来年は覇権主義の激突か?

伊太利亜ヴェニス

中国の空母「遼寧」など艦船6隻が昨日、沖縄本島と宮古島間の海域を越えて(領海侵犯なし)、物知り博士によると、歴史上初めて、中国が太平洋に進出したそうですね。

毛沢東さえなし得なかったことを、習近平さんが成し遂げたことになります。

これによって、ユナラテラリズムの米国を始め、その同盟国を自称する日本などの周辺国が、軍事力を増強する良い口実となり、来年のトランプ新大統領の出方次第では、緊張が高まり、太平洋海域も、きな臭くなるのではないかという懸念さえ生じてきました。

今、世界中で大ベストセラーになっている「サピエンス全史」によると、16世紀までヨーロッパ諸国は世界的に見ても、非常に貧乏な遅れた後進国でした。

当時、世界の覇者として圧倒的な権力を持っていたのが、トルコのオスマン帝国であり、中国の明や清帝国だったわけです。

それが何故、ひっくり返ったのか?「サピエンス全史」の著者ユヴァル・ノア・ハラリは、「それは自分たちの領土以外に関心を持ったか、持たなかったかの違い」と、ズバリ指摘します。

15世紀からの大航海時代で、ヨーロッパ諸国は狭い自国領土では飽き足らず、次々と海外に出て侵略し、植民地にします。最初は、スペイン、ポルトガルの南蛮人がアジアや南米を侵略し、英国、オランダ、ドイツ、フランス、イタリアなどが続きます。(長くなるので何処の国なのか、いちいち国名は書きません)

その一方で、トルコや中国は、歴史的に見ても、海外で一度も侵略行為をしていないというのです。勿論、色んな見方がありますから、例えば、中国なら大陸が広大過ぎて、海外にまで領土を広げて統治する余裕がなかったという見方もできます。

それに中国などは、56もの民族がある異民族の集まりで、現在のチベットやウイグルや内モンゴル問題を見ても、領土が海外でなかっただけで、異民族を支配しているという構造は変わらないかもしれません。

トルコだって、ウィーンまで攻め上りました。

いずれにせよ、「サピエンス全史」の著者ハラリによると、このように海外に侵略して植民地化して富を築いたのは、ヨーロッパ人だけだった。その唯一の例外がアジア人の日本だったというのです。

それは、先の戦争(応仁の乱ではなくて、太平洋戦争)で、大日本帝国が占領したアリューシャン列島の米国領キスカ島とアッツ島(後に玉砕)のことを列挙しておりました。

そう言えば、大日本帝国が行った戦争の大義の一つが「白色人種からのアジア解放」がありましたね。その精神的支柱となったのが、大川周明ですが、侵略植民地国は、自分たちの罪状が暴かれるのを怖れて、彼をA級戦犯に指名したという穿った見方もあります。

今のベトナムは仏に、今のミャンマーは英に、今のインドネシアは蘭に、今のフィリピンは米に植民地化されていたわけですから。

また、そう言えば、ですが、東京裁判で、判事となった戦勝11カ国の内訳は、英、米、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと5カ国もアングロサクソンとそのいわば植民地国じゃありませんが、これに蘭と仏とソ連を加えると欧州系は8カ国。アジアは、中国、フィリピン、インドの3カ国に過ぎません。

こうして、戦勝国であるアングロサクソン系は、国際連合(実は、戦勝国連合)をつくり、ブレトンウッズ体制で、IMFと世界銀行をつくり、覇権主義を確立していったわけです。

そして、21世紀。世界史的、人類史的に見ても、これまで一度も海外侵略しなかった(私は単に、中国は朝貢貿易が好きだったからだと思いますが=笑)あの中国が、太平洋に進出して、覇権主義を誇示する時代となったわけです。

そういう意味で、今回の「事件」は、エポックメイキングとなることでしょう。

※以上、記憶で、電車の中で書いてます。。。

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