共謀罪五つの疑問

 ハバロフスク・スーパーCopyright Par Duc Matsuocha gouverneur

現在、共謀罪が国会で審議中で、多勢に無勢でいずれ成立されるかもしれませんが、暴力団などの組織犯罪を取り締まるのだから、われわれ市民になーんにも関係ない、と言ってられないことを、もし知らない方がいらっしゃれば、認識を新たにしなければならないことを茲ではっきり申し上げておきます。

もっとも、安倍首相をはじめ政府自民党は、この法案を共謀罪なぞと呼ばず、口当たりの良い「テロ等準備罪」と呼んでいるので、最初から「共謀罪」と呼ぶとなると、疑念を抱く側としての態度を明確にすることになることも覚悟の上で、疑問を呈していきます。

【疑問1】政府自民党は、共謀罪をつくらなければ、世界187国・地域が締結している国際組織犯罪防止(TOC)条約を結べないと主張するが、共謀罪ではなく、犯罪活動への参加を罰する「参加罪」の法整備で済むのではないか?

【疑問2】取り締まり対象が、組織的犯罪集団、いわゆる暴力団などに限っているように政府自民党は主張するが、国体破壊行為者、反政府主義者、アナーキストとまでいかなくても、普通の一般市民やサラリーマン、団体職員、労働組合員にも及ぶのではないか?

 ハバロフスク・スーパー入口Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

【疑問3】共謀罪では、殺人罪などの既遂、殺人未遂罪などの未遂だけでなく、計画を準備した段階の「予備罪」まで範囲を広げるらしいが、心理学者や精神科医でさえも心の問題が分からないように、他人の頭の中まで覗けるわけがなく、何処まで、その準備段階を立証できるというのか?

【疑問4】準備罪でしょっぴこうとしても、頭の中まで覗けず、立証できないので、今後ますます当局による通信傍受、盗撮、尾行、密告等が強化されて、戦前の特高警察のようなものが復活するのではないか?

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【疑問5】それこそ、まさに戦前の治安維持法が復活して、個人の自由が奪われるのではないか?通信傍受、尾行対象も、政府に反抗的で、時の権力者にとって都合の悪い、それこそ渓流斎のような気に食わない人間だけに向けられるのではないか?

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政府の説明では、TOC条約に加盟していない国は、日本、イラン、南スーダン、ソマリアなど11カ国に過ぎず、このままでは2020年の東京五輪開催を控えて、とんでもない国際テロ犯罪が起きたらどうしてくるのか!と、反対者の意見を封じているようです。

確かに、それは一理あります。ただ、専門家によると、TOC条約はもともと、マフィアなどの犯罪組織によるマネーロンダリングなどを取り締まることが主目的で、政治や宗教などのテロを対象にしたものではないそうですね。

ということは、テロ対策だけに絞った「参加罪」としての条件を満たしてTOC条約を締結すればいいだけのことです。

ですから、私は監視や密告が跋扈する温床になりかねない共謀罪には断固として反対を表明したいのです。こんなブログでも対象にされたら、たまりませんが、弱流斎ごときが何をほざこうが、強者は1ミリたりとも微動だにせず、ですかね?

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