谷町社会

東銀座

いつも「獅子身中の虫」様からコメントを頂きますと、ドキドキして思わず姿勢を正してしまいます(笑)。しかし、中身にはいつも感心させられておりますよ、提督閣下。

◇NKHって何?

さてさて、その提督閣下の大嫌いな朝日新聞が「大訂正」をやらかしてしまいましたね。「大誤報」ではありません、念のため(笑)。

何が哀しいのか、新聞社としては最も主張したいが、殆ど読んで貰えない「顔」とも言うべき社説の中で、「NHK経営委員」と書くべきところを、「NKH経営委員」とやってしまったのです。

神南方面から文句が来て初めて分かったのでしょうか?

明らかに人為的ミスですが、これを書いた論説委員さんは、恐らくパソコンで執筆していることでしょうけど、変換ミスではなく、「思い込み」で、「NHK」を「NKH」と打ってしまったんでしょうね。以上、この話は長くなるのでこれでお終い。

◇噺家のギャラは2500円!

最近の経済週刊誌「ダイヤモンド」が面白い、といつぞや書きましたが、先週号は「落語」特集で、これまた面白かった。実は、立ち読みして買わなかったので、細かい所は、覚えていないのですが(笑)、衝撃を受けた事実がありました。

さすが、経済誌だけあって、噺家のギャラを調べておりましたが、何と、上野の鈴本演芸場にしろ、新宿の末廣亭にしろ、真打だろうが、大ベテランだろうが、1日のギャラは、2000円~3000円程度だというのです。

内訳を詳しく書いておりましたが、まず木戸銭(入場料収入)の半分を席亭(劇場支配人)が持っていく。残りの半分をその日の出演者で均等に分配される。大体、寄席は昼と夜の二回興行で、マジックや切り抜きの人もおりますから、1日の出演者は30人ぐらいとなり、残りを皆で山分けするとなると、2500円程度にしかならないというのです。

これでは、ワーキングプアじゃありませんか。ショックでしたね。では、何で、噺家は、偉くなると弟子を持って羽振りがいいような生活をしているのか?いやはや、そう見せているだけで、実際には全国で1200人程度いる落語家さんで食べて行けるのはその1割程度。売れっ子となると、50人もいればいい方ではないでしょうか。

そこで、思い浮かぶのは、タニマチです。所謂一つのパトロンさんです。大坂の谷町筋も江戸時代から贔屓のお相撲さんを抱える豪商が多く住んでいたのでそう呼ばれた、と聞いたことがあります。

昔も今も変わらないのです。

関取も、噺家も、役者も、絵師も、活字芸者も、そして、落下傘政治屋もワーキングプアで、そのままでは生活できないわけですから、パトロンに縋るわけです。その仲介役を務めたのが顔役や口利きや引手茶屋です。

電気紙芝居の時代になっても変わりません。引手茶屋が大手広告代理店に取って代わり、「旦那、好い子いまっせ。御宅で使いませんか?」と斡旋してきます。

旦那衆は「よっしゃ、よっしゃ」と百両ばかし、「おまえも、悪やの~」と言って斡旋業者に渡します。仲介役は、台本作家を雇って芝居を作り、その番組の途中に旦那衆が売り込みたい効きもしない偽丸薬の宣撫活動にその好い子を使って、○○な大衆を洗脳するわけですよ。大衆も騙されることが生き甲斐ですからね、これで、「物々交換」が成立。

噺家も、本業では食えないので、お線香の宣撫活動に勤しんだり、ラーメンを売り込んだりして大忙しです。もっとも、「笑点」のレギュラーメンバーになれれば、一回100万円以上の地方公演がありますから、十分に本業を生かすことができますが。

◇キアロスタミ監督

先日亡くなったイランの巨匠キアロスタミ監督は、あまり有名な俳優は使わず、台本も綿密ではなく、ドキュメンタリータッチで撮ることで有名でした。

困ったのは俳優陣です。「監督、次の台詞は何と言ったらいいんですか?」と迫ります。

すると、キアロスタミ監督は「貴方は、明日の自分がどうなっているか断定できますか?」と、涼しい顔で応えるそうです。

監督としては、明日さえ分からぬヒトの運命の儚さや不安定さをスクリーンで表現したかったのかもしれません。

 ですから、今回の参院選の結果だけを見て、未来を予測する評論家が多くいますが、警戒するべきでしょう。瓦版の「後講釈」もうんざりです。

 誰も責任を取りません。

 Tomorrow never knows.

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