メリケン国に花札大統領が就任

伊太利亜ヴェニス

睦月二十日、海の向こうのメリケン国では、とうとう、花札大統領が第45代君主として就任しました。

 浦賀で居座る黒船のペルリ提督の通詞から齎された密書によりますと、花札大統領は、選挙期間中と相も変らぬ暴言で敵対者をねじ伏せて黙らせてから、「今後、予の世から、メリケンを鎖国とする」「人民保険もやめる」「万里の長城をつくる」「貧乏人は麦を喰え」と、高らかに宣言しました。(確か、もともと、メリケン国は、麦でつくったぶれっどとかいうものを食していたはずだが…)

 花札大統領が就任する前は、佐久間象山ら世の識者たちは、「一体どんな世界になるのか想像もつかない」と戦々恐々としておりましたが、なーんてこたあない。昨年のゲチスバーグでの選挙演説と一字一句も変わらない政策を実行しようとしているだけで、今後も簡単に予測がつくことが、この就任演説で証明されました。

 それより、瓦版の連中は、為政者の話よりも、飲み食いや着る物の話が大好きで、早速、大統領夫人のお召しになっている着物は、メリケン国の仕立て屋がつくった上から下まで鮮やかな海の藍色で統一され、さすがに花札大統領が「メリケン鎖国」を宣伝したものですから、夫人も大好きなミラノやパリの仕立て屋服が着られなくてなって残念である、と着色絵入りで大々的に報じておりました。

伊太利亜ヴェニス

 花札大統領は、商売人(あきんど)出身で、政治経験は全くないそうです。

 商売人ですから、何事も損得勘定で物事を判断し、憲法より優先します。

 花札大統領は、「取引」と言う言葉が大好きですが、鎖国ですから、自分の国だけを保護するために、異国との通商は禁止し、すべて朝貢貿易とすることにしました。

 朝貢貿易といえば、昔、我々がお隣の随の国と取引させられたときと全く同じです。我々幕府も、これから、メリケン国のモノが欲しいときは、色目といいますか、賂(まいない)といいますか、本来の価格よりも3割か4割も上乗せして買わないと、売ってもらえないということになるようです。その逆もまた然り。

 本来の価格は、毎日、大坂の堂島で取引されるコメの相場で決まります。

伊太利亜ヴェニス

 昨年は、エゲレス王国が、エウロパ連合からの離脱を宣言しまして、世界をあ、と言わせしめ、先ごろ、五月首相も「わが王国も鎖国するぜよ」と、どういうわけか土佐弁で宣言されておりました。何でだろう…?

 テロ組織を鎮圧中の見廻組佐々木只三郎からの書状では、今、京の巷(ちまた)では、お上(かみ)が大政を奉還するのではないかという噂でもちきりなんだそうです。

 銭形の親分、今年は面白くなりまっせ。

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