東京・銀座の高級鰻店で
◇断スマホのすすめ
ここ数年の「スマホ中毒」のお蔭で、視界がボヤけて、目の奥がズキズキ痛む眼痛がいつまで経っても治りません。「誰か止めてくれい」と叫びたくなるほど、まさに「中毒」です。通勤電車の中でも、7人掛けに座っている7人中5人はスマホとにらめっこしています。立っている人のほとんどもそうです。
これは、何も日本だけの話ではなく、パリに行った時、メトロで、ロンドンでは、アンダーグラウンドで、そしてニューヨークのサブウエイでも皆、スマホと格闘しています。
昨年から話題になっているアンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳「スマホ脳」(新潮新書) によると、現代人は、10分に1回はスマホを手に取り、スクリーンタイムの1日平均は4時間。10代の若者ともなると、その2割は、スマホに1日7時間を費やしているといいます。1日2時間超のスクリーンタイムは鬱病のリスクや学習集中力の低下につながるともいわれています。
スティーブ・ジョブズは自分の子どもにはiPadを触らせなかったらしく、「裏事情を知っている」世界のIT企業長者の多くは、子どもにスマホを与えないらしいですね。IT長者に知り合いがいないので、裏を取っていませんが(苦笑)。
まあ、断酒じゃありませんが、たまには、1日、スマホを仕舞って、触れない日を作ってもいいのかもしれません。インターネットが出始めた頃は、メールチェックも1週間に1度程度でしたからね。あの時代は随分、牧歌的な時代でした。
◇「LIFE SPAN 老いなき世界」
今、先月末から読み始め、途中で「本能寺の変」関連の本を読んでいたため中断していたデビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント著、梶山あゆみ訳「LIFE SPAN 老いなき世界」(東洋経済新報社)を再び、続けて読んでいます。
このブログでは、1月28日にご紹介し、「実は、まだ半分ぐらいしか読んでいないのですが、できれば、この本を読むお仲間を増やして語り合いたいと思ったので、早々に御紹介しました。」と書きましたが、どなたか読み始めましたか? えっ? いない? 駄目ですねえ。
世界的大ベストセラーになったらしく、なかなか良い本ですよ。分子生物学、遺伝学の難解な専門書なので、最初は専門用語に追いつくのが大変でした。しかも、著者の何処か自信満々のペダンチックな書き方が妙に鼻に付きましたが、後半では、わずかながら、挫折めいた感傷的になる記述も見られたため、浅はかな評価をやめました。もう1回ぐらいは再読するつもりですので、名著だと思います。
前半では、「老化は病気の一種なので、NAD増強分子とメトホルミンや少量のラパマイシンを服用すると若返り、寿命が120歳、150歳になるのは夢ではない」といったバラ色の世界ばかり描かれています。
これだけだと、単なる能天気な、現実を直視しない夢想家の発想にさえ見えますが、後半になると、著者の筆はちょっとネガティブになります。環境汚染や地球温暖化問題、人口増と食糧問題、そして貧富の格差拡大など統計を駆使して説明します。
それは、著者が、実の息子から「パパの世代もその前も皆、地球が破壊されるのを黙って見ていたよね。その上、何?今度は人がもっと長生きできるようにしたい?世界をもっと傷つけられるように?」と批判されても、何も答えられなかったからでした。
著者は、世界的なパンデミックの問題も警告していましたが、この本が出版された後、残念ながら、新型コロナウイルスが蔓延してしまいました。
過去の歴史を振り返り、例えば、19世紀のロンドンで、3度にわたってコレラが大流行し、3万人もの人が亡くなった話に触れています。当時は、コレラは、沼などから立ち昇る悪い空気などから感染すると固く信じられていましたが、ジョン・スノウという医師が、そうではなく、公衆衛生の設備が整っていないからだということを突き止め、井戸ポンプの取っ手を取り外したり、上下水道を整備、改善することによって感染を収束させたといいます。その後、フランス人のパストゥールらのワクチン接種の研究などで、画期的な成果を挙げていきます。
このように、著者は、先人たちが苦労したように、人類の叡智によって、地球環境問題にしろ、人口稠密問題にしろ、いつかは解決できると期待を込めているのです。
やっぱり、難解な書物なので、1回読み終わったら、教科書のようにラインマーカーを引っ張って、再読するつもりです。