- ある日の銀座コリドー街
いつも、そそっかしい名古屋にお住まいの六代目海老不羅江先生から、急にこんな飛脚便を送って来られました。
…大下英治著の「激闘!闇の帝王 安藤昇」(さくら舎刊、1600円)を読みだしましたが、これが「講釈師、見て来たような嘘をつき」と言いますか、ついつい引き込まれまれてしまいました。…
何でしょうか、と、突然?
…帝都は銀座8丁目にある老舗天麩羅店「天国」裏の第2千成ビルに事務所を構えていたのが、あの白木屋乗っ取り事件やホテル・ニュージャパンのオーナーとして名を馳せた、”ケチ”で”悪党”の横井英樹です。その横井を安藤昇が襲撃する一コマ。渋谷の青山学院大学の前にあった「網野皮革店ビル」に安藤組の事務所があったこと。次から次に有名人との逸話が出てきて、恐らく、貴人は、涎、垂れ垂れで読まれることでしょうね。…
何で、あ、あたしが…?
…残念ながら、同書は、公立図書館のような気品の高い所では閲覧不能、蔵書されない珍本ですから、1600円出して買うしかありませんね。網野善彦先生の難しい歴史本や、古典、さらには理屈ばかりこねる人士には、理解不能な書物でしょう。堂々と銀座のど真ん中にある本屋さんで買われることですね。屹度、読むのに熱中して、スマホ歩きの若いアンちゃんと衝突しますよ。銀座のホステスで、作詞家、作家としても名を残した山口洋子ママも、安藤昇の間夫だとは、この本で初めて知りました。キックボクシングの野口さんとしか知らなかったですからね。…
と、急にこんな飛脚便が届けられれば、その「逸話」とやらが私も気になり、読んでみたくなりますね(笑)。
安藤昇は、当時としては大学を出た(中退ですが)インテリの渡世人として、渋谷を拠点に一時は500人もの子分を抱えて羽振りをきかせていました。その後、役者に転向して、俳優として成功したので、知る人ぞ知る有名人です。
しかし、何で今頃、安藤昇の本が出版されるのか、不思議だったのですが、昨年末に亡くなっていたんですね。私は、昨年は旅行で黄泉の国に行っていましたので、昨年一年間に起きた世の中の出来事を知りませんでした。
安藤昇は、小生の父と同じ大正15年生まれでした。安藤昇は、いわゆる特攻隊崩れだそうですが、私の父も10代で帝国陸軍の一兵卒として志願して日本のために戦いました。いわゆる一つのポツダム伍長です。
父が戦死していたら、私もこの世に生まれなかったのだなあ、と感慨深くなってしまいました。