パリ市場にて
21日(月)は振替休日。世間の人は、お休みなので、大層混むだろうと予想して、朝早く出掛けて、東京・上野の西洋美術館に「カラヴァッジョ展」(一般1600円のところ無料招待券を1380円で買収)を観に行って来ました。(忙しくて、やっと今日書けました=笑)
正解でした。少し余裕を持って本物に接することができました。
カラヴァッジョ(1571~1610)は、バロック美術の大家で、後の巨匠ルーベンスやレンブラントらに影響を与えたと言われますが、かなりの自惚れ屋で、素行も悪く、瞬間湯沸し器並みの短気。殺人まで犯して逃亡し、38歳の若さで亡くなってしまうという波乱万丈の生涯を送った人です。
光と闇を描き分けた先駆者とも知られ、私も彼の大ファンで、10年近く前に、わざわざイタリア半周旅行の際に、ローマのサン・ルイジ・ディ・フラチェージ教会を訪れ、彼の名前を一気に高めた「聖マタイの召命」(1600=日本では「関ヶ原の戦い」があった年)を観に行ったものです。
この「聖マタイの召命」は、右端にペテロを従えたイエスが、マタイに自分の使徒になるよう召命している有名な作品です。かつては、中央で、人差し指で「自分ですか?」と問いかけているような髭を蓄えた初老の男が、マタイだと言われていましたが、1980年代になって、その髭の右横で俯いてお金を数えている仕草をしている横向きで表情が見えない若い男がマタイではないかという説が有力になってきました。
髭の男は、自分自身を指差しているのではなく、右前隣の男を指差して、「この男ですか?」とイエスに問いかけているわけです。マタイは、徴税人だったので、お金を数えていることが、その証拠ではないかと言われています。
カラヴァッジョの生涯は、38年しかないため、その作品は少なく、約60点と言われていますが、教会に据え付けられて持ち出しが不可能な作品も多いので、今展で11点出品されているということは、かなり見応えがあると言えるでしょう。海外初公開作品(「法悦のマグダラのマリア」)もありますが、勿論、「聖マタイの召命」は、持ち運べないのでありません(苦笑)。
ところで、カラヴァッジョの本名は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョです。そして、ルネサンスの有名な彫刻家ミケランジェロ(1475~1564)の本名は、略してミケランジェロ・ブオナローティです。
何でカラヴァッジョは、ミケランジェロではなくて、何でミケランジェロは、ブオナローティではないんでしょうかね?ちなみに、ラファエロは、ラファエロ・サンティで、名前が通称。レンブラントも、レンブラント・ハルメスト・ファン・レインが本名。
近現代は、マネにしろ、モネにしろ、ゴッホにしろ、みんな苗字が通称になっているのに…、