新型コロナの真相が分からないのに煽動している人たち

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言は、1カ月ほど延長されるようです。仕方ないですね。経済活動より人の命の方が大切ですから。

 でも、「コロナ以前」と「コロナ以後」では、世界は激変することでしょうね。一番激変するのは雇用形態です。大手企業の大半は、自宅待機でテレワークなんぞをやってますが、出社する人間は、コロナ以前と比べ、半分以下でも済んでしまったことが分かってしまったのです。余剰人員であることがバレてしまったんですね。

 旅行は、所詮、メーテルリンクの「青い鳥」探しですが、国内の鄙びた温泉に行こうが、海外の秘境に行こうが、「ここでない何処か」も「どこでもない此処」も何処に行っても同じで変わらないことがバレてしまったのです。

 世界中の人間が、グローバリズムという世界経済システムに組み込まれていて、都市封鎖をして経済活動を止めたら、どうなってしまうのかバレてしまったのです。そして、その阿漕な搾取構造もバレてしまったのです。

 飲んで浮かれて騒がなくても、生き延びることができることがバレてしまったのです。

健康重視のためフィンランドのスポーツシューズ「カルフ」買っちゃいました(笑)

 全ての話題とニュースが「コロナ漬け」になり、それが3カ月以上も続くと、さすがに、人々の苛立ちが募るようです。中には「武漢ウイルスは人工的につくられた」とか、「ワクチンの独占販売権を握った製薬会社の陰謀だ」とか、「陰謀論」が噴出し出しました。でも、私自身は、正直、あまり与したくありませんね。恐らく、真相は10年後か、20年後か、かなり年月が経たないと分からないと思っているからです。

 今、「日本人の必読書」として立花隆著「天皇と東大」第1巻(文春文庫)を私が一生懸命に読んでいることは、世間の皆様にバレていることでしょうが、この中で、「戸水寛人教授の『日露戦争継続論』」という章があります。戸水教授というのは、東京帝国大学法科大学教授のことで、当時の日本の知性を代表する頭脳明晰な人物と言えます。そんな人が、取り付かれたように狂信的な超国家主義者となり、戦争前は、盛んに「ロシアと戦争すべきだ」と新聞や雑誌に投稿し、帝大の七博士と連名で、元老の山縣有朋らに建白書を送り付け、戦争になれば、満洲はおろか、バイカル湖まで占領しろ、と煽り、戦争が終結し、講和条約締結(ポーツマス)の際には、「もっと戦争を継続しろ。何で勝ったのに賠償金が取れないんだ。樺太の半分なんてとんでもない。戦病死した10万人に何と言えばいいのか」と煽動し、何も知らない一般市民を日比谷焼き討ち事件を起こすように煽動し尽くした人でした。

 後世の人間から見たら、日本最高の知性が、何とも誇大妄想是に極まり、ピエロのような間抜け(失礼!)に思えますが、実は、当時は、日露戦争の実態を軍事機密として政府が公表しなかったので、日本はほとんど兵力も武器弾薬も尽き、負け戦寸前で、続行すれば、ナポレオンのモスクワ攻防の二の舞になるところだったことを臣民(東京帝大の教授陣も含めて)は誰も知らなかったのが真相だったのです。(このことは、講和条約を仲介した米国のセオドア・ルーズベルト大統領は情報機関を通じて、先に熟知していました!)

 そして、さらに驚くべきことに、この真相が初めて日本国民に明らかにされたのが、「機密日露戦史」(原書房)の形で公刊された戦後の1966年以降だったというのです。日露戦争は、1904(明治37)年から翌年にかけてのことですから、何と、60年以上も経って初めて真相が明るみに出たということになります。

 ということは、現在、テレビやメディアで、侃侃諤諤と医療専門家もコメンテーターと称する人間も、あることないことしゃべったりしていますが、これまた失礼ですが、真相が分からないのに主張している可能性があります。もしかして、60年も経てば、今回の新型コロナウイルスは、大手製薬会社の陰謀だったという証拠が出てくるかもしれませんが、少なくとも、渦中の今は、真相も分からない人間が、推測で物を言ったり、書いたりしているのではないのでしょうか。

◇偽情報には振り回されないこと

 100年前のスペイン風邪流行時とは違い、現在は、情報量は膨大です。しかし、その情報も玉石混交で、フェイクニュースがかなり混じっています。今の段階は、冷静になって、あまり情報に振り回されることなく、歴史的教訓にも学ぶべきではないでしょうか。

 少なくとも、私自身はそう確信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

旧《溪流斎日乗》 depuis 2005 をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む