たった一つの論文を読みたいがために、710円を払って雑誌を買いました。今月の「文芸春秋」です。
読みたかったのは、ノンフィクション作家の関岡英之氏の『米国に蹂躙される医療と保険制度 奪われる日本―「年次改革要望書」米国の日本改造計画』という論文です。
「ついに簡保120兆円市場をこじあけた米国の次なる標的は?我々の健康と安心が崩壊する」という前文(リード)から始まります。
関岡氏によると、簡保、つまり簡易生命保険制度は、民間の生命保険に加入できない低所得者にも保険というセーフティネットを提供することを目的として大正5年に創設されたもので、ビジネスというよりは日本社会の安全装置だといいます。この簡保120兆円を米国の保険業界が狙っているというのです。郵政民営化の本当の狙いです。120兆円といっても、サミット参加国カナダのGDPより大きいのです。
保険は、毎月決まった金額の保険料を長期に渡って支払うことができる顧客が対象となるため、国民の大多数がその日暮らしの発展途上国では市場そのものが成立しえない。従って先進国に限られ、米国、日本、英国、独、仏の5カ国のみで世界の保険市場の8割近くを占めるそうです。
「簡保乗っ取り」の話はまだ序の口で、米国の本当の狙いは「健康保険」だ、というのが筆者の見立てです。
そういえば、2000年を前後して日本の中堅・中小の生命保険会社が相次いで外資に買収されたとして列挙しています。
例えば、
「東邦生命」⇒GE(米)⇒AIG(米)
「千代田生命」⇒AIG(米)
「協栄生命」⇒プルデンシャル(英)
「日産生命」⇒アルミテス(仏)
「日本団体生命」⇒アクサ(仏)
といった感じです。
最近のテレビCMでいかにも元気がいいのが、名前は出しませんが外資系の保険会社です。背景にこんな事情があったのかと納得しました。
詳しいことは本文を是非読んでください。