今日は日曜日なのにほとんど外出せず、自宅で自粛しておりました。
午前中に家のお掃除とトイレ風呂掃除をやったぐらいでしょうか。気分的に爽快とまではなかなかいきません。午後は疲れて、久しぶりに昼寝しました。
こうして毎日が無為に過ぎていきます。
新型コロナウイルスの世界的な蔓延は相変わらずです。そんな中、今、アルフレッド・クロスビー著「史上最悪のインフルエンザー忘れられたパンデミック」(みすず書房、2009年1月8日)が再注目されているようです。
第一次大戦末期の1918〜19年に世界的に大流行した「スペイン風邪」のことを扱った本で、小生は未読ですが、結局、人類は100年前の世界的インフルエンザの蔓延を忘れ、歴史的教訓を何を学ばなかった、という内容のようです。
確かに、現代人でスペイン風邪のことを知っている人は多くはないでしょう。小生はこのブログで取り上げたことがありますが、このインフルエンザの死亡者は2500万人とも1億人とも言われ、日本人の死者も36万人とも45万人とも言われています。犠牲者の中には、フランスの詩人アポリネールやオーストリアの画家クリムト、それに日本では劇作家の島村抱月や、東京駅舎などを設計した著名な建築家辰野金吾らが含まれていたことを書きました。
このインフルエンザは、スペイン風邪と言われましたが、感染源は米国でした。最初に発生したのがデトロイトともシカゴとも言われ色んな説があります。第1次世界大戦に参戦した米国人兵士が欧州にもたらしたといいます。世界各国が感染の実態を隠す中、スペインが率先して情報公開したため、そう命名されたと言われています。欧州から帰国した米兵が再び米国内で感染の輪を広げたといいます。第2波ですね。
トランプ米大統領は、今回の新型コロナウイルスのことを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」と呼ぶべだと主張しましたが、正論ではあります。ただし、その前に100年前の「スペイン風邪」のことを「アメリカ風邪」と修正しなければならなくなりますね。
どういうわけか、当時を代表する人気作家だったヘミングウェイもフィッツジェラルドも「スペイン風邪」のことを書いていないそうです。特に、ヘミングウェイは、この疫病で恋人をなくしたというのにです。不思議というか、不可解ですね。
アメリカ風邪なのに、スペイン風邪としたのは、アングロサクソンや米国が日頃からスペイン人を貶めるために画策したからという陰謀説があります。米国人がインディアンを虐殺したことよりも、スペイン人がインカ帝国、アステカ帝国を征服して地元民を大量虐殺した方が酷いといった類の主張です。英米人よりスペイン人の方が残酷かどうか分かりませんが、私は、とにかく、このような陰謀説には与しません。
でも、今は100年ぶりにパンデミックが襲ってきたことは事実です。
最近、米FRBは、1918年のスペイン風邪について、論文を発表しています。それによると、この影響により、全米で製造業の生産活動が18%押し下げたものの、収束後の19年は、都市によって経済復旧度合いが違ったといいます。流行より10日早く衛生介入(学校や教会などの閉鎖)の策を講じた都市では、収束後に雇用者数が5%増加。平均より50日間長く策を続けた都市は6.5%増といずれも急回復。製造業生産も5~7%増加したといいます。(日経新聞より)
これに対して、「銃・病原菌・鉄」などで知られる人類生態学者ジャレド・ダイアモンドUCLA教授は、読売新聞(10日付)のインタビューに「私の住むロサンゼルス市は3月初めに非常事態宣言し、学校、飲食店の閉鎖、外出自粛要請などの対策を講じました。それでも感染が広がっています」と応えています。
うーん、実に悩ましい話です。「封鎖」は即効薬ではないかもしれませんが、結果的には有効策だと信じるしかないようです。そして、100年前の「スペイン風邪」の教訓を学び直すべきです。