定感染症」とする政令を2月1日から施行して、湖北省に過去2週間以内に滞在歴のある外国人の日本への入国を拒否するなど入国管理の強化策を打ち出しました。
ということで、私もジャーナリストの端くれですから、「私の庭」である東京・銀座が今どうなっているのか、歩いて確かめてみました。
銀座8丁目のガード下は、中国人の団体旅行客のバスが軒を連ねている場所ですが、1台もありませんでした。中国当局による海外への団体旅行禁止令が効いていると思われます。
銀座5丁目は、中国企業が買収した家電量販店の「ラオックス」があるせいか、中国人観光客の「溜まり場」になっていて、足の踏み場もないほど、人、人、人で溢れていましたが、今は御覧の通り、ほとんどいません。月曜日の昼休みの午後1時ぐらいの時刻ですが。
韓国人観光客は、徴用工等の問題で、既に昨年からめっきり減り、銀座で韓国語を聴くのが少なくなりましたが、これほど中国人観光客までもが減るなんて想像もつきませんでした。元に戻ったとはいえ、中国人観光客がいないと、銀座はこんな空いていたんですね。
でも、中国は、団体客は禁止されましたが、個人ツアー客までは禁止されていないようで、カップルや家族連れは結構見かけました。
とはいえ、中国人客をアテにしているデパートや商店は さぞかし、大困りのことでしょう。
私も銀座にある衣料量販店に行ってわざわざ買い物までして取材したところ、店員さんは「はい、ここ2週間ぐらいから中国の方は減りました。売り上げ?…いやあ、もちろん、減りましたよ」と正直に応えてくれました。
エコノミストの予想では、新型コロナウイルスの影響で、日本のGDPも0.5%以上減速するということですから、やはり、日本は、いや日本だけじゃありませんが、中国におんぶに抱っこだったことが分かります。
新型ウイルスに効くワクチンが早く開発されて、一刻も早い終息を待つしかないのでしょうか。デマ情報には振り回されず、加油(がんばれ!)