沖縄問題に関しては無力感しか味わえず=金平茂紀著「新・ワジワジー通信」を読んで

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 沖縄にお住まいの上里さんから、また沢山の資料や本が送られてきました。この中に、金平茂紀著「新・ワジワジー通信」(沖縄タイムス社、2019年4月25日初版)がありました。「『沖縄問題』を忘れないでほしい」とのメッセージなのでしょう。(上里さんにはいつもお世話になっております。いつぞや送って頂いたビートルズのロゴの入ったコーヒーカップは今でも愛用しています)

 金平氏は、TBSのキャスターで、ジャーナリストの最高の名誉でもあるボーン・上田賞を受賞した人であることは皆さん御存知の通り。でも、これほど長く、そして深く「沖縄問題」に関わってきたことを知る人は少ないかもしれません。同書は、毎月1回のペースで地元紙の沖縄タイムスに連載したコラム(2015年1月~18年10月終了)をまとめたものです。

 この間に、普天間基地の辺野古移設問題、大阪府警機動隊員によるデモ参加者に対する「土人」発言、墜落事故が多発し騒音の激しいオスプレイ配備など次々と沖縄県民に問題が降りかかります。2015年6月には、作家百田尚樹氏の「沖縄2紙(琉球新報と沖縄タイムスのこと)はつぶさないといけない」発言もありました(本人の弁明では、あれはオフレコ発言で、真意は、自分と歴史認識が違う沖縄2紙は誰も読者が読まなくなり、つぶれてほしい、という趣旨だったらしい。けれど、自分の意にそぐわないから言論封鎖するというのは、同じ言論人として恥ずかしくないだろうか?)

 金平氏は怒ります。沖縄県民に対する差別意識をー。そして、怒ります。国土面積が全国の0.6%しかない沖縄県内に、全国の70%の在日米軍専用施設・区域が集中していることを-。また、芥川賞作家目取真俊氏が、大浦湾でカヌーに乗って、辺野古への新基地建設を反対する海上抗議活動を行っていた際、待ち構えたかのような不当拘束も「不条理」だと嘆きます。NHKの報道姿勢も批判します。

 まさに枚挙にいとまがない不条理の連続に、読んでいて胃酸が逆流してくるような感じで、正直、読み進めていくことが嫌になってきます。つい数年前に起きたことなので、沖縄県民は忘れはしないでしょうが、本土のほとんどの人々は忘れてしまっていることでしょう。(2018年8月に翁長雄志県知事が病気で急逝したことも)

 2004年8月に米海兵隊のヘリコプターが沖縄国際大学に墜落する事故が起きた際、米軍は事故現場を一方的に封鎖し、沖縄の警察、消防、行政、大学、それに報道関係者を一切、締め出す挙に出ます。その光景を見た沖縄在住の米国人の政治学者ダグラス・ラミス氏がこうつぶやきます(2015年公開の映画「沖縄 うりずんの雨」より)

 「18歳か19歳のガキンチョたちが、海兵隊の軍服を着て、自分たちより年上の報道陣に向かって大声で命令し、勝手に外国の領土に入り込んで人に命令する権威を持っているかのように振る舞っている。…子どもだ。すごい光景だ。同じことを日本の本土やドイツ、イタリア、英国でもやるかどうか分からない。…やらないと思う。でも、沖縄なら確実にやる」

 この後、筆者の金平氏は「世界史的に言うと、これは『植民地』でよく見られた光景だ」と補足します。沖縄もそして日本も米国の植民地ではないか、と言っているわけです。

 日本の外務省の公式ホームページに「日米地位協定Q&A」なるサイトがあり、問5として「在日米軍の基地はアメリカの領土で治外法権なのですか」というのがあります。その答えが以下の通りです。

 米軍の施設・区域は、日本の領域であり、日本政府が米国に対しその使用を許しているものですので、アメリカの領域ではありません。したがって、米軍の施設・区域内でも日本の法令は適用されています。その結果、例えば米軍施設・区域内で日本の業者が建設工事等を行う場合には、国内法に基づいた届出・許可等が必要となります。

 へー、そうだったんですか。でも、沖縄国際大学は、米軍の施設ではなく、日本の私立大学ですから、民間の施設です。つまり、民間の施設でさえ、日本の警察、消防、行政、大学関係者が事故現場に入れず、米軍の海兵隊によって締め出されることが当然の如く行われたのですよ。

 本土の片隅に棲息している日本人の一人として、沖縄問題について関心を持ち、声を挙げることしかできませんが、結局、大きな権力の前では無力感を味わうことしかできません。嗚呼…

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