ハバロフスク駅 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
京洛先生のお勧めでロードショー映画「家族はつらいよ」を、ユナイテッドシネマでau割引価格で観てきました(AL)。
山田洋次監督作品。まあ、「男はつらいよ」の大監督ですから、こういった喜劇はお手のものなんでしょうが、ちょっと、ドタバタ過ぎたような感じもしました。
特に、父親の平田周造役の橋爪功と、長女金井成子役の中嶋朋子がちょっと演技過剰気味で、目が覚めてしまいましたが、長男の嫁史枝役の夏川結衣の抑えた演技は、自然にみえて、プラスマイナスゼロという感じでした。
雨の降る真夜中の乗車 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
ストーリーは見てのお楽しみということで、書かない方がいいでしょう。
観終わって、すっきりしたので、満足しました。松竹伝統の「大船調」とまではとてもいきませんでしたが、「小船調」はいっていたかもしれません。シリーズ化されるんじゃないでしょうか。
みんな役柄でキャラがたっていましたから(笑)。
保守点検中 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
邦画だと、俳優の顔と名前が一致して、役者さんの背景的知識もあるから、深読みではなくて、「深観」ができます。洋画だと知らない俳優が出てくると、名前も分からず、役がごっちゃになったりしますから(笑)。
例えば、最後に周造がビデオか何かで観ているのは、小津安二郎の「東京物語」。前回も「東京物語」のオマージュ的作品「東京家族」を発表したりして、山田監督の小津監督への並々ならぬ思い入れが伝わります。
もう一つ、周造の妻富子役の吉行和子の台詞に「(老後は)大丈夫。弟の遺産(作家で成功して著作権を継承したため)があるから、細々と暮らせますから」といったようなものがありましたが、この台詞で、当然、吉行の兄である吉行淳之介を思い起こしますよね。
長女の夫金井泰蔵役の林家正蔵が「どうもすみません」とこぶしを額に持っていく仕草は、ワザと山田監督が指示したのでしょう。もちろん、この台詞と仕草は、林家正蔵の父林家三平の十八番です。
また、「あの俳優観たことあるけど、誰だっけ?えっ?木場勝己?木場勝己も随分老けたなあ」などと、口にはとても出せないことが思い浮かぶのも、邦画ならではの「深み」かもしれません。
まあ、若い人が見てもこんなことは分からないでしょう。自分も、いい意味で歳を取ったということかもしれません(笑)。