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今や何処の企業でも、メーカーからマスコミに至るまで、「成果報酬」なる妖怪が歩き回っています。
デパート大手の三越伊勢丹も4月から販売員にこの「成果報酬」を導入するようですね。最大年100万円ほど上乗せされるそうです。コンビニのせいか、百貨店も、「衰退産業」と最近言われるようになり、インセンティブを導入することになったのでしょう。
確かに、日本の雇用形態は、一昔前と比べてすっかり様変わりしました。私が就職した頃は、「終身雇用」「年功序列」がほぼ当たり前で、社畜じゃなかった、社員は一生、身を粉にして会社に精神精励尽くすというのが基本でした。もっとも、当時は定年は55歳で、年金もたんまり出た頃でしたが。
それが、今では、グローバリズムとやらで、「終身雇用」も「年功序列」も崩れ、ポストに給料を支払う時代になってきました。例えば、「部長」というポストに賃金を与えているだけであって、その部長が30歳だろうが、50歳だろうが、関係ない。もしかして、人格も教養も品格も関係ないかも(笑)。
基準は「成果」のみ。30歳で部長になっても、営業成績が落ちれば、ウカウカしていられません。50歳代ともなれば、子供に教育費が幾何学級数的に増大する頃。ヒラのまんまでは、子供に大学進学を諦めてもらうしかないかもしれません。
昨日もご紹介した小口幸伸著「2時間で分かる外国為替」(朝日新書)には、こんな面白い記述がありました(換骨奪胎)。
…私の経験では、収益力のある為替ディーラー(全体の1割程度でしたね)は、ほぼ例外なく寡黙か、饒舌のどちらか。饒舌なら非論理的で支離滅裂です。その一方、収益力のないディーラー(全体の約2割)ほど、論理的でしかも明解で分かりやすい。私はその理由について考えたところ、相場の肝は、ギリギリの場面では判断力がモノを言い、決め手になるが、その場合、いくつかの要素がせめぎ合っているため、論理的に語れない。それに対して、収益力のないディーラーは、そこを素通りにして明解な世界でしか勝負していないから判断が遅くなるのではないか…
これは、どんな仕事にも通用するような示唆に富んだ言葉ですね。
私の考えは、「終身雇用」「年功序列」のようなシステムの方が、日本人に合っていると思います。「成果主義」は、上司のさじ加減でどうにでもなりますから、まるで戦国時代みたいなもんです。非論理的な、つまり今で言う反知性主義で、ヒラメのように寡黙か、声がでかい奴の勝ち(笑)。
「日本式では、国際競争に乗り遅れる」と、社内公用語に英語を導入した企業もあるようですが、笑止千万。「滅私奉公」も「刻苦精励」も読めない、意味も分からない日本人を増やすだけです。
今メディアに盛んに出てくるグローバル社長は、儲かれば何をしてもいい。手段を選ばない我利我利亡者みたいに見えてきてしまいます。
確固とした経営哲学を持っていた松下幸之助や本田宗一郎らとえらい違いです。