帝室技芸員とジャポニズム

ハバロフスク寺院 Copyright par Duc Matsuocha-gourveneur

 生きているだけで儲けものです。探してみれば、何か楽しいことがあるものです。

 最近はまったのは、札幌の雪祀り先生からご紹介された超絶技巧派の陶工真葛(宮川)香山ですね。

 このブログでも、2月24日付で書きましたが、彼の超絶倫技巧には本当におっ魂消ました(笑)。

 初代真葛香山は、帝室技芸員にも選出され、フィラデルフィア万国博覧会やパリ万博などに作品を出品して、大賞や金賞を獲得します。

 ちょうど、欧米ではジャポニズムが大ブームで、日本の職人芸に眼を瞠った欧米の金持ち階級がこぞって、日本の作品を求めたと言われています。
 
 帝室技芸員は、いわばジャポニズムの前衛みたいなものだったんですね。

ハバロフスク寺院 Copyright par Duc Matsuocha-gourveneur

 日本の職人芸といえば、今の時代も変わりません。先日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープの買収(交渉中)が話題になりましたが、やはり、世界中の人は、日本の技術が喉から手が出るほど欲しいんでしょうね。

 米アップルも「ソニーに追いつけ、追い越せ」と頑張ってあそこまで大きくしました。

 半島や大陸の技術もかなりの日本人エンジニアが高額で雇われてブレインドレインされたことは、多くの人が証言しています。

 ま、これ以上書くと差し障りがあるかもしれませんので、やめておきます(笑)。

ハバロフスク軍事博物館 Copyright par Duc Matsuocha-gourveneur

 今、興味深く思っているのは、この「帝室技芸員」制度です。戦前、宮内大臣に任命された選考委員によって選ばれた芸術家のことで、任期は終身で年金がもらえました。明治23年から昭和19年まで、橋本雅邦、横山大観、富岡鉄斎、川合玉章らそうそうたる技巧派79人が選出されています。彼らは、ジャポニズムの盛り上がりの中、日本の美術工芸品を海外に売り込むための「お役目」を果たしたと言われます。

ハバロフスク軍事博物館 Copyright par Duc Matsuocha-gourveneur

 先日、テレビの「何でも鑑定団」で、加賀出身で、鉄打ち出し作品の鍛金工芸家山田宗美(1871~1916)という人の「狸置物」が出てきて、800万円もの鑑定結果が出て吃驚してしまいました。
 鉄打ち出し作品とは、一枚の鉄から気の遠くなるような忍耐力で、細かい部分まで裏打ちして作品を仕上げていくもの。銅の方が扱いやすいのですが、鉄は軽く打ってはビクともしない。しかし強く打ち過ぎると、ヒビが入ってしまう。この手加減が微妙で、山田宗美以外は、誰にもつくれないという代物なんだそうです。

 山田宗美は、あの帝室技芸員に内定されながら、過労が原因か、44歳の若さで亡くなってしまったので、選出されなかったとい逸話があります。
 

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