「満鉄長春駅」(1924年頃) ノエビア銀座ギャラリー
いやはやショックでした。
もう何十年も聴き続けて来たラジオ講座「実践ビジネス英語」が今月3月いっぱいで終わってしまうというのです。昨日の3月第1回の放送を聴く前にテキストを読んでいたら、その事実を初めて知りました。遅いですねえ(苦笑)。
このラジオ講座は1987年4月に「やさしいビジネス英語」としてスタートしましたから、33年でのフィナーレです。紅顔の美少年だった私も、今や単なる醜い老人です。
私自身、いつ頃から聴き始めたのか覚えていませんし、途中でズル休みをしたこともあったと思いますが(苦笑)、30年ぐらいは聴き続けてきたと思います。勿論、講師は一貫して杉田敏先生です(NHKの講座の講師として、33年はやはり最長記録だそうです)。1944年生まれということで、今年喜寿を迎えるということで、そろそろ潮時と思われたのかもしれません。今のパートナーは、読売新聞系の「ザ・ジャパン・ニューズ」紙記者のヘザー・ハワードさんですが、その前のクリス・マツシタさんの頃から聴いていました。
杉田敏先生は青学大卒業後、英字紙「朝日イブニングニュース」の記者になりますが、渡米し、オハイオ州立大学で修士号を取得し、現地の「シンシナティ・ポスト」紙の経済記者に。この後、ジャーナリストから米大手PRコンサルティング会社に転身し、複数の企業の重役を歴任し、帰国後はPR会社「プラップジャパン」社長などを務めた人だということは皆さまご案内の通り。ですから、取り上げられるテーマは、学者の研究というより、ジャーナリスティックで、現場主義で、自分の転職や企業合併の経験なども多く取り込まれていました。
テーマは、ビジネスだけでなく、‘Climate Change’(気候変動)とか、Wellness Tourism’(ウエルネス・ツアー=健康増進のためのツアー)とか、’Parenting and Grandparenting’(親であること、祖父母であること=初めて祖父や祖母になる人たちを対象にした「祖父母教室」)とか、親の介護とかホームレス問題など、普通の生活者の視点から多岐にわたっていました。私も「エコツーリズム」などこのテキストで初めて知ったことが数多くあり、本当に勉強になりました。
当初の「やさしいビジネス英語」というのは看板だけで、単語もイディオムもさっぱり分からず、一つのビニュエットの中で10個かそれ以上も分からない単語やフレーズが出てきました。30年も聴き続けるとさすがに、その数は、数個に減りましたが、まずゼロになることはありません。
でも、昔聴いていた英語の音楽や観ていた洋画のタイトルなどの「本当の意味」が初めて分かったりして、大いに収穫がありました。
杉田先生は、毎日、「ウオールストリート・ジャーナル」「ニューヨークタイムズ」「USAトゥデイ」「ガーディアン」には必ず目を通し、CNNやBBCなどもチェックして、タイムリーなテーマを「創作」している、と打ち明けています。
私自身は、これでも、英語は得意のつもりで、外国語専門の大学を卒業し、通訳案内士の国家試験も通っているのですが、それでも、正直、本当に難しい。よくぞ、こんな小難しい表現ができるものだ、と感心するばかりです。
ただ、安心できたのは、米国人である私の義理の息子に、テキストに出てきた難しい単語やフレーズを使うと、「え?何それ?聞いたことない」「知らない。ブリティシュかな?」と戸惑って、「チェック」と言いながらスマホで調べ、後で「ホントだ。知らなかった」というのが常なのです(笑)。(ちなみに、米国人の義理の息子の名誉のために付加すると、彼は一応インテリです。杉田先生の表現が難し過ぎて、ネイティブでさえも聞き慣れないほど難しく、ハイレベルだということです)
ですから、杉田敏先生には、これまで一度もお目にかかったことはありませんが、尊敬というより尊崇の念を抱いています。15年以上昔、北海道の帯広市に赴任していた頃、そこの結構大きな英語塾の創立者兼校長先生が、杉田先生と知り合いで、「いつか講師としてお呼びします」と聞いて、講演会を楽しみにしていたのですが、実現したのは、私が東京勤務に戻った後だと知り、地団駄を踏んだものです。
これでは「杉田ロス」になること間違いなしだと思っていたら、商魂たくましい(笑)NHK出版が季刊ムック「杉田敏の現代ビジネス英語」を今年4回(3、6、9、12月)発行することを知りました。音声をダウンロードして、そのテキストで勉強できるようです。
年4回分を一括して申し込むと、「送料無料」で確実に手に入るので、早速ネットで購読を申し込みました。「杉田ロス」にはなりたくありませんからね(笑)。